cero、真夏日にホーンセクション交え盛り上げたNHKホール初ワンマン
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「cero Oneman Live 別天」の様子。(撮影:三浦知也)
ceroが5月24日に東京・NHKホールでワンマンライブ「cero Oneman Live 別天」を開催した。
ceroが同会場で単独公演を行うのは今回が初めて。ホール会場でのワンマンは2015年11月の東京・中野サンプラザホール公演「Obscure Nakano SUNPLAZA」以来となる。雨音のSEが鳴り響く中、ゆっくりと場内の照明が落ちると、メンバーがステージに現れる。この日の演奏者は、高城晶平(Vo, G, Flute)、荒内佑(Key, Sampler)、橋本翼(G, Cho)に、厚海義朗(B)、光永渉(Dr)、角銅真実(Perc, Cho)、古川麦(G, Trumpet, Cho)といったおなじみのサポートミュージシャン、そして土井徳浩(Clarinet, A.Sax, Flute)、小西遼(A.Sax, Flute / CRCK/LCKS)、大石俊太郎(T.Sax, Clarinet, Flute)、宮木謙介(B.Sax, B.Clarinet)からなるホーンセクションを加えた総勢11名。ステージ後方に街や川を空撮した壮大な映像が映し出される中、ライブは「Modern Steps」で厳かに幕を開けた。
静寂を切り裂くような角銅の力強いパーカッションで2曲目「魚の骨 鳥の羽根」がスタートすると、ホーンが加わり分厚さを増したアンサンブルに場内のテンションが一気に上昇。3曲目の「ベッテン・フォールズ」では、それまで座席に座っていた観客たちが次々に立ち上がり、めくるめくテンポチェンジを繰り広げる楽曲に乗せて思い思いに体を揺らし始める。ジャズファンク調の軽妙な「ticktack」で場内がクールダウンしたところで、ホーン隊が一旦ステージから退場。高城がこの日のために用意した自作の詩を朗読すると、観客たちは彼が紡ぐイマジネイティブな言葉の数々に静かに耳を傾けていた。
古川の情熱的なガットギターをフィーチャーした「溯行」を演奏したのち、各地で真夏日を記録したこの日の気候を話題にした、高城の「本日、表参道は昼間33℃あったんだそうです」という言葉をきっかけにバンドは「Summer Soul」をプレイ。そして高城、古川、角銅が美しい3声コーラスを聴かせた「夜去」に続けて、この日最初のMCコーナーに。「ここがX JAPANがシン・ゴジラを倒したNHKホールでしょ?」と高城が話題を振ると、荒内、橋本も「NHK紅白歌合戦」の印象深いシーンを口々に語り場内を和ませる。「ひさびさのホール公演ということもあって、僕らも(場内の)テンションを探っていくんで、皆さんも探り探り楽しんでください」という高城の呼びかけでライブは再開。ceroは「Double Exposure」「薄闇の花」をしっとりと届けると、「よきせぬ」「DRIFTIN'」「Orphans」といった橋本の作曲によるポップな楽曲を続けて披露した。
高城のポエトリーリーディングを挟み、ライブは後半戦に突入。ホーン隊が合流し「Waters」が演奏されると、赤と緑の照明が明滅する中、天井から炊かれたスモークがゆっくりとステージを覆っていき、楽曲の世界を幻想的に彩った。疾走感あふれる「Elephant Ghost」で再びギアを上げると、ceroは間髪入れずに重厚なファンクチューン「Buzzle Bee Ride」を演奏。複雑に絡み合うポリリズムの上で4管が入り混じるカオティックなサウンドで観客を沸かせた。浮遊感漂う「ロープウェー」に続けて、本編最後の楽曲として「Poly Life Multi Soul」が披露されると、バンドが繰り出すダンサブルなサウンドに場内はこの日一番とも言える盛り上がりを見せた。アンコールで再びステージに登場したceroが最後の楽曲としてチョイスしたのは「街の報せ」。ノスタルジックなサウンドが場内を満たし、この日のライブは静かに終幕を迎えた。
cero Oneman Live 別天 2019年5月24日 NHKホール セットリスト
01. Modern Steps
02. 魚の骨 鳥の羽根
03. ベッテン・フォールズ
04. ticktack
05. 溯行
06. Summer Soul
07. 夜去
08. Double Exposure
09. 薄闇の花
10. よきせぬ
11. DRIFTIN'
12. Orphans
13. Waters
14. Elephant Ghost
15. Buzzle Bee Ride
16. ロープウェー
17. Poly Life Multi Soul
<アンコール>
18. 街の報せ
※高城晶平の「高」ははしご高が正式表記。