上村聡史演出「オレステイア」開幕、生田斗真「演劇でしか味わえない体験を」
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新国立劇場 2018/2019 シーズン「オレステイア」囲み取材より。左から横田栄司、神野三鈴、生田斗真、音月桂、趣里。
新国立劇場 2018/2019 シーズン「オレステイア」が、本日6月6日に東京・新国立劇場 中劇場で開幕。これに先駆けてフォトコールと囲み取材が行われた。
イギリスの作家ロバート・アイクによる「オレステイア」は、アイスキュロス作「オレステス」の悲劇を中心とした「オレステイア」3部作を軸に、そのほかのギリシャ悲劇を盛り込んで再構成した戯曲。今回は上村聡史が演出を手がける。
アトレウス家に起こる惨劇がサスペンスタッチかつスピーディに描かれる本作では、長男のオレステス役を生田斗真、次女のエレクトラ役を音月桂、長女のイピゲネイア役を趣里、父アガメムノン役を横田栄司、母クリュタイメストラ役を神野三鈴が担当。フォトコールでは第1幕から1シーンが抜粋して公開された。アトレウス一家は、食卓を囲んで何気ない会話を繰り広げるが、どこか話が噛み合わない。家族の間には次第に不穏な空気が流れ始め……。
フォトコール後の囲み取材には生田、音月、趣里、横田、神野が登壇。まず生田は自身が演じるオレステスについて「何が現実で何が夢なのか、ひたすら思い悩んでいる役」と分析し、「今の時代はInstagramやYouTubeで短い映像が多く観られていますが、本作の上演時間は約4時間半。僕は舞台上に出ずっぱりなので、僕の腰が壊れるか、お客さんのお尻が壊れるかのガチンコ勝負になってくると思います(笑)」と会場の笑いを誘った。
「私は普段、ミュージカル作品に出演しているので、今回のような会話劇では新しい挑戦が多い」と語る音月は「演出の上村さんからは変化球がたくさん飛んでくるので、それをどう受け止めて皆様にお伝えできるかが勝負です」と意気込みを語る。趣里は「上村さんの美しい演出で、見ごたえたっぷりになると思います」と期待を煽ると、「人生において刺さるセリフがたくさんちりばめられているので、お客様と共有できれば」と観客に呼びかけた。
横田は自身が演じるアガメムノンについて「ギリシャの総大将であり、一家の長なので、国家の利益と家族のどちらを犠牲にするか、天秤にかけつつも戦争に進んでいく役です。(神野)三鈴さんと激しい夫婦喧嘩を繰り広げるので、そこもお楽しみに(笑)」とアピール。本作について「何千年も昔から変わらない人間の普遍的な愛をテーマにした作品」と述べる神野は、「このキャスト・スタッフでしか作れない作品という自負を持って初日を迎えたい」と自信をのぞかせた。
生田は稽古を振り返ると「重いシーンも多いですが、チームで鼓舞し合っていたので、みんなナチュラルハイで乗り切りました(笑)」と笑顔。音月が「ダメ出しのときに(生田)斗真くんがクシャっと笑うことがあって、その微笑みを心の癒しにしていました(笑)」とエピソードを明かすと、生田は「内容がハードな芝居なので、笑顔もないと(笑)」と付け加えた。
横田も稽古時を回想し、「これまでに経験がないくらい、地道な苦しみが長く続きました。ストイックな時間を乗り越えたぶん、本番ではお客様のエネルギーとイマジネーションの力をお借りして、稽古の時間が報われたらいいなと」と噛み締めるように語る。これを聞いていた神野も「人間の剥き出しの感情が舞台上に充満します。受け止めるほうも大変でしょうけれど、生の芝居でしかできないエネルギーをお伝えできたら」と目標を掲げた。
生田は観客に向け、「長時間の作品なので、本当にお尻に気を付けてください! いいクッションもご用意していますし、休憩は2回あるのでストレッチしていただいて……」と強調。最後に「ここまで長い時間、1つの物語に没入できるのは演劇でしか味わえない体験だと思います。楽しんでいただけたら」と結んだ。
「オレステイア」の上演時間は途中休憩を含む約4時間20分を予定。公演は6月30日まで。
新国立劇場 2018/2019 シーズン「オレステイア」
2019年6月6日(木)~30日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場
原作:アイスキュロス
作:ロバート・アイク
翻訳:平川大作
演出:上村聡史
出演:生田斗真 / 音月桂、趣里、横田栄司 / 下総源太朗、松永玲子、佐川和正、チョウ・ヨンホ、草なぎ智文、高倉直人 / 倉野章子、神野三鈴
※草「なぎ」智文のなぎは弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記。高倉直人の「高」ははしごだかが正式表記。