平井 大、夏を呼び込んだ自由な音楽 ストレスフリーな歌声に浸ったサザンビーチ公演
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シンガーソングライターの平井 大が、5月11日に神奈川・サザンビーチちがさき特設会場で、『茅ヶ崎アロハマーケット presents ホノルル市姉妹都市締結5周年記念行事 HIRAIDAI THE BEACH TRIP 2019』を開催した。5月とは思えない夏日を記録したこの日、砂浜に設けられた特設会場には、若いファンだけでなく幼い子ども連れの親子やカップルなど、多彩な層の観客が詰めかけた。CMソングにもなった「Life is Beautiful」や『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の主題歌「THE GIFT」など全20曲が披露され、集まったファンは平井と共に一足早い夏のムードを満喫した。
平井の歌はストレスフリー ただ音楽を感じるライブ
暑い日差しと波の音、ステージのバックにはヤシの木と波と太陽がデザインされ、まるで常夏の島にいるような雰囲気の会場。生バンドが奏でる軽快なスカのサウンドに乗せて平井が登場すると、会場は拍手と歓声で沸いた。そして間髪入れず1曲目の「For The Future」のイントロが始まる。平井が奏でるウクレレやノスタルジックなオルガンの音色が心地良く、夢や仲間の大切さをメッセージした歌詞に、観客は小さく身体を揺らしながら耳を傾けた。
「僕らの音楽と波の音を自由な感覚で楽しんで帰ってください」と語り、生バンドと共にステージを繰り広げた平井。ウクレレ、アコースティックギター、エレキギターと楽器を持ち替えながら、バンドメンバーとセッションを繰り広げながらライブを展開する。パーカッションを交えたバンドメンバーの演奏も実にグルーヴ感に溢れ、基本的なバンドのサウンドだけでなく、時には牧歌的なハーモニカの音色やクラブテイストのシンセベースも聴かせて、いつも以上にソウルフルに聴かせる平井の歌声を引き立てた。
エレキギターに持ち替えて、チャック・ベリー風のギターのイントロや爽やかなコーラスなどで、往年のロックンロールの雰囲気を聴かせた「Kiss Me Baby」。ノリのいいリズムに合わせて、観客は思い思いの飲み物を片手に身体を揺らす。エレキギターのアルペジオと共に歌から始まり、オリジナルとは少し違ったレゲエ調のビートに乗せて、しっとり歌い上げた「The Light ~青い空~」。ファルセットの歌声がステージの向こうに広がる青い空と相性抜群で、心地よい風を感じながらリズムに身を委ねると、小さな悩みもどこかに吹き飛ぶような気持ちになった。
「ここからは海がよく見えるね」など、リラックスした雰囲気のMCも平井の魅力。「Thinking of You」を歌う前には、「世間では5月病が騒がれていて、僕は年中通して5月病みたいなものだけど(笑)。普段から素直に生きよう、気楽に生きようと決めている。そんな僕を救ってくれているのが海。その海を眺めながらライブができるなんて最高ですね。疲れた人がいたら、海を見てほしい。そんなあなたの心の疲れを癒やす1曲をお届けします」と話した。
ハンドマイクを持ってステージを動きながら歌った、その「Thinking of You」。〈ココロのままに泣き笑えばいい〉〈後悔したってそれもit’s alright〉という歌詞を、ひとりひとりに聴かせるように歌った平井。曲の途中でアドリブっぽくフェイクを聴かせたほか、ギターソロでは目を閉じて首を振りながら、まるで心で泣いているようなフレーズを聴かせた。平井の包み込むような歌声と温かみのあるサウンドが、波のように心の重荷をさらってくれた。
ステージの奥にオレンジ色の太陽が沈みかけた頃、アンコールでは「THE GIFT」を歌った。音源よりもより強さやグルーヴが感じられるサウンドと歌声を受け、会場には手拍子をしたり挙げた両腕を左右にゆっくり揺らすなど様々に楽しむ観客の姿があり、中には手を繋いでいるカップルや親子も見られた。平井のライブは、ストレスフリー。決まりごとは何もなく、ただ自由に感じたまま音楽を楽しむだけだ。
この日、7月31日にアルバム『THE GIFT』をリリースし、それに伴うツアーを行うことを発表。夏本番の季節になった頃に、またビーチで平井の歌を聴けたらいいなと思った。
■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。