ミュージカル『メイビー、ハッピーエンディング』6年ぶり再演 花澤香菜インタビュー
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花澤香菜
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すべて見るヘルパーボットたちが、誰よりも人間らしく笑い、迷い、惹かれ合う——。韓国で生まれ、2024年のブロードウェイ進出を経て第78回トニー賞で6部門を受賞したミュージカル『メイビー、ハッピーエンディング』が、11月に東京・シアタークリエで上演される。日本では2020年の初演以来、6年ぶりの再演だ。初演に続いてヘルパーボット・クレアを演じる花澤香菜に、「大好き」だと語るこの作品への思い、そして6年ぶりに役と向き合う心境を聞いた。
――6年ぶりにクレアを演じると決まったときの気持ちを聞かせてください。
花澤:6年前に出演させていただいたとき、本当にこのミュージカルが大好きになったんです。私はそこまでミュージカルを観た経験が多くありませんが、それでもすごく入りやすくて、いいお話で。当時は、また演じられるとは思っていませんでしたから、初演の千穐楽で、「オリバーともう会えなくなっちゃうんだ」って、一つひとつに“最後感”を感じて、入り込みすぎてしまって。終わったあと、すごく反省した記憶があるんです(苦笑)。
でも、それくらい大好きな作品でしたから、絶対に再演するはずと思っていました。しかも“私じゃない前提”で(笑)。きっと誰かがやってくれる、そうしたら観に行こうって。ですから、またこうして出演のお話をいただいて、オリバーたちに会えると思うと、すごく嬉しかったです。ただ、まさか6年も空くとは思っていなくて。その間にブロードウェイ版がトニー賞を受賞という大きな出来事もあって、「私がやっていいんですか?」という気持ちでした(笑)。だからこそ今回は、あのときの反省を活かして、最後までいつも通り演じられたらいいなと思っています。
――それほど大好きだという本作の、どんなところに魅力を感じていますか。
花澤:クレアもオリバーも、すごく純粋なんです。クレアは人のことを信じられなかったりしますけど、オリバーのおかげで、どんどん心がほぐれていく。ロボットの話を描いているんですけど、そこに人間を見ているところがすごく素敵。ロボットも人間にとても近くて、ファンタジーすぎないんです。深刻な話として捉えられる部分もあると思うんですけど、オリバーとクレアを通して見ることで、すごく可愛らしいものとしても見えてくる。そこが“メイビー、ハッピーエンディング”なのかもしれないと思わせてくれる、とても素敵な作品です。
――クレアというキャラクターの魅力、そして6年ぶりに向き合って新たに見えてきたものがあれば教えてください。
花澤:クレアはヘルパーボット5で、ヘルパーボット3のオリバーより技術的に進歩していて、スムーズに動くハイテク感もあるけど、気持ちは少女のようというか。いろんなものに知的好奇心があるんです。オリバーが内省的で、何かしたくてもうずうずしてできない、もどかしい人なのに対して、クレアは“したい”と思ったらすぐ行動するタイプ。法律とかも軽く破っちゃうような(笑)、アグレッシブで前向きな女の子。そこが彼女の魅力で、見ていてワクワクしちゃうんです。
6年もあると、お仕事もプライベートもいろんなことがあったので、その経験を活かせるのがすごく嬉しくて。今年6月に関智一さんとの二人芝居の舞台(『日々、日々』)もやらせていただいたんですが、すごいセリフ量だったんです(笑)。でも、それを経験したからこそ、今回は緊張せずに稽古に臨めています。初演のときは稽古からずっと緊張していたんです。でも今は、年齢も重ねて、ちょっとふてぶてしくなって(笑)、「何と思われてもいい」という気持ちでいられる。いい6年を過ごしたなと思います。

――声優としての表現と、舞台での表現。その違いはどう感じていますか。
花澤:舞台は何度も経験できることが、すごく大きいと思います。アフレコは本当に一度きり、収録が終わってしまえばそのシーンやセリフをもう一度やることはありません。舞台の場合、初演ではこう演じていたなと思い出しつつ、今読んだら全然違うとか、こうしたほうがもっとオリバーに寄り添えるとか、いろんな発見があるんです。そこに自分の経験も活かして、お芝居に乗せていける。そういうところが違いかなと思います。
それに、声優の仕事では小学生や中学生を演じることもあって、そのたびに「よいしょ」って、精神状態を若く、初々しく持っていく必要があるんです。クレアを演じていると、いつもそういう状態にいさせてくれる。一方で、人間が抱える闇のようなものもちゃんと知っていて、それに蓋をしている。クレアを演じていると、いろんな感情を体感できるのが面白いなと思います。
――オリバー役の浦井健治さんとは、初演に続く共演です。
花澤:浦井さんはもう、性別とか年齢とか関係なく“浦井さん”というキャラクターというか(笑)。6年前と何も変わらない明るさとかわいさでそこにいてくださって、すごく安心しています。オリバーとの相性もとてもよくて、本当に少年のように、思わずツッコみたくなるようなことをいっぱいされるんです。例えば同じことを私がやろうとしたら、どこかあざとくなって、「私かわいいでしょ?」ってなっちゃうところを、浦井さんは自然にずっとかわいいんです。それが6年経っても変わらないのが、本当にすごいと思います。
――クレアのWキャストとして新たに木下晴香さん、そしてジェームズ役の飯田洋輔さんが参加されます。
花澤:お二人とも初共演なんですが、晴香ちゃんのクレアは、「これはオリバーが絶対に好きになっちゃうよ」って思わせる素晴らしさで、とにかくきゅんきゅんしちゃうんです。最初はWキャストと聞いて、「私のできなさが露呈しちゃう」と不安でしたが(笑)、晴香ちゃんは晴香ちゃんのクレアを、私は私のクレアを作っていけばいいんだなと。それくらい全然違うものになっているので、両方観ていただく方にも楽しんでいただけると思います。
飯田さんもとても優しくて、チャーミングな方で。ジェームズ役のほかにジョンというヘルパーボットも演じられていて、そのお芝居を毎回いろんな引き出しから持ってくるので面白くて。ちょっと変な人だなってわかったので、思わずたくさん話しかけてしまいました(笑)。
――最後に、公演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。
花澤:私はもう、とにかくこの作品が大好きで。テーマ的には重たいものを扱っていると思うんですけど、紐解いてみると、生きることの尊さだったり、誰かと関わることが自分を変えてくれて、人生を豊かにしてくれるんだということを教えてくれる。シンプルだけど、誰にでも通じる、素敵なお話だと思います。ロボットの話と聞くと、怖い話なのかな、難しいことを言ってくるのかなと思われるかもしれませんが、そうではなく、とても人間に近いロボットたちの物語です。あまり身構えずに観ていただけると、より楽しめると思います。
取材・文/双海しお
<公演情報>
ミュージカル『メイビー、ハッピーエンディング』
作:ウィル・アロンソン&ヒュー・パーク
翻訳・訳詞・演出:上田一豪
出演:浦井健治 / 花澤香菜・木下晴香(Wキャスト) / 飯田洋輔
11月20日(金)〜12月13日(日)
会場:シアタークリエ
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/maybe/
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