1983年から9年間にわたって放送された人気ドラマシリーズ『探偵・神津恭介の殺人推理』のデジタル配信がついに始まった。シリーズ全11エピソードが、11月から2027年3月まで、毎月2話ずつ(最終月のみ3話)配信され、天才的な推理で難事件を解決していく神津恭介の活躍が自宅で気軽に楽しめる!
本作は、1983年から1992年までテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で放送された人気シリーズで、名優・近藤正臣が主演を務めた。
物語の主人公・神津恭介(かみづきょうすけ)は、大学理学部の助教授で私立探偵。天才的な頭脳を有し、英語、ドイツ語など複数の言語を習得。楽器や手品の腕前も一流で、少し風変りなところがあるが、どんな小さな変化や矛盾も見逃さず、各所に散らばった小さなヒントを寄せ集め、ひとつの真実を手繰り寄せる。
神津恭介は作家・高木彬光がデビュー作『刺青殺人事件』で登場させた名探偵で、ミステリ小説ファンから熱烈な支持を集めた。一時期は江戸川乱歩の明智小五郎、横溝正史の金田一耕助と並んで“日本三大名探偵”と呼ばれることもあり、1960年代から繰り返し映像化。多くの俳優が神津を演じているが、その中で最も大きな成功をおさめたのが、近藤正臣が主演を務めたシリーズだ。
通常、彼の親友で相棒の松下研三が神津に何かしらの難事件を持ちこむか、松下がトラブルに巻き込まれ、神津も巻き込まれるかたちで事件にかかわることになる。彼の前に立ちはだかるのは、密室殺人、連続殺人、トリックを用いた難事件ばかり。さらに関わる関係者・容疑者はクセ者ばかりで、神津は事件の謎を解くだけでなく、複雑に絡み合った人間関係の解明にも追われることになる。
主人公の神津と相棒でルポライターの松下研三のコンビが事件に挑み、神津恭介の妹で研三の恋人でもある神津信子が毎回、物語に登場する。さらに研三の兄で警視庁に勤務する英一郎も毎回、顔を見せ、事件は変われど神津たちの物語に絡んでくる。
神津を演じた近藤正臣は精悍なルックスで熱烈な人気を集め続ける名優で、本作は彼のキャリアを語る上で欠かすことのできないシリーズになった。これまでに津川雅彦や村上弘明、近年では片岡愛之助が神津を演じているが、近藤の演技はファンの間では圧倒的な人気で、彼の神津シリーズは約9年にわたって続き、全11作が製作された。
その他のキャストは時期によって変更になっているが、相棒の松下研三は長年にわたって大和田獏が演じており、神津の妹・信子は叶和貴子、飯干恵子、森口瑤子(旧:灘陽子)が演じている。俳優が変われば、同じキャラクター、同じシリーズでも3人の関係性が微妙に変化する。ここも本シリーズの見どころだ。
また、レギュラーメンバーだけでなく、作品ごとに登場するキャストにも注目したい。
名優・仲谷昇をはじめ、吉行和子、志垣太郎、ひし美ゆり子、白都真理、可愛かずみ、大場久美子、伊佐山ひろ子、梶芽衣子、新田純一、中尾彬、笹野高史、原日出子ら豪華俳優陣が続々と出演。
映画『流れの譜』や『必殺! THE
HISSATSU』の貞永方久、『不良番長』シリーズ、『0課の女
赤い手錠』の野田幸男、ドラマ「非情のライセンス」シリーズや、土曜ワイド劇場の枠で数々の人気作を手がけた永野靖忠が監督を担当。テレビ朝日、松竹が制作を担当しており、現在の眼で観てもクオリティの高い内容になっている。
『高木彬光の刺青殺人事件』
(1983年9月24日放送)
監督:貞永方久/脚本:ジェームス三木
出演:近藤正臣/大和田獏/叶和貴子/橋本功/仲谷昇/志垣太郎/高田美和
背中一面に見事な刺青を持つ女性が、内側から施錠された浴室で胴体のみの遺体となって発見される。神津恭介は持ち前の科学的思考と鋭い洞察力を駆使し、奇怪な密室トリックのカラクリと欲望渦巻く人間模様の真相を解明していく。
記念すべきシリーズ1作目は、ミステリーの定番だけに観る者のハードルも高い“密室殺人”もの。刺青を持つ女が完全密室で死体となって発見される衝撃的な展開で幕を開け、神津恭介が天才的な推理能力を発揮して、その謎を解き明かしていく。注目ポイントは密室殺人の謎の解明と、犯人の特定と犯人の動機の解明が分けて語られること。ひとつの謎が明かされても、まだ謎がある見どころ満載の1作だ。刺青を持つ女を『眠狂四郎』シリーズなどで知られる人気女優、高田美和が演じるほか、仲谷昇、志垣太郎らも出演!
『影なき女』
(1985年2月2日放送)
監督:野田幸男/脚本:下飯坂菊馬
出演:近藤正臣/大和田獏/飯干恵子/原田大二郎/ひし美ゆり子/MIE/村井国夫
密室で発生した連続不審死事件。現場には“影なき女”と呼ばれる謎の存在が浮上する。神津恭介は巧妙に張り巡らされたアリバイトリックと密室の構造を徹底的に検証し、複雑に絡み合う被害者たちの過去と、陰謀の裏に潜む真犯人の正体をあぶり出していく。
密室の謎だけでなく、忽然と姿を消す女の謎も加わり物語は予測不可能な展開を見せる。2億円のダイヤを巡って起きた密室殺人事件を解明する過程ではトリックと犯人の動機が並行して語られ、それらすべてを神津恭介が解き明かしていく。近藤正臣は小さな矛盾も見逃さない神津のキャラクターをより深く演じている。物語のカギを握る重要な役をピンクレディーを解散して俳優の道を歩み始めたMIEが演じている。本シリーズは繰り返し“ひとり二役”によるミステリを描いており、本作も俳優陣の演技の妙を存分に楽しめる。
『魔笛に魅せられた女』
(1985年9月7日放送)
監督:野田幸男/脚本:下飯坂菊馬
出演:近藤正臣/大和田獏/飯干恵子/蟹江敬三/吉行和子/佳那晃子/佐藤仁哉
美しくも不気味な笛の音に導かれるかのように相次いで起きる連続殺人。神津恭介は音色に隠された意図と心理的な罠を見抜き、愛怨が渦巻く事件の深層と哀しい犯行の真実に迫る。
タイトルにもなっている“魔笛”が幻想的なムードを演出しており、詩情あふれる作品になっている。謎を解く展開だけでなく、亡霊が事件に関係しているのでは? という異色の展開も盛り込まれ、怪異はさらに深まっていく。フルートを吹く盲目の音楽家を佐藤仁哉が、その妻を佳那晃子が演じるほか、事件の容疑者のひとりとして浮かび上がる資産家の付添人を吉行和子が演じている。
『初夜に消えた花嫁』
(1986年3月1日放送)
監督:永野靖忠/脚本:下飯坂菊馬
出演:近藤正臣/大和田獏/飯干恵子/松山政路/中島ゆたか/河原崎建三/本田博太郎
華やかな結婚式の当夜、新婦が失踪した後に密室で遺体となって発見される。一見完璧に見える容疑者たちのアリバイに対し、神津恭介は現場に残された僅かな痕跡から殺害トリックの矛盾を突く。複雑な人間関係の裏に隠された動機と犯行の全貌とは?
再婚してすぐに姿を消した女性に何が起こったのか? なぜ、彼女は元恋人の家の庭に埋められていたのか? 死んだ人間から「私の死体を探してください」という依頼が届く衝撃的な展開で幕を開ける本作は、次から次に登場人物それぞれの新たな顔が明らかになり、その証言が食い違っていくストーリーで観る者を翻弄する。ほんの小さな矛盾やほころびも見逃さない神津恭介が集めたパーツと証言をつなぎ合わせて真実を手繰り寄せていく展開が圧巻だ。亡くなった花嫁を中島ゆたかが、彼女と再婚したばかりの夫を本田博太郎が演じる。
『血ぬられた薔薇』
(1986年8月23日放送)
監督:永野靖忠/脚本:下飯坂菊馬
出演:近藤正臣/大和田獏/森口瑤子/岸部シロー/広岡瞬/生田悦子/早乙女愛
美しい薔薇の花に彩られた現場で発生する凄惨な連続殺人事件。神津恭介は現場に残された不審な痕跡と緻密な計算に基づき、一見不可解な現場のからくりと犯人の計画を分析。美の中に潜む悲劇的な動機と、犯行に隠された悲しい真相を論理的に解明していく。
資産家の一家の中に渦巻く家族の愛憎。これまで数々の名作ミステリが扱ってきた題材を、本シリーズならではの展開で描いた作品。神津の助手・松下が偶然に出会った資産家の姉妹で、後妻が殺される事件が発生。次から次に犠牲者は増え、この家の中に渦巻く対立や、周囲には隠してきた真実が少しずつ浮かび上がる。本作から神津恭介の妹・信子が森口瑤子に、松下研三の兄・英一郎が岸辺シローに交代。シリーズに新しい風を吹き込んでいる。
『私は殺される・・・』
(1987年9月26日放送)
監督:野田幸男/脚本:下飯坂菊馬
出演:近藤正臣/大和田獏/森口瑤子/岸部シロー/仲谷昇/可愛かずみ/辻萬長
「私は殺される」という不可解なメッセージや死の予告を残し、密室で命を奪われた犠牲者。神津恭介は犯人が仕掛けた巧妙なアリバイトリックと、現場に遺されたわずかな手がかりを紐解き、完璧と思われた犯罪計画の破綻を突いて真犯人を追い詰める。
テレビドラマの制作発表会で起こった射殺事件。当初、犯人は殺された女性の元恋人ではないかと疑われるが、確たる証拠はなく、神津恭介が推理に動き出すが、さらなる死体が発見され、事件はさらに謎に満ちていく。複数の殺人が次第につながりを見せ、やがて想像もしなかった真実が浮かび上がってくる展開が見どころだ。シリーズ第1作にも出演していた名優・仲谷昇が異なる役どころで登場。神津を事件に引き込むことになる元・女優をドラマ『新・坊っちゃん』、映画『蘇える金狼』の結城しのぶが演じている。
本シリーズは全11作あり、残りのエピソードも順次、配信が予定されている。相続争いの裏側に隠された複雑な人間関係に迫る『伊豆下田海岸に赤い殺意が走る』や、遠隔殺人の謎に迫る『こだま号遠隔マジック!?』など、作品ごとに違った見どころがあるのも本シリーズの魅力。時間をかけてじっくりと楽しみたい。
◎2027年2月5日(金)配信開始
『呪縛の家』(1987年12月26日放送)
『伊豆下田海岸に赤い殺意が走る』(1988年8月13日放送)
◎2027年3月5日(金)配信開始
『こだま号遠隔マジック!?』(1990年5月26日放送)
『白魔の歌』(1990年9月29日放送)
『密室から消えた美女』(1992年9月5日)