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ケースワーカーは誰の味方なのか? 『健康で文化的な最低限度の生活』吉岡里帆の苦しい選択

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リアルサウンド

 新人ケースワーカーとしてスタートをきって早々ショッキングな事態に見舞われながらも、担当する生活保護受給者・阿久沢正男(遠藤憲一)の社会復帰の背を押す役目を担い、少しではあるが自分に自信を得た義経えみる(吉岡里帆)。しかし、次なる試練が彼女の前に立ちはだかる。

 7月24日に放送された火曜ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)第2話では、えみるが担当する受給世帯である日下部家を訪問する。日下部家は、父親の介護をしながら息子の欣也(吉村界人)と娘のリナ(瑞城さくら)を女手一つで育てる聡美(江口のりこ)の4人暮らし。優しく一生懸命な聡美の姿や、音楽に夢中な欣也の姿を励みに、えみるは気持ち新たに頑張ろうと誓うが、欣也が申告なくアルバイトをしていることが発覚する。

【写真】第2話に登場したえみる(吉岡里帆)と欣也(吉村界人)

 さて、今回のテーマとなるのは、生活保護の不正受給。とはいえ、悪意からはじまった不正ではなく、“知らなかった”ことが思いがけず不正へとなってしまうケースである。生活保護とは普通、定められた基準額から、就労による収入が差引かれた金額が保護費として支給される。しかしこの日下部家は、欣也が無断でアルバイトをし、その収入を申告していなかった。となれば、えみるの立場としては、アルバイトの収入分は徴収しなければならないのである。日下部家を微笑ましく見ていたえみるなだけに、なんとも苦しいところである。

 しかし、新人ケースワーカーとして悪戦苦闘しているのは彼女だけではない。役所の窓口で栗橋千奈(川栄李奈)が、1人のお年寄りに怒鳴られていたのも印象的であった。栗橋がお年寄りから言われていた言葉は「誰の味方なんだ」というもの。これはどうやら、同じく新人ケースワーカーである七条竜一(山田裕貴)も担当する受給者に言われたようで、休憩時間になっても引っかかっていたようだ。

 そんな七条は、えみるが日下部家へ徴収の旨を伝えるべく訪問する時に同行してくれる。「(高校生である欣也に)世の中の厳しさを教えてやるか」などとひょうひょうと口にしながらも、日下部家の中へ1人で向かうえみるの後ろ姿を見つめる瞳がなんとも優しい。演じる山田といえば、公開中の『虹色デイズ』では、寂しがり屋の妹(恒松祐里)をいつも気にかける兄・筒井昌臣役を好演。短い出番ながら、妹を大切に想う兄像と、青春物語を一気に勢いづける存在として、彼よりさらに若い俳優陣を支えるポジションを担った。今作でも、そんな頼れる一面を垣間見せているだけに、マザコンというギャップがまた愛らしい。

 さて、七条から少しの勇気を得て、単身、日下部家で聡美と欣也に対峙するえみるだが、「バイト代を何に使ったのか」と、聡美は欣也の部屋の押入れを強引に開けてしまう。そしてそこから溢れ出てきたのは、大量のCDに、アンプやスピーカー、そして欣也の想いが歌詞としてしたためられたノートなどである。欣也は「馬鹿で貧乏な人間は、夢見んなってことかよ」と叫び、自らのギターを叩き壊してしまい、異常を察した七条は屋内へと駆け込んでくる。えみる、万事休すだ。

 欣也を演じる吉村といえば、この手のポジションにいま最もハマる俳優の1人だろう。彼が終始見せるイラ立ちの表情は、多くの共感を生んでいるのではないか。次週は、そんな吉村演じる欣也と、吉岡演じるえみるの“闘い”が見ものとなりそうだ。えみるは彼らに、どのような寄り添い方をするのか。

(折田侑駿)