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風間俊介の快進撃が続く理由 役者、パーソナリティ、“極め過ぎたキャラ”で異彩を放つ

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リアルサウンド

 風間俊介の快進撃が止まらない。

 現在、日本テレビ系列でオンエア中の『ZIP!』では月曜メインパーソナリティを務め、テレビ朝日系列の昼ドラ『やすらぎの刻~道』の道パートで主演。またNHK-BSプレミアムのドラマ『おしい刑事』でも主役の押井敬史として出演中だ。

 風間がデビュー以来所属しているジャニーズ事務所に入所したのは1997年。他の多くのメンバーと同じくオーディションを経ての入所で、その存在を世に知らしめたのが、1999年にTBS系列で放送された『3年B組金八先生』第5シリーズ、兼末健次郎役の演技だった。

 『金八』の第5シリーズのテーマは「学級崩壊」「家庭不和」「発達障害」「少年犯罪」等と、それまでのシリーズと同じく“攻めた”内容で、中でも風間が演じた兼末健次郎は要(かなめ)とも言えるキャラクター。ドラマの中でこの役が成立しないとシリーズ全体が崩れてしまう重要な位置づけだ。

 家庭の問題を抱え、親には天使のような顔を見せながら、学校では人心を操り、クラスメイトたちを恐怖と暴力とで支配するという非常に難しい役どころを風間は見事に演じ切り、いくつかの新人賞も受賞する。一見、“ザ・少年”といった可愛いたたずまいでありながら、ふたつの顔を使い分け、クラス内で時にぞっとする表情を見せる彼の演技は真に迫っており、毎回目が離せなかった。

 このドラマで演技派の称号を手にした風間は、その後、多くのドラマや舞台を中心に活動。一時期は生田斗真、山下智久、長谷川純とユニット「Four Tops」も結成するが、デビューには至っていない。

 演技の面で着実にキャリアを築いていき、『金八』に続いて『アキハバラ@DEEP』(TBS系)や『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)、朝ドラ『純と愛』(NHK総合)などの代表作にも恵まれた風間だが、近年ではバラエティー等での“極め過ぎたキャラ”でも異彩を放つ。

 最近驚いたのは『沸騰ワード10』(日本テレビ系)で飛行機の“マイル修行”についてアツく語り、そのやり方をカメラを通して見せた時。同行するアナウンサーが泣きを入れても容赦せず、空港グルメをこれでもか! と食べ歩いて、航空会社のステイタスをあげるため、ただ飛行機に乗り続ける“修行”を嬉々として続ける姿は間違いなくアイドルのそれではなかった。

 また『マツコの知らない世界』(TBS系)に「東京ディズニーランドの世界」「東京ディズニーシーの世界」で2回出演した際は、自ら企画を持ち込み、台本も自分で書くという熱の入れよう。東京ディズニーシーの回では、パーク内のプロメテウス火山の地層について、本職の地質学者と語り合うという荒業も見せた。

 この時点で、演技者としての彼がどこに向かうのか、一瞬、先の道が見えなくなったりもしたが、風間の実力はこんなことでブレるほどやわではない。

 俳優としては4月からスタートした『やすらぎの刻~道』で現代パートの主人公・菊村栄(石坂浩二)が描く脚本『道』の主役・根来公平役で出演中。昭和初期の山梨が舞台のこの劇中劇で、風間が演じる公平は、なんと実年齢と20歳離れた15歳~という設定である。

 が、これがなんとも自然なのだ。日本が戦争という不穏な事態に向かう中、家族や幼なじみのハゲ、ニキビ、青っ洟らと豊かではないが明るく日々を生きる青年……というか少年役を丸めた頭で好演。野山を駆け回り、感情をストレートに出す芝居は観ていて非常に清々しい。

 さらにNHK-BSプレミアム『おしい刑事』では、たぐいまれな推理力を持ちながら、最後の最後で状況を見誤り、同僚に犯人を逮捕される刑事・押井敬史役で主演。

 こちらは、可愛い女子にはコロっと騙され、強い女性には虚勢を張って、自分を守るためにはどうでもいい嘘を吐く、言ってしまえばヘタレな刑事という役どころ。捜査に私情をガンガン持ち込む姿に「はあ?」と思いながらもどこか憎めないのは、風間の持つ天性の可愛らしさに助けられているところが大きい。

 この同時期にオンエアされている2作品の共通項は“コミカルタッチ”であること。どちらかがコメディでどちらかがシリアスならば演じわけもわかりやすくできるのだが、時代設定や年齢は違えど、両方ともアップテンポな雰囲気で物語が進む中、まったく違うキャラクターを演じる力量は並大抵のものではない。

 着実にMC業やフリートークもこなし、俳優としてのキャリアも順調に積む風間俊介。最近ではダスキンのCM等“家庭”の匂いのするシチュエーションにも馴染んでいる。

 このラインであの人の存在を思い出すのは私だけだろうか。そう、NHKの『あさイチ』で8年に渡って司会を務め、絶妙な女性への寄り添いコメントと状況を判断する頭の回転の速さで高い評価を得た事務所の先輩、井ノ原快彦だ。

 アイドルとしてセンターの立ち位置に君臨するというよりは、演技力やインプロ力、嫌味にならない鋭いコメントで場を回す力を武器に活躍する風間と、井ノ原が開拓し歩んできた道は重なる気もする。

 と、そんなことを考えながらもふと思うのだ。明るいテイストの作品で邪気のない笑顔を見せたり、司会業やバラエティでフリートークを繰り出す姿だけでなく、そろそろ風間が魅せるダークで闇の深い演技にも触れたいな、と。

 風間俊介が多くのフィールドでさまざまな“顔”を見せられる表現者である理由。それはアイドルとしてきらびやかな舞台に立つ先輩や後輩の姿を眺めながら、外の世界で1人戦い、泣き、自分の歩む道を見極めようともがいてきたからなのかもしれない。

 今の快進撃と、あの笑顔の裏には、じつに多くの涙が隠されているはずなのだ。(文=上村由紀子)