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TiA、RIRI、milet ……令和注目、圧倒的な歌唱力で魂を揺さぶる女性シンガー5選

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リアルサウンド

 『コーチェラ2019』におけるアリアナ・グランデやビリー・アイリッシュの強烈なステージを例に出すまでもなく、現在の音楽シーンで存在感を示すためには、優れたパフォーマンス能力が必要不可欠。国内外を問わず、ブレイクを目指すアーティストはすべからく高い演奏力、際立った歌唱力を持っていなくてはならないし、実際、“演奏が上手い”、“歌がすごい”という評価を得ることで一気に注目度が上がることは非常に多い……と「当たり前だろ、そんなこと」と思われそうなことを書いているのはもちろん理由がある。ここ数年、歌唱力が評価されることをきっかけにブレイクに近づいている女性アーティストが次々と登場しているのだ。吉田美和(DREAMS COME TRUE)、MISIA、絢香、Superflyなど、歌の凄さ、歌の良さによって長く支持されているアーティストの系譜を継ぐ、魅力的なニューカマーを紹介したいと思う。

 まずはRIRI。1999年生まれの彼女は、海外のR&B/ポップスをルーツに持ち、音楽活動をスタートさせた当初から世界を視野に入れていた。2018年2月にアルバム『RIRI』でメジャーデビューを果たした彼女は、しなやかにして濃密なグルーヴをたたえた歌声によってすぐに注目を集め、全国47局のパワープレイを獲得。世界的DJのZeddから自身のヒットチューン「Stay」(Zedd&Alessia Cara)のカバーを依頼されたことも、シンガーとしてのポテンシャルの高さを証明しているだろう。J-POPの枠を超えながら、決して洋楽のマネではない、日本語に気持ちよくグルーヴさせる独創的なスタイルを掴み取っていることが彼女の最大の魅力だと思う。

RIRI 「luv luv feat. Junoflo」(Prod. by Ryan Hemsworth) Music Video

 デビュー作『inside you EP』でメジャーデビューを果たしたmiletもまた、この先の音楽シーンを担う資質を備えたニューカマーだ。ONE OK ROCKのToru(Gt)のプロデュース楽曲「inside you」はドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』のオープニングテーマに起用され、オンエアが始まると同時に「この歌を歌っているのは誰?」とSNSを中心に話題を集めた。幼少の頃からフルートを習い、クラシックに親しみつつ、家族の影響でシガー・ロス、ビョーク、クーラ・シェイカーなどを聴いていたという彼女。そのボーカルは、壮大なスケール感、上質な手触り、そして、幅広い音楽要素を含んだ表現力を同時に放っている。彼女もまた、デビュー直後から“この人にしか歌えない”オリジナリティを獲得していると言っていい。

milet「Runway」MUSIC VIDEO(2nd EP『Wonderland EP』5/15 on sale)

 フィリピン、アメリカの音楽賞を獲得したハイトーン系シンガーBeverly、『第5回全日本歌唱力選手権 歌唱王』で披露した「Listen」(ビヨンセ)で一気に注目を集めた遥海なども高い歌唱力で支持を得ている。

Beverly / Adventure(テイルズ オブ アスタリア アヴァロンに眠る輝石 テーマ)
遥海 – Don’t Break My Heart

 それぞれに際立った個性を持っているが、あえて共通点を挙げるとすれば、“豊かで個性的な音楽なルーツ”、“一声で印象に残るインパクト”、“幅広い層のリスナーに訴求できるポップネス”ということになるだろうか。最後に紹介するTiAも、その条件を兼ね備えている一人。本格的なゴスペルミュージックの素養と日本語のポップスを結び付ける、極めて稀なスタイルを持ったシンガーだ。

 2004年、16才のときに彼女自身が作詞・作曲を手掛けた「Every time」でメジャーデビューしたTiA。本格的なR&Bのテイストをポップに表現したこの曲は音楽ファンの間ですぐに話題となり、1stアルバム『humming』が「第19回日本ゴールドディスク大賞2005」の「NEW ARTIST OF THE YEAR」を獲得するなど、いきなりブレイクのチャンスをつかんだ。転機が訪れたのは2014年。デビュー10周年のタイミングで単身渡米し、ニューヨークのハーレムで生活しているなかでゴスペルミュージックに出会い、その奥深い音楽世界に深く傾倒したのだという。2016年にはアメリカ最大級のゴスペル大会『マクドナルド・ゴスペル・フェスト』に出場し、グループ部門のリードボーカルとして優勝。その後も数々のコンテストやオーディションで優れた成績を残し、“日本人のゴスペルシンガー”として認識されていった。

アメリカ最大級のMcDonald’sゴスペルフェストにて日本人アーティストTiAがファイナリストとなり魂の歌を賛美!2万人の観客が絶賛!!

 その後も15都市・30公演の全米ツアーを成功させ、『クーリエ・ジャポン』誌の「世界が認めたジャパニーズ6人」に、大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)らと共に選出、ニューヨーク・タイムズ紙やFOX5 NEWSで特集が組まれるなど注目を集めてきたTiA。世界的ゴスペルシンガーとしての地位を手に入れた彼女が今年、久しぶりに日本での活動を再開させる。まずはデビュー15周年を記念したニューアルバム『MIRACLE(ミラクル)』をリリース。約7年半ぶりのフルアルバムとなる本作には、これまでの彼女のキャリアと軌跡が強く反映されている。その特徴を端的に言えば、本格的なゴスペルとJ-POPの融合ということになるだろう。5月22日から先行配信がスタートしたタイトルチューン「Miracle」における、大切な人に対する深く、切実な思いを解き放つようなソウルフルなボーカルを聴けば、彼女の歌の圧倒的な魅力を実感してもらえるはずだ。また、TiAは5月22日放送の『今夜くらべてみました 3時間SP“渡辺直美タメ女子会”』(日本テレビ系)、5月28日放送の『PLAYLIST』(TBSテレビ)、6月11日放送の『うたコン』(NHK総合)に出演することも決定している。

TiA NEW ALBUM「MIRACLE」ダイジェスト映像

 一瞬でリスナーを惹きつけ、豊かな広がりをたたえた歌によって多くの音楽ファンを魅了する女性シンガーたち。彼女らの音楽を通し、歌という表現が持つ奥深さをたっぷりと味わってほしいと思う。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。