本作で初共演。玉森裕太と染谷将太が語る『パラレルワールド・ラブストーリー』
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『パラレルワールド・ラブストーリー』 (C)2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会(C)東野圭吾/講談社
東野圭吾の人気小説を映画化した『パラレルワールド・ラブストーリー』で玉森裕太と染谷将太が演じるのは、親友同士であり、同じ女性に恋をする若きふたりの男たち。
東野作品らしく、質の高いミステリーであると同時に“恋と友情”のはざまで揺れる人々の人間味のあふれるドラマが描き出される本作。玉森演じる主人公・崇史は“愛する女性が親友・智彦(染谷)の恋人である世界”と“自分の恋人である世界”という、並行して存在するふたつの現実(=パラレルワールド)に直面する。
ふたつの異なる現実を生きる主人公を演じる難しさについて玉森は「もちろん、体験したことのないことですから、すごく悩みました。シーンごとに都度、監督と話をして『このシーンではここまでわかってる』という感じで、迷ったら常にアドバイスをもらっていました」と振り返る。
台本は、通常のものに加えてもう1冊、いわばこのパラレルワールドをより深く理解するためのものも用意され、それぞれの世界で撮影チームの構成や機材も変えられた。染谷は「ミステリー映画として、どういうギミックで見せていくか?というのを監督は計算されていて『このシーンは三角関係の微妙な距離感を見せたい』とか、ちゃんとひとりの人間の感情を踏まえつつ、いい意味で観客をだますということを念頭に作っていきました」と撮影を述懐する。
それぞれの世界で、崇史の言動や内面に微妙な変化が見られるが、それは決してまったく別人格ではない。あくまでもひとりの人間の中にある多面性を、それぞれの世界で表現することが求められたが、それを玉森自身、楽しんだよう。
「崇史ってイヤな奴にも見えると思うんですけど(笑)、僕自身は、すごくピュアな人間だなと。恋愛すると大事なものを失ってでも、(愛する人の愛情を)手に入れたくなるとか、あぁ、こういう人間っているんだろうなと思いつつ、自分にはない部分を楽しみながらやっていました」
智彦を演じる上で、染谷が何よりも大切にしたというのが、親友として崇史が好きという気持ち。「好きだから衝突するし。どうしていいかわからなくなるし、どんどんこじらせる(笑)。それは核としてずっと持っていました」と明かす。
そんな中学時代からのかけがえのない“親友”であるふたりだが、染谷によると「実は、映画の中では、ふたりで仲良くしているシーンは少なくて、わりと殺伐としたシーンが多かった」とのこと。だからこそ、撮影前に森義隆監督を含む3人で顔を合わせ、じっくりと話をする時間を作った。
「親友とは何なのか?ということを話し合ったりしました。結果的に(親友とは)“喋らなくても、互いをよくわかっていて、存在だけで互いを補えるもの”という結論に落ち着いたんですが、(その答えよりも)話し合いの時間を持てたってことがすごく大きかったし、大切な時間をもらったなと思います」と染谷は振り返る。
初共演となる玉森と染谷だが、これまで歩んできた道のりや経験してきた事柄の違いを踏まえつつ、互いを認め合い、尊敬の念を抱いている。玉森は染谷の演技力の高さに「すごく刺激を受けたし、一緒のシーンで芝居をやらせてもらうたびに『すごいな』って。年下なのに、純粋にさすがだなと感動していました」と驚嘆を口にする。
その玉森は、染谷と初めて一緒の撮影を行った、智彦が崇史の家を訪れ、彼を問い詰めるという重要なシーンで、自分の中で保ち続けてきた緊張感と興奮のあまり、鼻血を出したという。
染谷はそんな玉森の“ずっと緊張感を切らさない”現場での姿勢を絶賛する。
「面白かったのは、現場で緊張感のある芝居をしてるんですけど、家に帰ってTVをつけたら音楽番組で玉森さんが歌って踊ってて、『え? 崇史!』って(笑)」。
アイドルとしての活動を並行して行いつつ、役者として作品に集中する姿に「ある意味で、役者(が本業の人間)よりも役に没入していた」と称賛を惜しまない。
玉森は、そんな染谷の言葉に「震えちゃいますね」と照れつつ「またぜひ一緒に仕事をしたいというのは本音。自分にないものをたくさん持っているので、たくさん学びたい」とうなずいていた。
『パラレルワールド・ラブストーリー』
5月31日(金)より全国公開
取材・文・写真:黒豆直樹
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