E.G.family『E.G.POWER 2019』最終公演で見せた、ガールズ・エンタテインメントの真骨頂
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E-girls、Dream Ami、Dream Shizuka、Happiness、Flower、スダンナユズユリーの6組が所属するE.G.familyによる初の全国ホールツアー『E.G.POWER 2019~POWER to the DOME~(以下、E.G.POWER)』の最終公演が、5月25日に横浜・パシフィコ横浜国立大ホールにて開催された。
参考:Dream Shizukaが語る、17年目のソロデビューへの決意 「夢を追い続けることをやめたくない」
『E.G.POWER 2019』では、これまで全国26都市33公演を敢行。E.G.familyとして最大の公演数と、ホール公演ならではの距離の近さによって、2017年夏以降、新体制となった彼女たちのエンタテインメントの魅力を全国津々浦々のファンたちに伝えてきた。最終公演では、33公演を駆け抜けてきた彼女たちの熱気溢れるパフォーマンスに、ファンたちが大きな声援で応える、かつてない一体感のあるステージングが繰り広げられた。
オープニングSEで全6組の名前がコールされ、ホールが期待と興奮に溢れる中、はじめに登場したのはE-girls。女性のパワーを表現した「EG-ENERGY」で、一気に会場のボルテージを上げていく。ベージュを基調としたシックな衣装は大人の色気に溢れ、パワフルでありながら洗練されたコレオグラフも、11人体制となったE-girlsの魅力を強く打ち出していた。複雑なフォーメーションダンスを難なくこなしながら、次々とギミックに富んだ楽曲を繰り出していく姿には、現在のE-girlsの真骨頂が現れているといえよう。ラストを飾った「Show Time」では、見事なほどに完成されたパフォーマンスを繰り広げ、ファンたちを驚かせた。
E-girlsパフォーマーそれぞれの個性が感じられるソロダンスの後は、武部柚那、須田アンナ、YURINOによるヒップホップユニット、スダンナユズユリーが登場。3人のヒップホップ好きが高じて結成された同グループは、昔からの親友である彼女たちが試行錯誤して作り上げたユニークな音楽性と、随所に散りばめられたポップセンスが最大の魅力。ドープなトラックの上で3人がキャラ立ちしたフロウを聴かせる「LOOK AT ME NOW」で会場の雰囲気をガラリと変えた後は、デビュー曲の「OH BOY」、ピザパーティーをトピックスにした「Party on the pizza」とポップな楽曲で会場を揺らしていく。そして最後は、彼女たちの等身大の想いをリリカルに綴った「TEN MADE TOBASO」で、仲間たちへの信頼とヒップホップへの愛情を示した。
続くDream Amiは、いまや自身のトレードカラーともいえるパステルピンクに彩られたファンタジックな世界観で、キュートにファンたちを魅了していく。MVでの6変化が話題となった「Good Goodbye」では、衣装の異なるポップなキャラクターが描かれた6枚のパネルを用いた遊び心溢れるパフォーマンスも。自身が作詞したラブバラード「はやく逢いたい」では、その可憐な歌声の魅力を存分に発揮して、ファンたちから温かな声援を浴びていた。
和の心を感じられる叙情的なバラードと、コンテンポラリーダンスの要素を取り入れた流麗なダンスが魅力のFlowerは、真紅のカーテンの中から登場。メンバー5人が折り重なるようにして寝ている姿から、「紅のドレス」がスタート。舞台的でドラマティックな展開を、ファンたちは息を飲んで見守った。Flowerの専任メンバーである重留真波と中島美央のソロダンスも印象的で、中島美央が新体操さながらの美しい前転をさらりと披露した際には、ファンたちから感嘆のため息さえ漏れていた。新体制となり、各メンバーがそれぞれの得意なことに打ち込んできた成果が、そこには表れていた。
Flowerがステージを去った後には、鷲尾伶菜が一人、ピアノの前に残り、演奏を始める。するとステージの奥から先日、ソロデビューを飾ったDream Shizukaが登場。鷲尾伶菜とのデュエットで「好きですか?」を歌い上げる。ドライな質感の中に孤独感を滲ませるDream Shizukaの歌声は、こうしたバラードでこそ真価が発揮されるのだろう。ブルージーな調べのソロデビュー曲「かなしみから始まる物語」には、たしかな説得力が宿っていた。
Flowerとは対照的に、挑発的なサウンドとパフォーマンスが魅力のHappinessは、ロックテイスト溢れる「POWER GIRLS」からスタート。それぞれ好対照な川本璃と藤井夏恋のツインボーカル、MIYUUによる大胆かつキャッチーな振り付けはさらにパワーアップしていて、またしても会場は熱狂に包まれる。メンバーが横一列に並び、ダイナミックに腰を振る「Sexy Young Beautiful」のダンスサビは、すでに彼女たちの代名詞だ。そのダンスサビを終えて、パフォーマンスが終わったかと思いきや、またしてもそのトラックが鳴り響き、すかさず彼女たちはキレのある腰振りを披露。このやり取りは何度も繰り返されたが、メンバーたちは全力でやりきり、最後には会場が大きな拍手に包まれた。
昨今はMCとしての才覚を発揮しつつある武部柚那のトークの後は、再びE-girlsが登場し、ミスタードーナツの新商品「TAP! TAP! TAPIOCA!」新CMソングとなる「シンデレラフィット」を披露。カラフルでポップなE-girlsの魅力を改めて感じられる楽曲で、これからのE.G.familyを大いに盛り上げる一曲となりそうだ。
そして大団円ではE.G.family全員がステージに。LDH全体の応援ソングとなった「Y.M.C.A.」から、「I Should Be So Lucky」、「うれしい!たのしい!大好き!」と、ファンたちにはお馴染みの楽曲で、会場は幸せな空気に包まれた。
大きな変革を経て、メンバーそれぞれが自らの道を模索しながら歩んできたE.G.family。その成長のあとがくっきりと刻まれた今回の『E.G.POWER 2019』は、ファンにとってはもちろん、メンバーにとっても忘れがたい公演となったのではないだろうか。アンコールの「ヒマワリ」に滲み出た、彼女たちの変わらぬ絆と前向きな姿勢、そしてファンたちの止まない声援に、ガールズ・エンタテインメントのさらなる可能性を感じた。(松田広宣)