『なつぞら』清原翔×北乃きいが初めて結ばれたカップルに 一方、あまりに切ない天陽の涙
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『なつぞら』(NHK総合)が、第10週「なつよ、絵に命を与えよ」より、なつのアニメーターとしてのストーリーに入った。
昭和31年10月、北海道から上京したなつ(広瀬すず)は、結果的に半年余りで東洋動画に入社することになる。「ようこそ、アニメーションの世界に」ーーアニメーターを目指す理由を作った仲(井浦新)に歓迎されるなつ。作画課で拾った画を描き写しその技術を学ぼうとしたのをきっかけに、仕上げ課にいるなつが特別にアニメーターになる試験を受けさせてもらえることとなる。そこで出会うのが仲をサポートする麻子(貫地谷しほり)。見てくれだけでなつを判断していた麻子が「白娘の気持ちになっているうちにそうなったんです」という、彼女の魂の込もった熱い感情、センスを滲ませていることに気づき、徐々に目の色、表情を変えていく。
“朝ドラ受け”でお馴染みの『あさイチ』(NHK総合)で博多華丸・大吉の2人は、なつと麻子を『半分、青い。』(NHK総合/2018年)のやがて掛け替えのない大親友に変わっていく鈴愛(永野芽郁)と裕子(清野菜名)に例えていた。ほかにも、仲がなつをランチに誘う喫茶リボンが、どこか『ひよっこ』(NHK総合/2017年)のすずふり亭を思い起こさせる作りだったりと、100作目の名に恥じないこれまでの朝ドラをイメージさせる要素が盛り込まれている週でもある。
第10週でなつたちが手がける長編アニメ映画『白蛇姫』は、なつが高校時代に演劇大会で題材にしていた物語でもある。その顧問だった倉田先生(柄本佑)は、十勝の森に住む砂良(北乃きい)を白蛇の化身のモデルとしていたが、この週のラスト第60回で砂良はなつのもう1人の兄・照男(清原翔)からプロポーズを受け、見事結ばれることとなる。
2人が初めて出会ったのは、なつを助けてもらったお礼にと照男が富士子(松嶋菜々子)と共に阿川家を訪ねた時だ。「白蛇の化身のモデルになった綺麗な人」となつは事前に柴田家の家族に話しており、十勝という大自然でそこまで女性との接点がないと思われる照男は、きっと高鳴る鼓動を感じていたはずだ。そこから照男は、頼まれてもいない牛乳を砂良に届けたり、彼女が鍋に牛乳を入れていたのを柴田家で真似をしたりと、とにかく好きという感情を抑えきれない様子。明美(平尾菜々花)が木彫りの熊を見てつぶやく「熊がラブレターくわえてる」に過剰に反応したり、砂良がなつに向けて言った「いつでも待ってるからね」という言葉に勘違いをして即答で「はい」と答えたり。泰樹(草刈正雄)の無理矢理に結婚をさせようとする企みを経て、照男が砂良に一途であることをなつが度々イジっていたことも、これからも柴田家の関係は変わらないことを示すシーンであった。
そんな照男の砂良へのプロポーズは、菊介(音尾琢真)と天陽(吉沢亮)を巻き込んだまさかのコント仕立て。木彫りの熊を伏線に、照男が“ラブレター熊”として阿川家に上がり、サケを差し出しサプライズプロポーズするというものだ。「食べることだけは一生困らせない。美味しい人生を約束します。どうか俺と一緒に来てください」という照男のプロポーズ、銃を構える父・弥一郎(中原丈雄)に「撃つ時は自分で撃つから。嫁入り道具にはそれをちょうだい」と声をかける砂良。酪農家の息子として、猟師であり芸術家の娘として、それぞれの立場が見えるセリフであり、砂良の満面の笑みは秘めていた照男への気持ちが伝わって来るようだ。
第11週「なつよ、アニメーターは君だ」の予告では、柴田家に砂良が加わり一家団欒としている場面、さらには新婚旅行で新宿・風車に訪れる照男と砂良のシーンがある。ここで気づくのは、『なつぞら』において恋愛が実るのは、意外にもこの2人が初めてということだ。天陽はなつが上京する際、互いの家族が見守る中、真っ直ぐに気持ちを伝えるも、その思いを閉ざそうとしている。キャンバスに描いたなつの絵を自らの手で新しい色で上描きし、涙を流すシーンはあまりにも切ない。
ほかにも、夕見子(福地桃子)を思う雪次郎(山田裕貴)は、一人息子として雪月の後を継ぐことと、なつの兄・咲太郎(岡田将生)が生きる演劇の道とで葛藤しているようにも見える。そんな咲太郎を巡る恋路には、川村屋のウエイトレス・佐知子(水谷果穂)、煙カスミ(戸田恵子)の付き人・レミ子(藤本沙紀)、さらには川村屋のマダムこと光子(比嘉愛未)が参加と、最も矢印が交錯している状態に。照男と砂良の次を飾るカップルは生まれるのか、まだまだ続く『なつぞら』の物語に期待だ。(渡辺彰浩)