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藤井美菜、自分の色を探してあがいた20代、日本と韓国を行き来し独自のキャリアを積み重ねる!

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『潤一』に出演した藤井美菜

日本での活動に加え、2012年より韓国でも女優としての活動を開始し、ドラマのみならずバラエティなどにも出演し人気を得て、キャリアを築いてきた藤井美菜。今年4月より韓国での活動をさらに本格化させ、YouTubeのチャンネルを開設、7月からは新ドラマ『ドクター探偵』で久々の韓国ドラマ出演を果たす。

一方、日本国内でも、確実にその存在感を高めている。1月クールのドラマ『節約ロック』では上田竜也(KAT-TUN)演じる主人公に愛想を尽かせ、別れた元カノを好演し話題に。そして、直木賞作家・井上荒野の小説を原作に、志尊淳を主演に迎えた全6話の連作ドラマ『潤一』では、妊娠中に志尊が演じる謎めいた青年・潤一と出会い、心惹かれていく映子を演じている。

昨年、30歳の誕生日を迎え「ようやく自信と呼べるようなものが少しだけついて“もっと遊ぼう!”、“守りに入るのはやめよう”と思えてきた」と笑う彼女に話を聞いた。

そもそも、韓国語を学び始めたのは大学の第2外国語として。仕事のためでもなく「好きな韓国ドラマを字幕なしで観たい」という気持ちから始めたのだが、そのタイミングで韓国ドラマ『ドラマの帝王』のオーディションの機会が舞い込む。しかも役柄は“韓ドラを見て、韓国語が少し話せる日本人”というドンピシャと言える人物で、見事にこの役をゲット。

「この作品をきっかけに、韓国の方に“韓国語を話しているけど、この藤井美菜って誰?”という感じで知っていただけました。すごく幸運だったし、縁と出会いだったと思います」と振り返る。

その後、韓国にてドラマだけでなくバラエティ番組にも積極的に出演。特に、芸能人同士が“仮想結婚”をするというバラエティ『私たち結婚しました』で人気スターのイ・ホンギ(FTISLAND)とカップルを演じたことが大きな話題を呼んだ。

大人になってから学んだ語学を駆使し、その国で女優として仕事をする苦労は並大抵のものではなかっただろう。しかも、作品で決められたセリフを言うだけでなく、瞬発力が求められるバラエティ番組ともなれば尚更である。「日本にいたときでさえ、バラエティに出て話したことなんてほとんどなかったのに(笑)」と藤井も自らの思わぬ変化に驚いているよう。

「もともと、自分の中に保守的でなかなか変われない部分があったんですが、それが韓国に行き、言葉も文化も環境も違う場所に放り込まれて、荒療治じゃないけど、変われた部分が大きかったですね。私、1988年生まれなんですけど、同世代に個性的で魅力的な女優さんが多いんですよ。10代後半から20代の前半にかけては“個性がない”、“自分だけの色がない”とあがいていた時期もありました。そんな中で韓国に行ったことで“自分の色を見つけられるかも”と思えたような気がします」

新垣結衣に吉高由里子、戸田恵梨香、榮倉奈々、佐々木希に菜々緒……確かに“1988年生まれの女優”と検索すると錚々たる面々が出てくる。そんな中で、彼女は日本と韓国を股にかけて独自のキャリアを積み上げていったが、韓国での活動は、単に広い層からの支持を集めただけでなく、異なる文化での作品づくりに触れたことが刺激となり、日本での活動においても、彼女に“幅広さ”や“深み”をもたらす結果となった。

「今回、『ドクター探偵』という作品で久々に韓国のドラマに参加して、改めて感じたんですが、あちらは役者さんがすごくアグレッシブなんです。俳優さんが現場でどんどんアイデアを出すし、セリフや設定を変えたり追加することも厭わない。作品が面白くなるのであれば、それが受け入れられるんです。日本の場合、決められた台本の中で、どう自分なりに色をつけて遊ぶか?という部分が大きいのですが、韓国ではそもそもの枠組みまで変えちゃうのもアリで(笑)、その中で私自身にも、柔軟性やアグレッシブなところが出てきたなと思います」

実際、20代前半の頃の彼女に関しては“真面目な優等生タイプの美女”というイメージが強かったが、ここ最近、そんなイメージを打ち破る個性的なキャラクターを演じる機会が増えてきた。まもなく1週間限定で劇場公開され、その後、ネット配信とテレビ放送も始まるドラマ『潤一』は、まさにそんな作品のひとつ。

6人の女性との関係性の中で、志尊淳が演じる謎めいた青年・潤一の輪郭が少しずつ浮かび上がってくるという、ハッキリした“答え”や勧善懲悪が求められがちな昨今の日本のドラマ界の流れとは一線を画す、ドラマらしくない作品である。藤井の口からは「妙な色気」「妙な面白さ」「妙な空気感」など、たびたび「妙な」という言葉が衝いて出るが、作品の核心を表していると言える。

「最初に脚本を読んで、その後、原作を読んだのですが、本当に輪郭がハッキリした物語ではなくて、メッセージは確実にあるんだけど、善悪もハッキリしないし、モラルが崩壊しているような部分もあって……(笑)。でも、そこに妙な魅力、面白さがあったんです」

藤井自身、未婚であり、妊婦を演じるのも初めて。彼女が演じる映子は出産を控え、傍から見れば幸せに満ち溢れているのだが、どこかに戸惑いも感じている。

「戸惑いもあるし、でも幸せも確実に感じている。そのグラデーションが難しかったですね。黒でも白でもない感情をどう表現するのか? 夫も奥さんのお腹が大きくなっていく中で、きっと戸惑いを感じていて、今まで夫婦としてガッチリとハマっていたはずの部分に隙間が生まれて、そこにちょうど潤一が現れて……(笑)。私自身、未婚で出産経験もないですが、なんとなく映子の気持ちが分かってしまう自分もいて、いや、自分がそういう局面に直面したら、最終的にモラルがストップをかけると思うんですが(笑)、もしかしたらこれは、なさそうでありそうな物語なのかもしれないなと」

昨年の7月に30歳の誕生日を迎えた。20代を「結果的に、想像以上に面白い経歴を歩んでいて、びっくりしたし、嬉しかった」と振り返りつつ、30代は「もっともっと大きな気持ちで楽しみたい」とも。

「20代は、保守的で心配性なのに(苦笑)、韓国に行ったり、経験のないことに挑戦して、緊張感もあったし、周りの目を気にするような意識も強かった。でも、そうやっていろんな経験をしたことで、それが今になってようやく、ひと安心の材料になってるのかなと思います。いや、遅いくらいですけど(笑)、ようやく自信と呼べるようなものが少しだけついて“もっと遊ぼう!”、“守りに入るのはやめよう”と思えてきました」

4月から韓国での活動を本格化しつつ、もちろん、日本でのドラマや映画へも積極的に出演していくつもりだ。

「今回の『潤一』は是枝裕和監督がいらっしゃる“分福”のプロデュース作品ですが、是枝さんが描くような日常の中での心の動き、独特の日本らしさがすごく好きで、まさに今回の役で演じたような黒でも白でもない色、グラデーションを丁寧に演じるような役柄を演じていきたいです」

「これからさらにアグレッシブに!」ーー20代同様にこれからも、誰も歩んだことのないキャリアを切り拓いていく姿を見せてほしい。

取材・文:黒豆直樹 撮影:源賀津己

『潤一』は6月14日(金)より丸の内ピカデリーにて1週間限定上映
Amazonプライムビデオ、iTunesほかにて6月26日(水)よりデジタルセル先行配信
ドラマ『潤一』は関西テレビにて7月12日(金)より放送
日本映画専門チャンネルにて7月13日(土)より放送

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