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『パーフェクトワールド』山本美月が気づいた、松坂桃李への後悔 最終回が迫るなか波乱の予感

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リアルサウンド

 高木夫妻の新居の地鎮祭の日、突然大きな地震が発生し、樹(松坂桃李)と連絡が取れないことに不安を感じたつぐみ(山本美月)は家を飛び出す。もし樹が身動きの取れない状態にあったなら、排尿できずに体内に毒素が溜まり尿毒症になる可能性があり、場合によっては死に至る。それを長沢(中村ゆり)から知らされたつぐみは、さらに不安を募らせていくことに。11日に放送された『パーフェクトワールド』(カンテレ・フジテレビ系)第8話は、序盤にこそ大きな出来事が描かれる一方で、明確に物語が動くエピソードではなかった。しかし、じわじわと静かに、そして確実にこのドラマ全体に大きな変化をもたらすエピソードとなった。

参考:場面写真はこちらから

 山奥にある別荘の小屋で、資材の下敷きになって倒れていた樹を何とか見つけ出したつぐみ。避難所にたどり着いた2人は、スタッフの厚意でワゴン車の中で一夜を過ごすことになる。その一方、東京から2人を心配して長野へと向かう是枝(瀬戸康史)と長沢。翌朝ようやく長野にたどり着いた2人は、樹とつぐみの無事な姿を見て一安心。しかし是枝は、避難所のスタッフから渡された、つぐみが描いた樹の寝顔の絵に胸騒ぎを覚えることになるのだ。

 樹という人物の性格や職業性を示す“建築”というファクターと同様に、このドラマにおいてつぐみの描く絵は極めて重要な役割を担っている。例えば高校時代につぐみが樹への想いを胸に秘めながら描いた絵。それをこっそりコンクールに出した是枝と、コンクールで金賞を受賞して掲示されているのを見て心動かされた樹。さらにその絵は、つぐみが樹のことを吹っ切るために捨てられてしまい、それを知った是枝はつぐみが思い出ごと樹を断ち切ろうとしていると察し、つぐみを信じるきっかけへと繋がる。そのように、彼らの切ない関係性を構築してきた“絵”という要素。今回の樹の寝顔という新たな絵は、その関係性をかき乱すことになるのだろうか。

 また今回のエピソードの終盤、地鎮祭を終えてパーティを開いた高木夫妻。そこで高木圭吾(山中崇)はこうスピーチする。「この先何が起きようと受け入れられる自信がある。そう思えるくらい、この人生に後悔はない」。この言葉で思い出すのは、やはりこの物語のタイトルである「パーフェクトワールド」だ。「大事に思う人や思ってくれる人がいてくれるだけで、世界(人生)は完璧だ」という意味を持つというこのタイトル。つまり高木夫妻は、すでにその“パーフェクトワールド”にたどり着いたということに他ならない。

 そのスピーチにハッとさせられるつぐみ。彼女は樹との間にあった様々な困難を諦めたことの後悔に気が付いたのだ。思う人・思ってくれる人がいる。そのことだけで捉えれば、つぐみも樹もすでに“パーフェクトワールド”といえる部分に達しているといえよう。もちろん一方通行ではありながら、それぞれ想う相手がいる是枝も長沢も同様だ。違うことは、それに自信を持って気付くことができるかどうか。それを阻害してきた“後悔”を拭い去るために動き出したつぐみと樹。これまでのじれったさで積もりに積もったものがすべてさらけ出される次週のエピソードは、まるでその反動のように激しい展開になる予感がただよっている。 (文=久保田和馬)