『なつぞら』誰よりも愛らしくキュートなのは草刈正雄演じる泰樹? 北海道・十勝編を振り返る
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北海道の大自然の中、主人公なつ(広瀬すず)はいきいきと走り、牛の面倒を見て、笑い、泣く。その愛らしいこと。彼女の大きな瞳に浮かぶ涙まで美しい。そしてそんな彼女を囲む人々もまた、負けずに美しい。幼なじみの天陽(吉沢亮)、雪次郎(山田裕貴)、兄の照男(清原翔)、実の兄・咲太郎(岡田将生)など……よくここまで揃えたと思うようなイケメン揃い。顔面平均点が高すぎて、毎日テレビ画面がまぶしくてしょうがないのですが、そんな若手の美男美女だらけのドラマで、実は誰よりも愛らしくキュートなのが、このドラマでは最年長と思われる、育ての祖父・泰樹(草刈正雄)ではないでしょうか。
偏屈な泰樹は特に娘婿の剛男(藤木直人)に対して厳しく、なつを引き取って来た優しくも気弱な彼は意見も言えずに縮こまるだけ。なつに対しても、最初は「他人じゃ」と言い放ち、厳しい態度で酪農を教えはじめたときは、このまま「おしん」みたいなかわいそうなお話になったらどうしようかと思ったのですが……なつの健気さの前に厳しさはあっという間に(放送が始まってわずか一週間で)アイスクリームのようにトロトロと溶けて甘々の優しい「じいちゃん」に。
そしてあの恐ろしい人が、実は甘いもの大好きという意外さ。
元来の頑固さゆえに、何か問題が起こればすぐ怒りを爆発させるけれど、菓子屋雪月で大好物を前にした時のニコニコ顔と、雪月のとよさん(高畠淳子)とのかわいいやりとりも知っているから、もう全然こわくない。きっと怒鳴った後で一人でしょんぼりと、隠していたおまんじゅうとか食べてるんだろうから。そういえば草刈正雄さんと高畑淳子さんは『真田丸』では夫婦でしたね。仲良し夫婦が生まれ変わって、また仲良しに。
なつがとうとう北海道を離れ、アニメーターになる夢への道を歩き始めたのは楽しみではあるのですが、舞台が東京メインになってじいちゃんの顔をあまり見られず、正直さみしいです。雪月の店主(安田顕)とじいちゃんの、「今週の新製品」コーナーを毎週やってもらいたいです。じいちゃんの最高の牛乳と、雪月のアイデアから生まれるお菓子、どれもほんとにおいしそうですよね。(イラスト・文=渡辺裕子)