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山田涼介はHey! Say! JUMPに恋し続けている 6年の時を経て今再びソロで歌う意義

音楽

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リアルサウンド

 Hey! Say! JUMPが5月22日に両A面シングル『Lucky-Unlucky / Oh! my darling』をリリースした。なかでも注目を集めているのが、山田涼介のソロシングル「Oh! my darling」だ。

(関連:Hey! Say! JUMPはなぜ互いを信頼し合えるグループに? 知念侑李主演ドラマの主題歌から考える

 約6年前、『ミステリー ヴァージン』でソロデビューを果たしている山田。堂本剛、松本潤、亀梨和也に続いて、4代目・金田一少年を演じたスペシャルドラマ『金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件』(日本テレビ系)の主題歌として制作された楽曲だった。

 歴代のスーパースターによって受け継がれてきた役柄への抜擢。そして、その主題歌でのソロデビュー……と聞けば喜びでいっぱいのはずだが、山田の心境は穏やかではなかった。当時、Hey! Say! JUMPとしてシングルのリリースタイミングがあいていたこともあり、どこかモヤモヤを抱えていた時期だったのだ。大所帯のHey! Say! JUMPが、どうしたら一人ひとりが輝き、そしてグループとなったときにさらにパワーアップできるのか。その術を模索していたタイミングだった。

 そんなときに舞い込んできた、ソロデビューの話。山田の中にはいつだって「JUMPとして売れたい」という思いが強くあり、相当悩んでいたと雑誌やラジオで語られている。ソロデビューは嬉しいけれど「今じゃない」。どうにかソロデビューの話を覆せないかと、事務所やマネージャーにもかけ合おうとしていたところ、声をかけたのがメンバーの有岡大貴と高木雄也だったという。

 ふたりは、Hey! Say! JUMPとしてもう1段階ステップアップするためにも、「山田がきっかけになってくれればいいんじゃないの?」と背中を押したのだ。「俺だったら言えないよ。すごい大人だなって思った。そのときのJUMPみんなが。すごく、やっぱ“ああ、このメンバーでやってきてよかったな”と思った瞬間だった」と振り返る。

 「ミステリーヴァージン」は、ドラマの雰囲気も踏襲しながら、同時に山田の持つ憂いや繊細な部分に触れてしまうような危うさが印象的だ。キレのあるダンスは、Hey! Say! JUMPや山田自身につきまとうモヤモヤした空気を振り払うかのように、鬼気迫るものを感じた。

 カップリングで収録された「Moonlight」、KinKi Kidsのカバー曲「愛のかたまり」などアイドルのソロデビューにしては、驚くほど落ち着いた楽曲が多いのも、山田が背負うものの大きさ、そして彼自身のナイーブさを表していたように思う。メンバーといるときの笑顔は太陽のように明るいのに、ソロとして見せた覚悟は月光のようにクールだった。

 Hey! Say! JUMPにとって、山田のソロは、ひとつの岐路となるタイミングを示しているのかもしれない。今、6年の時を経て再び山田がソロで歌う意味。それは、Hey! Say! JUMPがまた新たな段階へとステップアップする予兆に思えてならない。

 6年前から現在まで、彼らはそれぞれの個性の活かし方を見つけてきた。知念侑李は「Lucky-Unlucky」が主題歌になっているドラマ『頭に来てもアホとは戦うな!』(日本テレビ系)で主役を演じ、有岡大貴と八乙女光は『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)に、高木雄也は『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』(テレビ東京系)に、それぞれ出演中だ。

 伊野尾慧は『めざましテレビ』(フジテレビ系)、『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)、『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)、『u&i』(NHK Eテレ)と引っ張りだこ。そして山田涼介、知念侑李、八乙女光の『スクール革命!』(日本テレビ系)も、すっかり長寿番組となっている。

 テレビのみならず中島裕翔が舞台『WILD』で主演を務めるなど、俳優としての活躍もめざましい。そして、現在アメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツ ニューヨーク校に留学中の岡本圭人もまた、新たな強みを手に入れようと奮闘している。

 思い返してみれば、『リトルトーキョーライフ』(テレビ東京系)や、『いただきハイジャンプ』(フジテレビ系)と全員が出演するバラエティ番組があるのも、6年前から考えれば叶えたい夢のひとつだった。モヤモヤの6年前から、ワクワクが待つ現在へ。充実した日々の先に、さらなる飛躍が確信できる。だからこそ今回のソロ曲は、明るくポップなノリのいい楽曲になっているのではないか。

 「Oh! my darling」は、恋する気持ちを歌う楽曲。MVで楽しそうに歌い、踊る姿を見ているうちに、山田自身がHey! Say! JUMPというグループに恋し続けているようにも見えてくる。グループを引っ張っていくソロではなく、メンバーと共に楽しんでいくソロへ。それほど、今のHey! Say! JUMPが強くなったのだ。(文=佐藤結衣)

※高木雄也の「高」はハシゴダカが正式表記。