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仏現代アートの巨匠ボルタンスキー、過去最大級の回顧展が開催中

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『クリスチャン・ボルタンスキー —Lifetime』展が国立新美術館にて6月12日(水)に開幕。現代フランスを代表する作家、クリスチャン・ボルタンスキーの活動の全貌が紹介されている。

1944年、フランス・パリ生まれのクリスチャン・ボルタンスキーは、歴史や記憶、人間の痕跡をテーマとしたインスタレーションで国際的に活躍するアーティストだ。

左より《シャス高校の祭壇》(1987年)、《聖遺物箱(プーリム祭)》(1990年)、《小さなモニュメント》(1986年)

1960年代後半から短編フィルムを発表、1970年代には写真を用いて自己や他者の記憶にまつわる作品を制作し注目を集めるようになったボルタンスキー。以後、ヴェネチア・ビエンナーレやドクメンタをはじめとる国際的な芸術祭で活躍し、日本でも「越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」などに参加している。同展は、大阪の国立国際美術館を経て東京の国立新美術館、そして長崎県美術館へと巡回する、日本では過去最大級の回顧展となる。

黒い服を積み上げた《ぼた山》(2015年)と、天井から様々なイメージが印刷されたヴェールが漂う《スピリット》(2013年)

タイトルの『Lifetime』とは、ボルタンスキーの人生の時間を指す。活動初期の作品から最新作まで約50点の展示を通して、彼のアーティストとしての人生の展開を観ることができる。

ただし、それらは年代順に並べられるのではなく、ボルタンスキー自身が各会場に合わせて個々の作品を組み合わせ、一つの大きなインスタレーションとして構成している。

映像作品《アニミタス(白)》(2017年)

1969年の実験的な映像作品《咳をする男》から始まり、子どもたちのモノクロ写真を神聖な祭壇のように配置した《モニュメント》シリーズ、たくさんの黒い服が積み上げられた《ぼた山》、数百本の風鈴がゆらめく映像作品《アニミタス(白)》など、ボルタンスキー氏が長いキャリアの中で生み出してきた作品からは、集団や個人の記憶、歴史、宗教や死にまつわる一貫したイメージが立ち現れてくる。

《青春時代の記憶》(2001年)
東京展のために制作された《幽霊の廊下》(2019年)

「私の作品は観る人それぞれの人生を映し出す鏡のようなもの」と語るボルタンスキー氏。「問題を提起するものであって、答えを出すものではありません。感動を与えるようなものでもありません。私が提起した問題から触発されて、皆さん自身が、ご自分で問題提起をしていただきたいと思います」。

光と陰を巧みに用いた幻想的な演出とともに、心臓の鼓動や人々の囁き、風鈴の音色など、会場内にかすかに響く音が、観る者を実在と不在のはざま、生と死のはざま、過去と来世のはざまへと誘う。

「展覧会をひとつの作品として観てください。その中にある詩や、自分自身の思い出、そしてそこから立ち現れる哲学的な考察に身を任せほしい」。

同展のために制作された《白いモニュメント、来世》(2019年)

「DEPART(出発)」のネオンサインで始まり、「ARRIVEE(到着)」で締めくくられる同展。ボルタンスキーの芸術人生のすべてを堪能してほしい。

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