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「“不意打ち”を食らわせたい」『ゴジラ-0.0』山崎貴監督がこだわった“結末”の描き方

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山崎貴監督 (撮影:You ishii)

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『ゴジラ-0.0』が全世界で公開され、各地で大ヒットを記録している。本作は『ゴジラ-1.0』の続編で、ゴジラだけでなくキングギドラも登場。人類はさらなる窮地に追い込まれ、そこで描かれるドラマは緊迫感を増している。

公開して間もないため多くは語らないが、本作の最大のクライマックスは“怪獣の脅威”ではない。観る者をさらに追い詰めるドラマがその先に待っているのだ。山崎貴監督は本作のジャパンプレミアの席で「ぜひ食らってもらえれば」と語り、筆者の行ったインタビューでは「エンタメ作品だからこそ“不意打ち”を食らわせたい」と宣言する。

映画を観た誰もが“食らった”と感じるドラマはいかにして生まれたのか? あの結末は創作のどの段階で、どのように生まれたのか? 山崎貴監督に話を聞いた。

※以下、もし可能であれば映画館で『ゴジラ-0.0』を楽しんだ後にお読みください。

「続編では敷島家の“その先”を観てみたかった」

『ゴジラ-0.0』の舞台は、日本にゴジラが襲来した『ゴジラ-1.0』から2年後だ。ゴジラの襲撃から奇跡的に生還した敷島浩一は、妻の典子と娘の明子と穏やかに暮らしているが、謎の巨大怪獣が出現したことを機に再び戦いの渦に巻き込まれる。銀座でのゴジラ襲撃から生還した典子の身体には不思議な痣があり、敷島は自分のすべてを捨ててでも妻と娘を守ることを誓う。再び姿を見せたゴジラ、さらなる新怪獣。人類は再び極限状態に立たされ、敷島家も何度も“極限の選択”を迫られる。

通常、モンスター映画や怪獣映画の続編は、スケールアップした“再生産”であることが多い。前作を超える危機がやってきて、それを上回る手段で再び撃退する。その過程でアクションと破壊はさらに派手になる。これが定番だ。しかし山崎貴監督は「“敷島家が、あの後、どうなったかな?”っていうのがやっぱりすごい気になっていて、あの一家を幸せにしてあげたいなって気持ちと、そう簡単には終われないだろうなという気持ちがあって……だから、続編では敷島家の“その先”を観てみたいというのがまずありました」と振り返る。ポイントはやはり“そう簡単には終われない”だろう。

前作では戦争の記憶に苦しめられ、ゴジラと対峙することで自分の中の戦争を終わらせるべく決死の覚悟で飛び立った敷島浩一(神木隆之介)は、本作で想像もしていなかった苦しみを味わうことになる。山崎監督は「神木くんには覚悟を感じました」と振り返る。

「ありがたいことに、前作はたくさんの方に評価していただいたので、続編の主演を引き受けるのは、相当なプレッシャーだったと思うんです。その中で彼は、作品ごとの役だったり自分の立ち位置をちゃんと見つけてくれる。普段はあまりそういう顔を見せないですし、口にはしないですけど、相当、いろんな面から考えてくれていると思うんです。今回の敷島は“自分の戦争が終わった状態”の人間で、大切な典子と明子のために戦う。自分ではなく、他人の運命のために戦うって本当に大変なことで、ボロボロになりながらも何とかして典子が幸せになってほしいと苦闘する。神木くんはそんなキャラクターを見事に造形してくれたと思います」

敷島がすべてを賭けて守ろうとする典子もまた、自身の異変を引き受けながら、すべてをかけて敷島と娘の明子を守ろうとする。母であり、夫と共に難局に立ち向かう典子の想いの強さを浜辺美波が渾身の演技で体現する。

「彼女には、その場の空気を作り出す力があるんです。それこそカメラが回る前はすごい普通にしているんですけど、カメラが回った瞬間に“昭和の女優さん”になるというか、昭和の名女優さんたちが持っていた空気がそこに出現する。本当に不思議で、どう表現していいのか分からないですけど、たぶんこれが“スターの力”ということなんだと思います」

典子はゴジラの襲撃に巻き込まれ、病院で生死の境を彷徨った末に生還したが、前作のラストでは彼女の身体に不思議な痣が確認された。山崎監督は浜辺が典子を演じるからこそ、典子をさらに過酷な状況に追い込んだのではないだろうか。ここまで描いても、浜辺美波であれば演じられる。

「前作で典子が助かったことはよかったんですけど、それは福音であり、同時に呪いでもある。彼女は助かったことで、さらにすごい状況に巻き込まれてしまう。これが今回の映画の軸になっています。だから典子が大変な状況になったときに、それをすべて引き受けられる俳優でなければならない。さらにいうと、典子が大変な状態になったときに“いくら何でも典子がかわいそうだよ”と観客に思ってもらえないと、作品が成立しないわけですよ。その点で、典子は浜辺美波だからできたと思いますし、彼女の持っている資質が作品にもたらしたものは大きいです」

敷島と典子はお互いがお互いを守り合う関係。夫婦だが対等な関係で、ベストフレンドであり、ベストパートナーでもある。山崎監督は初期作品『ジュブナイル』や『リターナー』から現在にいたるまで、繰り返しこの関係を描き続けている。

「自分の好きな映画を振り返っても、やっぱり女性が活躍している映画が多いんですよね。『ターミネーター』でも最後にはサラ・コナーが活躍するじゃないですか。最初は守られる存在だったキャラクターが、本当に自覚を得たときに守る立場になるという構造がすごく好きなんです。だから今回の映画は敷島と典子が一緒に危機に立ち向かう話にしたかったですし、お互いを守りながら行くところまで行こうという話にできたのは良かったです。こういう男女関係を繰り返し描いている自覚は……ないですね(笑)」

今作で新たな発見や苦労も! 山崎監督が重視した人間の“視点”

敷島家を含む人間たちが怪獣に立ち向かう上で、山崎監督が重視しているのは人間の“視点”だ。言うまでもないことだが、怪獣は人間よりも圧倒的に大きいため、通常であれば必ず人間は怪獣を“見上げる”ことになる。山崎監督は前作、本作でこの“巨大な生き物を見上げる恐怖”を描く一方、飛行機や高層建築を利用して人間と怪獣の“視点の高さ”を合わせる工夫を随所で行っている。人間と怪獣が同じ視線で対峙し、カメラは両者の緊迫した空気に寄り添う。

「今回の映画ではキングギドラは顔を下げることができるので、視点の位置を低くできる。これは発見でした。今回もゴジラとどれだけ目線を合わせることができるのかは考えました。人間が建物にのぼる場面も出てくるんですけど、それは怪獣に近い視点に置きたいからなんです。それはすごく大事なことなんですけど、カメラが高い位置にいるということは、それだけ画面の奥まで建物が見えるわけで……VFX的には大変なんです(笑)。さらに今回はIMAXのこともあるのでさらに見える建物と風景が増えて、大変なデータ量でしたね。

前回は怪獣を描くデータ量で四苦八苦していたんですけど、今回は怪獣はあっという間にレンダリング(※)できたんです。問題だったのはその後ろに広がっている背景で、そこを作るのにものすごい時間と手間がかかって正直、本当に大変でした。あまりにも内容が複雑でデータ量も多いので、分割したくてもできない。とにかくやるしかないとレンダリング処理を始めたら朝になってもまだ終わっていなくて、よく見たら2コマ目の時点で止まっていたり(笑)。想像以上の大変さでしたね」

「この終わり方はゴジラだからできたことだと思います」

本作のクライマックスで敷島と典子は、物語の冒頭では想像もしていなかった窮地に立たされる。この先、自分たちは何を選ぶのか? 誰と一緒にどこに向かって進んでいくのか? あの結末はどの段階で生まれたのだろうか?

「最初から観ている方に解釈を委ねる“開いた”終わり方にすることは決めていました。ここにいる人間たちは、いわば“禁忌”を犯しているわけですよね。怪獣という神様に対して、人間がやってはいけないことをやっている。だから、ただ幸せになることはないと思いますし、彼らはそのことを事前にちゃんと分かった上で、みんなのために、愛する明子のために自ら禁忌を犯しにいくわけです。だからこそ、シンプルな結末にはできないし、そうしたくないと思っていました。

この終わり方は“続く”ではなく“結末”だと思っています。僕としてはこの結末を観たときにお客さんがどんな気持ちで映画館を出ていくかが大事で、あの結末を観たときに巻き起こる感情はすごく複雑で、簡単には言語化できないものだと思うんです。それができるのが映画だと思いますし、言語化できない感情を描くことを目指したので、この結末を描けて本当によかったと思っています。この終わり方はゴジラだからできたことだと思いますし、ゴジラだからこそ、この終わり方にするべきだと思ってやりました。エンタメ作品だからこそ“不意打ち”を食らわせたい、という想いがすごくあります」

あの先、物語は続くが、どこへ向かうのか、どこに行きつくのかは、観客の数だけ答えがあるだろう。映画公開前から本作は何度も宣言している。「三度目はない。ここで、すべて終わらせる。」とは言え、映画の世界に限らず、二度あることは三度ある、と言うが……。

「こればっかりは……映画の世界ですから、この先、何が起こるか分かりません(笑)」

(※)レンダリング:CGで入力したデータをすべて計算して、最終的な画像や映像として出力する処理のこと。目指す映像が複雑になればなるほど、レンダリング処理も複雑になりマシンに大きな負担がかかる。

取材・文:中谷祐介(ぴあ)
山崎貴監督 撮影:You ishii

<作品情報>
『ゴジラ-0.0』

公開中

公式サイト:
https://godzilla-minuszero.toho-movie.jp/

(C) 2026 TOHO

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