宝塚退団から約1年半、芹香斗亜が語るアーティストとしての第2幕 ──音楽との一体化、作詞の喜び、そして日本初コンサートの見どころに迫る
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芹香斗亜
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Text:藤野さくら
2025年4月に宝塚歌劇団を退団し、アーティストとしての第一歩を踏み出した芹香斗亜。今年1月には自身が初めて作詞を手掛けた1stデジタルシングル「ひかり」をリリースして、透明感のある歌声を聴かせてくれた。退団後初となるコンサートは、12月に大阪、来年1月に東京で開催される『SERIKA TOA CONCERT NEW ERA -The Circle- EN』。舞台人として18年間を過ごした芹香が、改めて音楽に向き合う“現在地”について、話を聞いた。
円、縁、宴、艶……たくさんの「EN」を詰め込んで
── 退団後のコンサートとしては、まず2025年11月に上海で行われたライブがあって、今回は日本での初コンサートとなりますね。タイトルは同じですが、どのように決められたのでしょうか。
芹香斗亜(以下、芹香) まず「NEW ERA」(新しい時代)というのは、宝塚が私の人生の第1幕だとしたら、これからは第2幕のスタートということで決めました。今まで舞台に立つときに元気だったり活力だったりをお客様にお届けできればと思ってやってきたのですが、私がお渡しするものよりも、お客様からいただくパワーや愛のほうが実は大きいのだということに気づいて。そこに循環という目に見えない形があると感じたので、「-The Circle- EN」を付けました。循環はまさに「円」ですし、「縁」でもある。そこに「宴」と「艶」の意味も乗せて、このタイトルになりました。
── セットリストや演出は、上海と同じものになりますか? それともガラリと雰囲気を変えて?
芹香 上海でのコンサートは、当時の私が歌ってみたい曲に加えて、現地のお客様のためにも世界中で知られている曲や、中国語の歌も歌う構成でした。そこでも客席から温かい“循環”をいただいて、次に私が思いをお届けするには何がいいかと考えたときに、「踊りたい」と思ったんですね。だから、内容はかなり変わります。4部構成で考えているのですが、1章と3章は割と落ち着いた雰囲気で、2章はちょっとポップに。最後の4章では思い切り盛り上がって、楽しい気持ちでお帰りいただければと思っています。オリジナル曲やスタンダードナンバー、ミュージカルメドレー、昭和歌謡とラテンナンバーのマッシュアップなど盛りだくさんなので、ファンの方はもちろん、初めて芹香斗亜を知ったという方にも楽しんでいただけるのではと思います。
── ダンスの見どころについてはいかがですか。
芹香 本格的なコンテンポラリーダンスに挑戦したいという気持ちがずっとあって、いま「裸足で踊りたい」という気持ちが増しているので、演出と振付、ダンサーとしても入っていただいているASUKAさんに、1曲まるまるコンテンポラリーの振付をお願いしました。“男役のダンス”ってかなり特殊で、たとえば公演が1カ月あって、毎日ヒールを履いて「ここで右に回る」といった同じ振付を繰り返していると、筋肉の付き方もそうなっていくんですね。男役の型を表現するためには必要なことなのですが、宝塚を卒業したらもう一度、本来の自分の身体に向き合いたいと思っていたんです。卒業から1年半ほど経った今は、いろいろなトレーニングの成果も出てきて、違う意味ですごく踊りやすくなりました。変化した今の身体で、お客様への感謝の気持ちを込めて踊れたらいいなと思っています。
── 作詞された「ひかり」も歌われると聞きました。この曲は一人称が“ぼく”で、二人称が“君(きみ)”ですね。ふたりの温かい繋がりを描いていて、そこに少し男役っぽさも感じました。
芹香 あ! たしかにそうですね。いま気づきました(笑)。この曲をいただいたときに、ぜひ歌いたいと思って、歌詞もすぐに浮かんだんです。そのときは宝塚を卒業してすぐだったので、やっぱりファンの方への感謝の気持ちというのが大きかったんですね。男役だとか性別がどうだとかは関係なく、素直な気持ちを書いていったらこうなったという感じです。コンサートではもう1曲、作詞した曲を歌う予定なのですが、サビだけバーッと出てきて、その後がまったく出てこなくて……。本番までにはなんとかしないと(笑)。
音楽と一体化しているようなアーティストに惹かれて
── 音楽的なルーツについてもお聞きしたいと思います。SNSでは坂本龍一さんの生前に撮影された映像が、複合現実(MR)の空間によみがえるプロジェクト『RYUICHI SAKAMOTO & TIN DRUM KAGAMI+』展に行かれた様子をアップされていましたね。
芹香 スタッフの方に教えていただいて行ったのですが、改めてたくさんのインスピレーションをいただきました。その前には、ブロードウェイやハリウッド、海外ドラマ『glee/グリー』 などで活躍されているマシュー・モリソンさんをミュージカルコンサートで拝見して、感銘を受けました。おふたりとも、ご自身と音楽とが一体化しているさまが素晴らしいと思ったんです。音楽との一体化といえばこの夏、アメリカのシアトルでホームステイをして学校に通っていたのですが、ホストファミリーのお父さんが毎晩お庭でギター演奏をしてくれて、皆で聴いていたんですよ。知らなかったのですが、シアトルはニルヴァーナなどグランジ(オルタナティブロックの一種)の聖地なんですね。人生に音楽が溶け込んでいる様子がとても素敵で、私もそうありたいなと感じました。
── 子供の頃から聴いていた曲や、好きなアーティストはいらっしゃいますか。
芹香 小さい頃から洋楽が好きで、宝塚に入ってからは、やはりミュージカルの曲が多くなりました。ショー作品ではジャズなどいろいろなジャンルを歌いますし、勉強しながら好きな曲が増えていった感じです。好みとしては、音や声が重なって広がっていく、深みのある曲調のアーティストに惹かれます。エンヤさんが映画『ロード・オブ・ザ・リング』で“エルフ語”を織り交ぜて歌っている「メイ・イット・ビー」は、とても刺さりました(笑)。それから、いま興味があるのはオペラです。ニューヨークやイタリアなど、海外のオペラハウスにも観に行けたらと思っています。
── 以前と今とでは、聴く音楽は変わりましたか? 在団中は“男役”という型があっての表現活動でしたし、おのずと聴くものもそちら寄りだったと思うのですが。
芹香 好きな曲や好みのジャンルは、実はあまり変わってないんです。宝塚で、お芝居やショーの作品の中で与えていただく曲はすべて愛していましたし、そこから自分なりに肉付けして歌い、お客様にお届けすることも好きでした。今は自分自身がお届けしたい曲、好きだなという曲を選んでいる分、より音楽と一体化しやすいというのはあると思います。なので、そちらについてはこれから追い求めていきたいですね。
──現在はクリエイティブチームによる美しい映像や写真も、SNSにアップされていますね。自然の中で飾らない姿が映し出されるなど、よりナチュラルになった印象です。
芹香 お見せする以上は納得したものを出したいなという気持ちがあるので、私なりの表現というか、好きな要素を詰め込んだ素材になっていると思います。今回のメインビジュアルのクリエイティブチームは、宝塚を卒業するときの写真集でビジュアルを担当してくださったスタッフの方たち。「もう一度、作品を一緒に作ってくれませんか」とお願いして集まっていただきました。私のことをよく知ってくださっている皆さんで、リラックスして撮影に臨めているので、その分、素の私が伝わるのかもしれません。
ダンスも作詞も、気張らず取り組めるように
── これからもっと“男役ではない自分”が出てくると思うのですが、いま“男役だった自分”を振り返っていかがですか。
芹香 在団中は宝塚と男役が大好きだったので、自分で自分に「こうあってほしい」というのを課していたと思います。宝塚音楽学校に入学したとき、ダンスの成績が下から数えた方が早いぐらいだったので、もっと頑張らなきゃいけない、もっと勉強しないといけないという気持ちで、卒業する最後の頃までダンスのレッスンには欠かさず通っていました。それでダンスが大好きになり、今度は裸足で自由に踊ってみたいと思っているのですから、不思議ですよね。作詞についても同じで、在団中は自分の考えていることをさらけ出す作詞の仕事は、男役として出来ないと思っていました。中身は女性だし、考えていることは本名の自分なので、それを出したら理想の男役じゃなくなると思っていたんです。今はこんなに作詞をすることが楽しくて、日々取り組んで過ごしているので、そこも違うなと感じています。
── 今後はアーティストと俳優と、両方の活動を進めていかれると思うのですが、アーティストとしては、こうなりたいイメージというのはありますか。
芹香 先ほどの話とも繋がるのですが、やっぱりアーティストというのは、自分をさらけ出すお仕事だと思うんです。もしかしたら、自分の内面の一番見せたくないところまでさらけ出すこともあるかもしれない。その分、その人自身が魅力的であることは必要なのだと感じます。だからまずは自分を磨いたり、いろんな経験を重ねたりして、中身を膨らませていきたい。その上で、この『NEW ERA』というコンサートシリーズを続けていけたらうれしいですね。
── 客席で、お客様にはどんな風に楽しんでほしいですか?
芹香 せっかくのライブ、コンサートなので、客席で歓声を上げていただいて構わないですし、一緒に歌いたかったら歌ってみちゃっていいですよ! と言いたいです。お客様が参加されて初めて完成するコンサートだと思っているので、約1時間半、ノンストップの素敵な空間を一緒に作りましょう、とお伝えしたいです。
<公演情報>
『SERIKA TOA CONCERT NEW ERA -The Circle- EN』
12月27日(日) 大阪・SkyシアターMBS
12月28日(月) 大阪・SkyシアターMBS
1月9日(土) 東京・ニッショーホール
1月10日(日) 東京・ニッショーホール
出演:芹香斗亜
ダンサー:ASUKA、神谷直樹
ミュージシャン:郷田祐美子(Cello)、高橋ルーク(Rhythm)
構成・総合プロデューサー:芹香斗亜
演出・振付:ASUKA
音楽監督・編曲:青木朝子(宝塚歌劇団)
【チケット情報】
SS席:18,000円(前方席保証・お土産付き)
S席:12,000円
A席:10,000円
U-25席:6,000円
※全席指定・税込
▼一般発売(先着):10月31日(土) 10:00~
https://w.pia.jp/t/serika-toa-concert26/
コンサート 特設サイト:
https://newera-serikatoa-concert.com/
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