けやき坂46=日向坂46への改名がシーンに与えた影響 複雑化するアイドルグループの仕組み
音楽
ニュース
・ひらがな◯◯の代名詞となったけやき坂46=日向坂46
かみやど(ひらがなかみやど)が、6月29日に渋谷O-WESTで開催するワンマンライブでデビューすることを発表し、話題になっている。
(関連:【写真】日向坂46、2部構成で表現した“けやき坂46”への別れと新たな始まり デビューライブを振り返る)
かみやどは、石綿なこ、萩田ここ、辻ゆか、桜木こと、藤田みゆ、高田ももの6人からなるアイドルグループ。今年1月より開催されていた神宿の新メンバーオーディションにて選ばれたファイナリストであり、チーム神宿の研修生的扱いで活動を開始していく。
というのも、話題になっているのはその、かみやどというグループ名。否が応でも、欅坂46に対するけやき坂46(ひらがなけやき)を連想させる。今年2月にけやき坂46が日向坂46への改名を発表したことを受け、かみやど(ひらがなかみやど)というグループを命名したとも取れるが、いずれにせよけやき坂46がほかのアイドルグループにまで影響を与えたということは明確だ。
けやき坂46は、2015年11月に欅坂46のアンダーグループとして、長濱ねる1人でスタートした。2016年5月に長濱を含む12人のメンバーとなり、同年10月に欅坂46の流れを組む『ひらがなおもてなし会』を開催。2017年にはZeppツアーで断続的にではあるが全国を巡り、ライブが楽しいというグループの“ハッピーオーラ”を少しずつ形成していく。長濱の欅坂46専任という逆境がありながらも、12月に開催した千葉・幕張イベントホールでのツアーファイナルで2期生がお披露目に。ツアーを経てアンダーグループのイメージから完全に脱却した彼女たちは、2018年6月、ついに1stアルバム『走り出す瞬間』をリリース。1年に2度も日本武道館3DAYSを成功させるグループに成長したけやき坂46は同年12月に3期生・上村ひなのを加え、2019年2月に日向坂46への改名を発表する。一つの独立したアイドルグループとしての歩みをスタートさせたのだ。
けやき坂46の歴史を駆け足で説明したが、彼女たちが日向坂46に改名できたのは、時には惨めな思いをしながらも、一人ひとりが未来を諦めなかったからだ。いつしかアンダーグループと呼ぶことが死語になり、独立できたのは彼女たちの努力に他ならない。だからこそ、けやき坂46の呼び方を踏襲したかみやどには、一部で嘲笑するような厳しいコメントも見受けられる。けやき坂46が走り抜けてきた約3年3カ月の軌跡を知っていればそう思うのも無理はない。
・アイドルのアンダー、研修生……何が違う?
しかし、かみやどは呼び方こそけやき坂46と瓜二つであるが、神宿のアンダーグループではなく、研修生として扱うとしている。現在活動している女性アイドルグループを対象に調べてみたところ、そもそもアンダーという呼び名で活動しているのは、乃木坂46アンダー、ラストアイドル2期生アンダー、AKB48アンダーガールズ(選抜総選挙17位~32位までのユニット)といった秋元康プロデュースのグループに限られる。坂道シリーズで唯一、選抜とアンダーという分け方がされている乃木坂46。彼女たちもまたアンダーメンバーとして、ガラガラの会場を経験しながら、今では選抜メンバーにバトンを繋ぐ存在にまで成長している。先日、横浜アリーナで開催されたアンダーライブをもってラストライブとなった伊藤かりんは、大好きだったアンダーライブへの思いをスピーチする一方で、「選抜だけにこだわらないという姿勢でやってきたけど、確かに選抜に入ることができていたら、世界は広がって、まだ知らない素敵な未来があったかもしれません」とも吐露していた。乃木坂46アンダーの場合、一人ひとりのメンバーが選抜に移動する可能性を秘めており、その点ではグループ全体のけやき坂46とは若干考え方は変わってくる。
そのほか、アンダーグループに近い概念としては、姉妹グループ、研究生といったものがある。例えば、SKE48やNMB48はAKB48の姉妹グループ。AKB48の選抜として活動することもあるが、基本的に昇格といった考え方はなく、それぞれが独立したグループとして活動している。指原莉乃がプロデュースする=LOVEの姉妹グループ・≠MEも同様。アップアップガールズ(2)はアップアップガールズ(仮)の妹分であり、2期メンバーという複雑な立場だ。そもそもアップアップガールズ(仮)が、ハロプロエッグの研修過程を修了し、さらなるステップアップのために結成されたグループということで、幾重にも層を成しているようにも捉えられる。
そんな中、注目したいのが2015年に『TOKYO IDOL FESTIVAL 2015』でお披露目となった桜エビ~ず。私立恵比寿中学の研究生的存在のグループで、オープニングアクトとして出演したり、カバーを披露することも多かった。しかし、最近では12カ月連続新曲リリースやワンマンライブも精力的に行っており、独自のカラーを取り入れている印象を受ける。ほかにもハロプロ研修生という巨大な母体からは定期的に新グループが誕生しており、今年8月にはBEYOOOOONDSのメジャーデビューも決定している。寸劇を大胆に取り入れた「眼鏡の男の子」は衝撃的だ。
このように活動形式は異なれど、今も多くのアイドルグループが日の目を見ようと日々活動している。(渡辺彰浩)