ルサンチマン・北 × 中野 インタビュー |最新ミニアルバム『SAYOUNARA THEATER』制作プロセス公開! 豪華対バン含む全国ツアーへの熱い思いも
音楽
インタビュー
ルサンチマン/左から 北(vo/g)、中野(g) Photo:石原敦志
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Text:小川智宏 Photo:石原敦志
昨年11月のセカンドフルアルバム『一生モノの陽射し』リリースを経て、今年4月には初のリキッドルームワンマンをソールドアウト。どんどん勢いを増しているルサンチマンからニューミニアルバムが届いた。『SAYOUNARA THEATER』と名付けられた全6曲入りの本作は、これまでの作品以上に、1枚を貫くテーマがはっきりと見える、ある種コンセプチュアルな作品となった。そのテーマはどこから来たのか、そして個性豊かな楽曲たちはどのように生まれたのか。本作を引っ提げてのツアー『Face to Face tour』についても、北(vo/g)と中野(g)に聞いた。
――昨年アルバム『一生モノの陽射し』を出して、春にはリキッドルームをソールドアウトさせて。そこからはどんなモードで進んできていますか?
北 僕、リキッド売り切れたらバイトやめようと思っていたので、バイトをやめて。そうしたら結構いろいろバンド周りのことに手が回るようになってきたので、めちゃくちゃ快適かもしれないです。去年より健康かもしれない。
中野 僕は言ってしまえばあまり変わらないではあるんですけど、引き続きいろいろ作曲とかも考えつつ、ライブも多いので。今まで通りちょっと頑張るという感じですね。
――そんな中でミニアルバム『SAYOUNARA THEATER』が完成しました。このタイミングで新しいミニアルバムを作っていくっていうところに対しては、どういうふうに向かっていったんですか?
北 とりあえずフルアルバムを出したので、次もまたアルバムっていうんじゃなく……なんていうんですかね。毎回アルバムを作るときはかなりタイトなスケジュール感でやっていたので、今回はミニアルバムにして。6曲なので、かなり集中して1曲1曲に時間を割けるっていうところもあってこうしました。
――結構じっくり作ったって感覚がある?
北 結構じっくり作れたんじゃないかな。今までよりは。
中野 確かに。
北 すごく音楽的な曲も多いし、歌詞で言ったら自分的にはすごくまとまりのいいものが書けたと思います。
――うん。曲数としてはもちろんフルアルバムよりは少ないですけど、1曲1曲がちゃんと味が濃い感じがしますね。
北 そうですね。だから、結局「海鳴」が先行で出たんですけど、リード曲もギリギリまで悩んでいたんです。MVを撮る1週間前までずっと「どうしようかな」ってかなり迷いました。
――どういう作品にしたいかのイメージはあったんですか?
北 いや、正直、作り始める前はそういうのはあまりなかったんですけど、なんとなく、今まででいちばんコンセプチュアルな感じになりましたね。「さようなら」って曲ができた時点で、別れの歌みたいなのが多いから、それを軸にしたコンセプトで行ってみようかなって初めて思いました。でも結果的に「Summer Long Shoot」みたいなわけわからない曲が入ってきたので……。
――あれ、最高ですよ(笑)。
北 そのせいでちょっとコンセプトがはずれたんですけど。でも、自分の中でなんとなく主軸を先に決めて作り始めるみたいなのは初めてだったかもしれない。曲が少ないからこそできたことだと思います。
――「Summer Long Shoot」、大好きですけど。
北 僕らも大好きです(笑)。
――中野さんはどんな作品になったと感じていますか?
中野 いや、僕はてっきりまばらに作っていったのかと思っていたので、今コンセプトがあったんだと思ってちょっとびっくりしました。そうだったんだと思って。
北 わざわざ言わなかったので。
中野 でも確かに言われてみればそうなのかなと思いました。「海鳴」とか、今までやったことないことを……スタンス自体は別にそんなに変えてないんですけど、その中でもより曲の世界観に寄せるというか、そういう方向に傾いていったことって、意外と今までなかったんです。そういう意味でそれぞれの曲が鋭く尖っている感じはしますね。
北 1曲1曲すごく飛び抜けた感じが出たのは、作り方が曲ごとに結構バラバラだったのも大きいと思います。「海鳴」がいちばん変な作り方をしたんですけど、まず僕が「こういうの作りたいんだけど」っていうリファレンスの動画を中野に見せて「こういうのってどうしたらいいの?」って聞いたら、中野がその骨組みを作ってきてくれて。それをまたもらって、それを僕が1曲にまとめたものに、もう1回リードギターをつけてもらうっていう。かなりふたりの間のキャッチボールが激しかったんです。他のふたりはちょっと置いてけぼりになっていたから、途中でもぎ(ds)に「もうこの曲完成しなくね?」って言われたんですけど、僕と中野の中には構想があったので、「いやいや、行けるからちょっと待っとけ」みたいな。
――「海鳴」については北さんの作った原型をみんなで形にしていくんじゃなくて、ふたりで詰めていくほうを優先したんですね。
北 まあ、僕らもギターのことと歌のことしかわからなかったので、ドラムとベースについては結局ふたりが作ってくれたんですけど。そういうちょっと突飛な作り方をしたのも初めてだったので、ルサンチマンの曲の中でも相当個性的なものになったなって思います。
――新鮮さもあるけど、同時に、すごくルサンチマンらしい感触もありますよね。すごく絶妙なバランスに仕上がったなと。
北 完成形に関してはそうですね。確かに思ったよりルサンチマンっぽくなったなと思っていて。最初のリファレンスを見せた時点では、まったく関係ないぐらいのものができる感じだったんですけど、そこはメンバーの個性なんだなと思います。それはそれですごい面白い形に収まったなって思いますね。
――ちなみにそのリファレンスっていうのはなんだったんですか?
北 いや、インスタでリールを見ていたら出てきた、外国人の女の人がピアノでワンフレーズだけ弾きながら歌ってる、みたいなやつで。別に配信されている曲とかじゃないんです。それがすげえかっこよくて「こういうのってどうやって作るの?」って聞きました。ピアノで5拍子、6拍子みたいな、アルペジオ的な感じで弾きながら歌ってるみたいなのが、めっちゃかっこよくて。それにすごい海っぽいというか、『パイレーツ・オブ・カリビアン』みたいな雰囲気を感じたんです。そういえば海の曲ないなと思ったから、それを作ろうと。
中野 すごく流麗な感じの演奏なんです。でもピアノなので、僕らはギターだけでやりくりをしなきゃいけない。どうしたらいいんだろうっていうところで、まずは1回それをDAWに取り込んで、打ち込みでピアノのフレーズを全部書き出して。その音の並べ方とかパターンをギターに置き換えていく、みたいな感じでやりました。
――ああ、じゃあ結構理詰めというか。
中野 そうなんです。だからわりと、ニュアンス的な部分は一旦置いて考えていたかもしれないですね。
――この曲、歌詞はどういうことを考えて書いたんですか?
北 「海鳴」は結構フィーリングで書いたんです。珍しく。でもそれがあまり得意じゃないので、結果的に個人的な感じというか、なんとなくバンド活動について歌っている感じの曲にはなったんですけど、本当はもっと抽象的に書いてもよかったのかなっていう。あんまり具体的に書きたくないなって思いながら書いていました。
――そう、海とか船とかっていうモチーフなんだけど、最終的に《ギター 鳴りたがってんだ どうしても》ってなるわけじゃないですか。
北 そうですね。海というものが全然自分の生活圏内にないので(笑)。そういうイメージで書いてみたものの、結構かっちりさせないと気が済まないというか、アンニュイにできないというか。それがよさでもあり悪さでもあるって最近すごく思うんですけどね。なんか、ちょっとA型出ちゃったなっていう。
中野 A型だったんだ(笑)。
――確かに、作るプロセスも含めてもうちょっと抽象的な感じにしてもおかしくない曲ではありますよね。でも北さんが書くと、やっぱりギターがかき鳴らされてしまうっていう。
北 そうですね。自分が想像できないもので構成できないというか、全体を見たときに、なんとなく自分の中で物語とかがつながって終わるところまでを書いていないと不安になる感じです。でも今後はそうじゃないものを作ってみたいなって、改めて思いました。
――だけど、今回の曲たちはむしろその具体性がよりクリアになっている感じがしますけどね。
北 そうですね。だから書き終えたときの達成感みたいなのは、アルバムのときよりもあったんです。アルバムのときは、書いてから録るまでの時間が結構短かったりもして、書き終えた時点ではあんまり自分の中でもしっくりきていないところが、徐々に馴染んでいくみたいな感じだったんですけど、今回はしっくりくるまで何度でも書き直していたので、何かを掴みながら書いている感覚は今までより強かったです。単発のシングルとかの曲だとよくあるんですけど、それが6曲すべてでできているっていうのが、成長だなと思います。
――そうですね、シングルっぽい強さがどの曲にもある感じがします。ちなみに順番としてはどの辺から作っていったんですか?
北 先に出した「ルックバックインサッドネス」が最初なんですけど、「ルックバック〜」と「さようなら」は確か同時くらいにできていたんです。それで「ルックバック〜」をシングルに選んだみたいな感じだった気がする。
――うん、この2曲は近いところにある気持ちを歌っている感じがしますね。
北 そう、どっちも別れベースの曲なので、その時点でなんとなく「さようなら」とか、そんな感じのミニアルバムだなって思い浮かべていましたね。
――その最初の時点で「ルックバックインサッドネス」と「さようなら」があったっていうのが、たぶんすごくでかいんだろうなと思うんですけど。
北 そうですね。確かに。
――別れについて歌う曲が立て続けに出てきたというのは、そのときどういう気分だったんですか?
北 なんか、周りが別れムードだったんですよ。別に大した話じゃないですけど、友達のバンドが急にやめたりとか、先輩のバンドがやめたりとか。あと、もっとプライベートな話で、めっちゃ仲よかったカップルが別れちゃったりとか。そういう話がたまたま重なっていたので、自然にそういう曲ばっかりができちゃったって感じですかね。
――でも、「ルックバックインサッドネス」と「さようなら」に出ている気持ちって、同じ出どころだけどその持っていき方が違う感じもしますね。
北 そうですね。「ルックバック〜」のほうが結構衝動的に思っていることというか、ちょっと苛立ちすらある感じというか、「なんでそうなるの」みたいな感じがするんですけど、「さようなら」は完全に感傷というか、すごく優しい気持ち。だから時系列で言ったら……別に同じ時間軸ではないんですけど……「さようなら」はちょっとあとにあるものというか。だからアルバムの最後に持ってくるのにすごいちょうどいいなって思っていました。先行配信にしなかったのも、ミニアルバムの最後っぽいよねっていうのを話していたからなんですよね。
――なるほど。1曲目の「アクターモクタ」はどんなふうにできたんですか?
北 「アクターモクタ」は中野を非常に困らせました(笑)。この曲は僕がちょっとリードフレーズみたいな感じで弾いているので、中野がやることはないっちゃないんです。3ピースの時点でかなりクオリティ高いものを上げちゃったので、すごく困っていました。
中野 めちゃむずかったです。フレーズも結構トリッキーなので。
――でもその大変さが、聴いている人にはあまり伝わらないものになったのがいいことだなと思うんです。
北 ああ、特に「アクターモクタ」はそうですね。
――この曲名は「ゴミ」という意味での「あくたもくた」と「アクター」をかけていますけど、歌詞は何を考えながら書いていたんですか?
北 これ、歌詞もいちばん気に入っているんです。本当に「みんなアクターだよ」っていうか、みんな役立たずだけどそうじゃないふりをしているだけなんだから気にするなっていう。でも、これが最後にできたんですけど、考えたコンセプトがこれでちょっとぐちゃぐちゃになっちゃった(笑)。まあでもミニアルバムのタイトルに「THEATER」ってつけたのは「アクターモクタ」があったからなんです。結局別れとか悲しいことが起こっても、それに関わっている人たちも全員偽物だよっていうか。
――なるほど、だから「THEATER」、つまり劇場なんだよと。
北 そうですね、それでギリギリこじつけた(笑)。『SAYOUNARA THEATER』っていう1個の劇場っていう意味でギリまとめられたっていう感じですね。
――聴かせていただいた感想としては、この「アクターモクタ」があることによって、むしろコンセプトというかテーマが深まった感じがするんですよ。単純に人との別れだけではなく、何かにさよならして次に行くとか、嘘の自分から離れて自分をさらけ出すとか、いろんな意味が重なったなって。
北 確かに、そうとも取れますよね。
――この曲、最後に《でも今日という今日は 君に打ち明けたいよ》って言うじゃないですか。ここでそこまでとちょっと違う気持ちが入ってくるんだけども、これはどういうことなんですか?
北 いや、これもいい意味なのか悪い意味なのか、みたいな。自分が定義するじゃないですか。「全員偽物だ」っていう定義をしたうえで、そこからもうひと展開ないと自分の中で曲の物語が完成しないんですよ。それで最後は正直でいてもいいよねっていうのをちょっと付け足したら、僕の中で「アクターモクタ」って曲が完成したっていう。曲を終わらせるためにみたいな感じはします。
――聴いていると、そこまでがどっちかっていうとポーズで、最後に本音が出てきたみたいな感じもしますけどね。
北 そうですね、そう見えるような。でも本当はそこまで明るくないというか、希望的じゃないんです。結構卑屈なので、「みんな偽物だろ」がベースなんです。でも聴く人によってそういうふうにも受け取れるかなって思います。
――中野さんはギタリストとして今作のここに注目してほしいというのはありますか?
中野 「レイターブラザー」ですね。今回のアルバムでギターソロらしいギターソロが入っているのって「海鳴」と「レイターブラザー」だけだと思うんです。僕はあまりギターソロで自分の個性を出そうと思っているタイプではないんです。基本的にプレイヤーというより作曲側というか、ギターフレーズ作りのほうを重視しているんですけど、その中でプレイヤー寄りのアプローチをしたのが「レイターブラザー」かなって感じがしています。自分が今できることをやってみたという感じですね。
――「レイターブラザー」はすごくロックバンド然とした曲ですよね。
北 これは友達のカメラマンが今イギリスに行ってカメラ修行をしていて。友達がロンドンにいることなんて滅多にないし、行ける機会に行っとこうと思って、5月に1週間くらい行ったんですよ。それで行く前に、カメラマンもいるのにイギリスに行って何も撮らないのもあれだなと思って、MVを撮るための曲を先に作っちゃおうって思って。それで本当にギリギリにできた曲を持っていってあっちでちょっと撮ったっていう。
――イギリスを意識していたから、こういうギターロックになったのかもしれないですね。
北 そうですね、結構オアシスかもしれないです。「Wonderwall」とかはリファレンスとしてちょっとあったりもしたので。
――歌詞的にも、この曲の《いつも いつも 間に合わない僕ら》っていう感じと、次の「さようなら」がちょっと通じ合っている感じがして、すごくきれいな終わり方ですね。
北 確かに。僕らにしてはきれいすぎるくらい。ストレートに仕上がりましたね。本当、「Summer Long Shoot」ができた時点でもうちょっとそういうのは無視していたときもあったんですけど、結果的にまとまりました。
――そして、このミニアルバムを携えて、『Face to Face tour』がスタートしていきます(取材日は10月中旬)。「Face to Face」って、北さんが勝手に名付けたとリキッドルームで言っていましたけど。
北 勝手に付けました。そのときはまだミニアルバムのタイトルが決まってなかったので、結構ニュアンスで付けちゃったところもあるんですけど、ツアーを回って、お客さんが来てくれて、一人ひとりと顔を合わせているなと思って。今回に関しては東名阪が対バンになるので、対バンともFace to Faceだなと。どのライブを取ってもそうなので今さらなんですけど、ここでもう1回言っとこうかなみたいな。Face to Faceです。
――どんなツアーにしたいですか?
北 いつもだったらワンマンでやっちゃう東名阪をあえて対バンでやるっていうのが、どういう爆発力を生むのかなっていうのをすごく期待していて。特にファイナルの東京はPK shampooとなんですけど、たぶんお客さんとかの雰囲気も全然うちと違うだろうし、Face to Faceをすることで、フロアも爆発してほしいです。KOTORIも全然違う気がするし、171はいちばん近いバンドだと思うけど、やっぱりうちのお客さんより元気そうだし(笑)。
――(笑)。
北 この3バンドとの対バンをきっかけに、うちのお客さんももっとエネルギッシュになったら面白いなと思います。今のままでもいいバランスなんですけど、さらに新しい風が吹いたら楽しいかもしれないねっていう。
中野 対バン相手がみんな結構ビッグネームなので、個人的にはすごくやばいなと思っています。171とかは本当にギターがとにかく上手いので困る(笑)。とにかく上手いし、しかもトラッドなスタイルの方なので、僕とかとは結構真逆のところにいる人だと思うんです。そういう人たちに通用するのかっていうところで、頑張らないとなっていう感じではありますね。
――いいですね、そういう挑戦ができるっていうのは。
北 そうですね。本当にいい対バンが決まったなっていう。今の自分たちにいちばん必要な対バンというか、殻を破れそうだなと思っています。
<リリース情報>
ミニアルバム『SAYOUNARA THEATER』
発売中
2,200円(税込)
購入リンク:https://pcim.lnk.to/sayounara_theater

【収録曲】
1.アクターモクタ
2.ルックバックインサッドネス
3.海鳴
4.Summer Long Shoot
5.レイターブラザー
6.さようなら
<ツアー情報>
『Face to Face tour』
■2026年
※終了公演は割愛
10月30日(金) 愛知・名古屋CLUB UPSET ゲスト:171
11月18日(水) 福岡・LIVE HOUSE OP's ※ワンマン
11月20日(金) 大阪・心斎橋Music Club JANUS ゲスト:KOTORI
12月4日(金) 宮城・仙台FLYING SON ※ワンマン
12月6日(日) 北海道・札幌SPIRITUAL LOUNGE ※ワンマン
■2027年
1月15日(金) 東京・渋谷CLUB QUATTRO ゲスト:PK shampoo
【チケット情報】
スタンディング:4,000円(税込/ドリンク代別)
スタンディング:4,500円(税込/ドリンク代別) ※愛知・大阪・東京公演のみ
https://w.pia.jp/t/rusantiman/
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