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『東京独身男子』最終回、唯一結婚に漕ぎ着けたのは“あの人” 「出来る方がやる」ことで未来は開く

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リアルサウンド

 高橋一生、斎藤工、滝藤賢一の3人がアラフォーの“AK男子=あえて結婚しない男子“を演じる『東京独身男子』(テレビ朝日系)が遂に最終回を迎えた。

 AK男子3人がそれぞれの事情から婚活に奮闘する物語だったが、結果的に無事結婚に漕ぎ着けた者はいたのか。

 まず岩倉(滝藤賢一)とAK女子・透子(桜井ユキ)。父親との3人での同居生活に無理を感じ、家を出た透子。これからの関係性に悩んでいた岩倉だったが、かずな(仲里依紗)のとある発言がきっかけで、今までの自分のスタンスを根本的に変える。

 料理上手な太郎(高橋一生)とその母親(萬田久子)に倣ってかずなに料理を頑張るように冗談半分で勧めるメンズ陣に対して、かずなが言った一言「でも太郎ちゃん料理上手だし。出来る方がやればいいんじゃないの?」。岩倉は透子に「君を大事にするため、親父を大事にするために俺が変わる」と宣言し、「自分が無期限で仕事を休む」と驚きの提案を繰り出す。

 そこで彼が話す3つのポイントは非の打ち所がない。「1.出来る方がやる。君より俺の方がキャリアが長い、だから俺は休める。2.これからの事務所は君が支える、それくらいの覚悟を持ってやってほしい。3.ここまで考えるくらい君が好きだ。」

 この予想外の提案を受けて、透子からも追加提案が。それは結婚の申し入れだった。「だったら結婚しましょ。さっきの提案、家族になった方があなたを支えられる。お父さんも支えられる」。互いに譲れないものを主張し合い、どちらかに犠牲を強いるのでも決裂するのでもなく、「出来る方がやる」。この至ってシンプルな解決策に辿り着けたことで、岩倉は晴れてまさかの大逆転で結婚することになったのだ。

 結婚報告のために集まったAK男子3人。岩倉の「パートナーを得る分失うものもある気がして。大事なものが増えるってことは不安も増えるってこと」という発言に、3人してある事実に気づかされる。それは結婚によって人生の不安がなくなることはないということだ。

 最終話のアジェンダにも抜擢された「結婚してもしなくても今の自分に納得することが幸せのはじまり」。

 これは舞衣(高橋メアリージュン)もかずなも言っていた通り、「自分の足でちゃんと立てれば大切な人を支えられる」にも通ずるところがあるように思う。自分の不安を全て棚上げにして、その解消策として「結婚」を選んだところでどちらかが相手に寄りかかりすぎてバランスが取れなくなってしまう。そして何より「結婚」はそこまで万能でもないのだ。

 かずなとようやく正式に交際することになった太郎もさらに大きな一歩を踏み出していた。三好(斎藤工)から借りていた部屋が売りに出されることが決まり、引っ越しすることになる。そこで太郎はかずなに同棲話を持ち掛ける。

 「本当はここでプロポーズすべきなんだろうけど」という前置きの後に、そこには自分都合だけでない真摯な太郎ちゃんの心からの誠意があった。

「自分の足で立てるようになることを先決にここから始めてもらえませんか? 今は“こうしなくちゃいけない”じゃなくて“こうしたい”を選びたい。かずなに側にいてほしいんだ」

 再婚する気がなく“自分の人生何も残らないんじゃないか”と不安になるという三好も、一度クリニックという自分の大事なものを失いかけたことがきっかけで本当に“自分にとって”大事なものが見えたという。

 ラストシーンはお馴染みAK男子3人の男子校ノリのじゃれ合いが見られた上で、「家族であってもなくてもこうやって一人一人が寄り添えばやっていける。思いが繋がり笑い合える、そんな暮らしを続けていきたい。ここ東京のどこかで」というメッセージで締めくくられる。

 人生の不安が一気に解消してしまうほどの効力は持ち合わせていない「結婚」。「今の自分」に納得できていてはじめて大切な相手を支えられるということを双方肝に銘じておく必要があるだろう。生活や暮らしぶりについてどうしても調整が必須になった際には「出来る方がやる」というシンプルな信条を互いに持ち合わせ歩み寄る。その上で「正解」というよりは「より良い2人にとっての最適解」を見つけていくのが幸せへの近道だと言えそうだ。(文=楳田 佳香)