Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 池田エライザ×清水尋也が明かす、映画『貞子』を通して気づいたこと 「なるべく嘘がないように」

池田エライザ×清水尋也が明かす、映画『貞子』を通して気づいたこと 「なるべく嘘がないように」

映画

ニュース

リアルサウンド

 Jホラーブームの火付け役となった『リング』シリーズ最新作『貞子』が、5月24日に公開される。オリジナル版の中田秀夫監督らオリジナルチームが集結した本作では、総合病院で働く心理カウンセラーの秋川茉優や、茉優の弟で動画クリエイターの和真たちが、“ある投稿動画”から始まる呪いに巻き込まれていく模様が描かれる。

参考:池田エライザ、今田美桜、橋本環奈……平成/令和を駆け抜ける福岡出身女優の台頭

 今回リアルサウンド映画部では、心理カウンセラーの秋川茉優役で主演を務めた池田エライザと、茉優の弟で動画クリエイターの和真を演じた清水尋也にインタビュー。お互いの印象から撮影時のエピソードまで、大いに語り合ってもらった。

ーーすごく仲のいい雰囲気が伝わってきますけど、お会いするのは久しぶりですか?

池田エライザ(以下、池田):全然です(笑)。ちょうど1週間ぶりぐらいですかね。撮影が終わってからも一緒にお散歩したり……。

清水尋也(以下、清水):お散歩しましたね(笑)。

池田:連絡はちょこちょこ取っているんですけど、基本的に2人とも家から出たくないタイプなので、「暇だね~」っていうやりとりで終わります(笑)。

清水:「どこか行きたいけど家出たくないね」っていう話をして終わる(笑)。

池田:願望だけね(笑)。

ーーお2人は今回初共演で、映画では姉と弟という設定ですけど、実際も姉と弟みたいな関係性なんですね。

池田:本当にそうですね。演じていても違和感はありませんでした。

ーー(笑)。

池田:でも、お話も結構ディープなところから始まるので、あまり関係性を無理やり作ろうっていうよりかは、本当に一緒にお芝居してるだけで、自然とそうなった感じですね。

ーー今回の『貞子』が初対面だったんですか?

池田:初めて会ったのはTGC(東京ガールズコレクション)だったんですけど、その時はあまりお話しできなくて。お互い人見知りっていうのもあったし、バックステージで緊張していたので、何を喋ったか覚えていないぐらいです(笑)。そこからまた長いことお会いしていなかったんですけど、周りの役者さんから「清水尋也くんの芝居がすごくいい!」っていうお話は聞いていて。なので、今回一緒にできるっていうのは、すごく楽しみにしていました。私には清水さんと同じくらいの背丈の弟がいて、ちょっと似てる部分もあるので、現場でも気持ち悪いぐらい可愛がっていました。常に視界の中にいてほしい存在だった気がします。

清水:ありがとうございます(笑)。実は僕、最初は池田さんのことが怖かったんですよ。

池田:え!?(笑)。

清水:初めてご一緒したTGCで、一緒にランウェイを歩いたんです。僕はそれが初めてのTGCだったんですけど、別の仕事でリハーサルに出られなくて、ほぼぶっつけで。それで本番で一緒に歩き始めたら、僕の歩くスピードが速かったみたいで、後ろから池田さんの「速い」って声が聞こえてきて……。

池田:歩いてる時に?

清水:そうそう。

池田:言ったかな……「速い」って……。

清水:それで「すいません……」みたいな(笑)。

池田:たぶん、前の組に追いつきそうなくらい速かったんですよ。追いついちゃうと止まらなきゃいけなくなっちゃうから。

清水:それで、「あ、はい……」って。

池田:いや、それ悪口じゃんか!(笑)。

清水:(笑)。でも、今回も人見知りだったがゆえなのかわからないんですけど、最初は本当にあまり喋ってくれなくて。

池田:確かにそうだったね。

清水:徐々に話ができるようになって、暇な時とか空き時間に僕がダラダラしていたら、「ひま~」って言ってお話ししに来てくれたりして、すごく楽しい感じの人だなって。

池田:ユルっとこんな感じだったよね。でも、敬語が取れたのは、ここ1~2週間だよね。1~2週間前までは敬語だった。

清水:なんでだったっけ? 確かやめようって言われたんだよね。

池田:相手が敬語を使うとこっちも敬語を使っちゃうんですよ。お互い近づこうとしているのか、離れようとしているのかよくわからなくて(笑)。

清水:一応年上なので、敬語かなと思っていたんですけどね。今はタメ語です(笑)。

ーーそんな仲のいいお2人ですが、映画では悲惨な目に遭ってしまいます。池田さんは人気シリーズ『リング』の最新作で主演を務めることが決まって、どういう気持ちでしたか?

池田:私は『リング』をギリギリ観ていたり観ていなかったりする世代なので、今の世代にどう響くのか全然想像がつかなかったんです。ただ台本をもらってやるっていうだけでは響かないんじゃないかなっていうぐらい、今回は貞子にかなりフォーカスしたお話なので、どういう風に皆さんに伝えればいいんだろう……っていう不安感はありました。

ーー結構考えた?

池田:そうですね。でも、どの映画もそうですけど、結局観ていただかないとわからないので、胸を張って「まずは観に来てください」ということでいいのかなと考えてます。

ーーオリジナル版『リング』に対してはどういうイメージを持っていましたか?

池田:この作品に携わるまで、切ないお話だっていうのは知りませんでした。“井戸から出てくるお化け”っていうイメージが強かったですね。あとはやっぱり、松嶋菜々子さんだったり仲間由紀恵さんだったり、出演者の方々がすごい人ばかりなので、“女優としての登竜門”というのは漠然と知っていました。でも、私自身は怖がりなので、作品に対してはちょっとしたトラウマみたいなところもありました。

ーー怖がりなのは意外ですね。

池田:地方のホテルに泊まったら、絶対テレビに布をかけたりしていたので(笑)。今回この『貞子』に携わるまでは、本当にホラーアイコンとして捉えていました。

ーー今回の出演を通して見方が変わったと。

池田:貞子はもちろん怖い存在ではあるんですけど、私が演じた茉優と共鳴する部分もあったりするんです。幼少期に満たされない思いがあったのは貞子にも茉優にも共通することなので、そういうところを意識しながら撮影に臨んでいました。だから、軽く扱えないというか、軽い気持ちで怖いとは言えなくなりましたね。

ーー清水さんはいかがですか?

清水:僕は、“お化け”や“怖いもの”を想像した時に1番に出てくるのが貞子でした。日本を代表するホラー映画で、その1番上に存在する作品だと思っていたので、そのシリーズ最新作に自分が出演するというのは不思議な感じでした。しかも中田秀夫さんが監督ですし。

池田:現場でスゴかったよね。やっぱり監督の熱がそのまま画になるし、中田監督は誰よりも先にボルテージを100にされる方なので、私たちはそれに食らいついていかなければいけないというか。たまに噛み付いたりしていましたけど(笑)。

ーーそうなんですか!?(笑)。

池田:置いていかれないようにそうしていました。中田監督は「なるべく芝居を全部立てて」っておっしゃるんです。「どんなに気持ちが沈んでいても、ここはあとでBGMがすごい入るから、台詞だけは立てて!」みたいな。私は「無理!」って(笑)。でもやっぱりそういう撮影の技術を知っているからこそ、人の恐怖心を煽る演出で成功されてきたと思うんです。私は最初それに全然慣れなくて、「なんで“芝居を立てて”って言うんだろう。気持ちが空っぽになっちゃう」って思っていたんですけど、慣れてからは「そういうことか」って理解しました。

清水:だから僕も音って大事だなと思いました。純粋に音色もあるし、楽器の種類とかもあると思うんですけど、音量が大きいだけでちょっと怖いみたいなところがあるんですよ。圧迫感というか……。中田監督はBGMを入れることまで考えて撮影をしているんですよね。スゴいなと思いました。

ーーホラー映画といえば、登場人物の恐怖に怯える表情も見どころのひとつです。

池田:私は「本番用意スタート」って言われるまでに、水が落ちる音でもビックリするような、感度を120%ぐらいまでピリピリの状態にしていました。無理やり驚いた顔を作ってもバレちゃいそうな現場だったので、なるべく自分の鼻息もうるさく聞こえるぐらいの精神状態を保つように。実際本当に怖がっているので、綺麗に映ろうみたいな意識が一切なかったんです。逆に5時間ぐらい泣き腫らして、本当にブサイクにしてみたりとか、なるべく嘘がないようにしていました。

ーー演技というよりはリアルな感情だったと。

池田:その中で、監督が「もっと目を見開いて」って言うんです。人がまぶたをどれだけ開けられるか、もちろんそれには限界があると思うんですけど、監督にはあまりわからないみたいで、「もっと開いて!」って(笑)。「これ以上やったらちぎれる!」みたいなやりとりもありました(笑)。

ーー清水さんはいかがですか?

清水:表情もそうなんですけど、僕は自分の役にすごくプレッシャーを感じていたんです。もともと貞子って、VHSのビデオというアナログさがその怖さを引き立てていると思っていて。それを現代の動画配信サイトが普及してきた時代の波に当てはめた時に、チープになっちゃうのが嫌だったんです。貞子っていうコンテンツ自体がそういう風に見えたら嫌だなと。僕の役はそれを1番扱わないといけない役だったので、僕が変な風にやってしまったら作品全体にも関わってきてしまうので、そういうプレッシャーはありましたね。

ーー和真はまさにその役割を担っていますよね。動画クリエイターとしての映像も自分で撮影されたんですよね?

清水:全部自分で、手持ちでやりました。選択肢として、僕がやるしかなかったので、「じゃあやりましょう!」と。僕が1人で撮って「終わりました!」と言うまで、監督も含めスタッフさんがみんなセットの外で待ってる、みたいな(笑)。

池田:スゴいよね。

清水:監督もそういうものに対して「僕もわからないので一緒に探していきましょう」というスタンスだったので、お互い「こうしたほうがリアリティーありますかね」とか「こういう時はもうちょっとここはこう映して」みたいに一緒に相談しながらやりました。動画クリエイターをやっている友達も結構いますし、普段からよく見るので、なんとなく「こんな感じかな」というイメージはあったんです。

ーー動画クリエイターみたいなことはもともとやってみたかったそうですね。

清水:結構興味はありました。身近だからこそ、作り手の裏側を見てる感覚ですよね。動画とか映像コンテンツって、僕が実際やっている演技とかのお仕事とも若干かぶる部分があるので、この映像は実際どういう風に作ってるんだろうとかは、もともと気になっていました。実際に自分で撮ってみたら、それを実感できたので面白かったですね。すごく新鮮でした。でも、貞子を見ちゃうシーンは、撮影だと分かっていても本当に怖かったですね。

池田:貞ちゃん本当に怖かった。

ーー撮影現場で恐怖体験みたいなことも?

池田:いろいろありましたね。どれ言っていいんだろうな……。あまり言わないほうがいいかもしれないです……。

ーーえ!?

池田:(笑)。でも、機材が壊れるみたいなことはよくありました。撮影と録音で時間がずれちゃったりとか、ノイズが入っちゃったりとか。言えるのはそれぐらいかも……。もしかしたら映画の本編にも、何かが映っているかもしれませんよ(笑)。(取材・文=宮川翔)