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『パーフェクトワールド』近づく瀬戸康史と山本美月の距離 松村北斗×岡崎紗絵の関係にも進展が

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 樹(松坂桃李)が高木圭吾(山中崇)からの設計依頼を断ったことを知ったつぐみ(山本美月)は直接東京まで出向き、樹に高木夫妻の想いを代弁する。それはつまり、健常者と障がい者が共に支えあいながら生きていくという、樹とつぐみが乗り越えることのできなかった大きな壁を高木夫妻ならば乗り越えることができると感じたからに他ならない。そしてまた、自分と同じ失敗をしてほしくないという願いも感じ取れる。それはおそらく樹にとっても同様だろう。樹は再び高木夫妻に会うため、松本に行く決意をすることに。

参考:場面写真はこちらから

 6月4日に放送された火曜ドラマ『パーフェクトワールド』(カンテレ・フジテレビ系)第7話。先週から物語は後半戦に突入し、別々の人生を歩み始めたつぐみと樹の姿が描きだされることになったものの、運命のいたずらによって再会を果たす2人。樹は是枝(瀬戸康史)との約束を律儀に守り、つぐみに会ったことを知らせるのだが、それに焦りを感じた是枝。つぐみにプロポーズの返事を求め、すぐにOKを出すつぐみ。そして是枝とつぐみの結婚に向けた準備が着々と進められていくのだ(つぐみの実家に挨拶に行ったシーンはとてもユーモラスであたたかみのあるシーンだった)。

 その一方で松本にやってきた樹は、高木楓(紺野まひる)と直接話をする。いまだに自分が圭吾の夢を奪ってしまうことになると新居建築に踏み出せない楓に樹は、圭吾の夢は何なのかと訊ねる。そして樹は店舗兼住宅という形で、楓の夢である家を持つことと圭吾の夢である自分の店を持つことのふたつを同時に叶えるプランを思いつくのだ。広々としたキッチンとリビングにウッドデッキ。開放的な空間はそのままレストランとして機能することもでき、またキッチンカウンターや玄関など、介護する側にもされる側にもストレスを軽減することができるようにと工夫を凝らした案を、樹は一晩でまとめあげる。

 「どちらかがどちらかの犠牲になってはいけない」。その樹の願いがはっきりと示された、樹にしか作ることのできない設計。これまでのエピソードの中でも、話の中で触れられたり模型を作るシーンは登場したものの、実際に樹だからこそできるバリアフリーの設計がどのようなものかは描かれてこなかったように思える。また、つぐみが樹に県産材を使用することを提案するシーンも登場。木材の地産地消である県産材(地域材)には様々なメリットがあり、地域の林業が活性化されることで経済が潤ったり、木材の輸送に伴うCO2の削減や、さらには多くの地域で補助金制度もあるというのだ。恋愛が主題に置かれた本ドラマではあるが、こうして建築について触れられることで、設計事務所という樹の職業が単なる設定に留まらずに物語に作用していく。それは樹を中心にした登場人物の人間性であったり、物語全体にも奥行きを与えるものといえるだろう。

 ところで、大きな起伏がないながらも着々と進められていった今回のエピソードは、終盤の大きなターニングポイントへ向かうところで幕を閉じた。そんな中で、晴人(松村北斗)としおり(岡崎紗絵)の関係もまた着々と進展し、メインストーリーとは違う形で魅力的な雰囲気を放つ。是枝への片思いが叶わないことがわかったしおりは、晴人を家に招く。そこで彼女は、晴人が義足を外したほうが楽であれば外したほうがいいと提案する。ドラマオリジナルのキャラクターとして登場し、障がいへの理解がなかったしおりに訪れたこの変化。まるでこのドラマを通して視聴者にも同じように理解を深めてほしいという、作り手の願いが込められているように見える。 (文=久保田和馬)