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「仕事も恋愛も負けるつもりはない」 『ラジエーションハウス』鈴木伸之が窪田正孝にライバル宣言

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リアルサウンド

 唯織(窪田正孝)の存在で徐々に一丸となっていく甘春総合病院。はじめはラジエーションハウス内のチーム感が見どころであったが、『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)第9話では医師までをも巻き込み、医療とはどうあるべきかを問う。

 父の期待に応えられず、悔しい思いを抱えながら医師として勤務する辻村駿太郎(鈴木伸之)。父親の麗洋医科大学病院教授・辻村丈介(名高達男)の紹介で、政治家の安野将司(中村梅雀)の検査入院の際に主治医を担当することになる。しかし検査入院ではなく実際は偽装入院。週刊誌に偽装入院をすっぱ抜かれた安野は、事態を収束させるために病名をつけろと辻村に迫る。辻村は同時に、倒れて頭部を強打した杏(本田翼)の主治医も担当していた。唯織は杏の容態の悪さに気付き、辻村に追加検査をオーダーするようにお願いする。

【写真】宣戦布告された唯織(窪田正孝)

 しかし辻村は、のしかかったプレッシャーも重なり唯織に辛く当たる。技師と医師は責任が違うと言い、杏のための再検査のオーダーはしないと伝えた。一方、安野に対して辻村は検査をすることで手がかりを見つけようとするが、そこに辻村の父が現れ、検査は不要だと辻村に伝える。なんとか病気を見つけ真実を伝えたい辻村だが、父はそれを認めず、技師たちがいる目の前で辻村を叱責するのだった。辻村は検査を中止にしようとするが、ラジエーションハウスのメンバーは辻村の背中を押す。検査を強行すると、安野はスキルス胃がんが発覚、無事事態は収束を迎えた。そして唯織の検査に対する真摯な姿を見て、辻村は杏の追加検査のオーダーをすると唯織に伝える。今回の件を通して、今まで唯織をどこかぞんざいに扱ってきた辻村が唯織をライバルと認め、お互いを思いやれるようになった。

 辻村の医師としての成長、そしてプライドを乗り越え人としても前に進む様子を描いた第8話。父からのプレッシャーに打ち勝てず、なかなか高みに手が届かない辻村の希望の光となったのは唯織だった。唯織は技師としての技術を極め、患者に対しても真摯に向き合う。最後まで粘り強く病変の発見に努める姿は、杏をはじめ、甘春総合病院の人々に刺激を与え成長させてきた。辻村もまた今回そのひとりとなる。

 父親からのプレッシャーを抱え、自身の目指す医療と大学病院での方向性の違いも痛感し、ずっしりと重荷を抱えた辻村を演じたのは鈴木伸之。最近の出演作では『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で演じた最強最悪のツッパリ高校生・片桐役が注目を集めた。劇団EXILEのメンバーであり、俳優として活動している。

 今回は、爽やかな好青年で完璧な男、さらに家柄も申し分ない辻村というキャラクターが、プライドを打ち砕かれ再度立ち上がるまでが描かれた。主人公のライバルで、さらに完璧な人間となると、好感を持ってもらうのが難しくなりがちだが、辻村は違う。最後には唯織に握手を求め、笑顔で「仕事も恋愛も負けるつもりはない」と伝える素直さがあり、男の友情を感じさせるシーンであった。

 唯織の敵ではなく、よきライバルになれたのは、ストーリーの運び方だけではなく鈴木の好演もあるだろう。苦しい時にめいっぱい苦しみ、自分の心と向き合いながら再度立ち上がる辻村を、寡黙ながらも熱い魂で演じきった。ふとした仕草、うつむき方、振り返り方をとっても、辻村には辻村の抱える背景が投影されているように感じる。そう見えるほどに鈴木は、辻村というキャラクターを徹底して深掘りしたのだろう。

 次週はついに杏の父親が登場する。甘春総合病院の真相がさらに明るみに出るのか。そして杏に医師とバレた唯織だが、2人の関係はどう変化していくのか。

(Nana Numoto)