テヨンが大切にする“伝える”ということ 自身の現在地示した1stミニアルバム『VOICE』を語る
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テヨン(少女時代)の日本1stミニアルバム『VOICE』が6月5日に発売され、ランキングを好調に推移している。テヨンは2015年にソロデビューを果たし、韓国国内ではミニアルバム3作、フルアルバム1作、シングル3作(デジタル含む)をリリースしている。
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日本では、2018年にショーケースツアーを成功させたが、意外にも作品は発表しておらず、本作はファンも待ちに待ったリリースだ。全国ソロツアー『TAEYEON JAPAN TOUR 2019 ~Signal~』では、その圧巻の表現力でファンを魅了した。
テヨンは「去年のショーケースライブを終えて、今回のツアーまでの間、ソロシンガーとしての自分自身についてより知ることができました。自分のいまの実力も含め『高揚すると自分はこうなるんだな、こういう性格なんだな』って、自分を振り返る機会になりました」と語っており、そんなツアーを経て制作に臨んだのが『VOICE』だ。改めて自分のことを見つめ直し、シンガーとして女性として成長を遂げ、進化した自身の“現在地”を、全てパッケージした。
「ソロとしてのアルバムになるので、私自身の想いを込めたいと思いました。私自身を表現している歌詞を歌いたかったんです。だから作詞家の方には、今私が言いたいこと、伝えたいことをお伝えして、とても美しい歌詞を書いていただきました。共感できる曲ばかりです。今の私、今という現実にいる私の気持ち、情緒を伝えたいと思いました。」とテヨン自身も話す通り、『VOICE』では、テヨンの等身大の想いを豪華作詞家陣が美しい日本語で紡いでいる。
『VOICE』に収録されている6曲は、トロピカルハウス調やポップR&Bなど、最新のサウンドに親しみやすいメロディが乗った楽曲が並んでいるが、「最近はジャンルを限定していなくて、他のアーティストとコラボレーションする機会も多いですし、異なるジャンルのというか、枠に捉われずに自由にできていると思います」と本人が語っているように、様々な音楽性を感じさせてくれる。どの楽曲も、あくまでも言葉を引き立てようという意図が感じられるサウンドメイクが施され、日本語の細かいニュアンス、繊細な部分をきちんと感じさせてくれるその表現力には、脱帽だ。
「スタッフの皆さんに助けていただきながら、なんとか歌うことができました。レコーディング後もライブに向け、そして今も歌詞を何回も読み、意味ももっと理解しようとしています。言葉の壁はあるかもしれませんが、素晴らしい歌詞をいただいたので、きちんと理解して歌おうと努力しています」と歌と真摯に向き合い、たとえ母国語ではなくとも、“伝える”ことに全精力を注ぐ。
『VOICE』の中で、特にお気に入りの曲をテヨンに聞くと、「Vanilla」と「HORIZON」の名前が挙がった。それぞれ歌詞に惹かれたとのことで、「Vanilla」については「素直に思いを伝えることができない、女性の心情を歌っていて、特に女性に共感していただけると思います」と語る一方、「HORIZON」はレコーディングでの苦労もあったという。「メロディが持っている雰囲気ってありますよね。それを最大限に活かして、魅力的に表現するというのが私の役目ですが、時にそれが難しい時があります。その日、その時で色々な感情があるんです。この曲のレコーディングの時は、曲の持っている雰囲気がたまたま私には合わない日だったようで大変でした。でもこの曲の〈今は恋のために生きてるんじゃない。そう、だけどあなたが生きるための恋をくれる〉というフレーズが大好きなんです」と教えてくれた。
楽曲が持つ感性が、それを最大限に引き出す“歌い手”の感性とぶつかり合いながらも折り合った時に聴き手に伝わる。“伝わること”を常に一番大切に歌い続けるシンガー・テヨンはまだまだ進化を続けていくのだろう。(田中久勝)