黒崎真音×ZAQが語る、アニソン歌手としての危機感とサバイブ術「ギリギリのところで戦ってる」
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黒崎真音がニューアルバム『Beloved One』をリリース。これに伴い、リアルサウンドでは2回にわたって黒崎の特集を展開する。
その第1弾として今回は、ともに「シンパシーを感じる」と口を揃える彼女と盟友・ZAQの対談を企画。ゴシックかつドレッシーな衣装に身を包み、ゴリゴリのメタルヘッズを自称する黒崎と、サウンド/スタイリングともにヒップホップヘッズ全開のZAQ。一見水と油のような両者の、それでも繋がるフレンドシップの正体とは? そして人気、キャリアともに十分な女性アニソンシンガーによるアニメソングの作り方とは? 幅広く話を聞いた。(成松哲)
「真音さん、なにかに抗ってますよね?」
ーーおふたりの楽曲や今日のスタイリングを比べてみると、この対談って意外な組み合わせのような気もするんですよ。
黒崎真音(以下、黒崎):そうですか? 普段から仲良くしていることもあって今日もZAQちゃんに対談をお願いさせてもらいました。
ZAQ:ごはんを一緒に食べに行っても、ファッションの話ってほとんどしないですもんね。
黒崎:音楽の話にしても、お互いの好きなジャンルや目指すサウンドの話というよりは、シンガー同士だからできる話……体やノドのメンテナンスの仕方みたいなことを話すって感じですし。でもZAQちゃんにはなんかシンパシーを感じるんです。初めて見たときから「なんか似てるな」って思ったというか。
ZAQ:それは私も思ってます。
ーーそもそもその「初めて見たとき」っていつ頃なんですか?
黒崎:6~7年前に私がMCをやっていた『アニぱら音楽館』っていうテレビ番組にZAQちゃんがゲストに来たときですね。で、デビュー前にZAQちゃんがやっていたアルバイトの話をして……。
ZAQ:そうだ! 私、カラオケのガイドボーカルのアルバイトをしていたんですけど、そのとき真音さんの曲を歌っていたので、そのお話をさせていただいたのが最初の会話でしたよね。
黒崎:私の「UNDER/SHAFT」っていう曲を歌っているって言ってくれて。
ZAQ:だから某メーカーのカラオケで「UNDER/SHAFT」をリクエストすると私の歌声が流れるんです(笑)。
ーーそしてお互いの印象が「なんか似てるな」だった、と。
黒崎:というか「あっ、この子、ヤンキーだな」って思ったんですよ(笑)。
ZAQ:あはははは(笑)。
黒崎:すごく気合いが入っていたというか、やってやるぜ感が強くてむちゃくちゃトンガってたから、すごく印象に残っていたんです。そういう気持ちって自分にもあるから、初対面の時点でZAQちゃんには近いものを感じていたし、その番組での共演以来ライブやイベントで一緒になることが多くなって。で、連絡先を交換したのが……。
ZAQ:『ニコニコ超会議』(2015年)ですね。
黒崎:『超会議』のステージでZAQちゃんの「INSIDE IDENTITY」をコラボさせてもらったときだよね。
ZAQ:そうですね。で、私も私で真音さんの書く歌詞には「この人、常になにかしらに抗ってるよな」っていう印象がずっとあって。
黒崎:うん。生まれたときから抗ってるから(笑)。
ZAQ:で、私も常に抗って生きてるんですよ(笑)。
ーーだから「似ている」と。
黒崎:ちょっと運命的なものを感じるんですよ。でも、お互いなにに抗ってるんだろう?
ZAQ:私は“自分”ですね(即答)。
黒崎:あー、確かに。私も自分っていう存在は謎というか、一番わからない存在だったりする。
ZAQ:その訳のわからない自分に抗って、理想の自分の姿やあるべき自分の姿を探し続けるために我々は曲を作ってるんでしょうね。
ーーただ最初に触れたとおり、黒崎さんとZAQさんの楽曲はそれぞれサウンドデザインが大きく違う。お互いの楽曲やパフォーマンスのことってどうご覧になってます?
黒崎:天才ですね。作詞もできて、作曲も編曲もできて、ステージで歌っていたり鍵盤を弾いていたりする姿はすごく自由に見えて。メチャメチャ強いタイプ。……なんて言うんだろう? ガンダム? あっ、ZAQちゃんだからガンダムじゃなくて、ザクじゃなきゃいけないのか!
ZAQ:あはははは(笑)。
黒崎:とにかくそういう飛び抜けた性能を持っているタイプなんだけど、それだけじゃない。ふとした瞬間にちょっと心配になっちゃうくらい儚げな表情を見せてくれるから、私の中ですごく好感度が高いんです。天才型なんだけど、それだけじゃない。ちゃんと人間としてチャーミングな横顔を持ってるところが好きですね。
ZAQ:あざーっす!(笑)。でも真音さんは私にないものをいっぱい持っているじゃないですか。歌っている楽曲はもちろん違うし、歌唱力の高さもピカイチ。パフォーマンスしていても花があるし、その“黒崎真音という花”の咲かせ方をきちんと知っている。自分の魅せ方に自覚的だし、研究なさっているのがステージを観ていればわかるんですよね。私は真音さんのようにはなれないからこそカッコいいなって思うんですよね。
黒崎:あざーっす!(笑)。
ZAQ:しかもちゃんとキレイに咲いていながら、さっきお話した抗っている感じ……闘志や貪欲さでも魅せてくれるんですよ。こんなに可憐な見た目をしているんだけど、声に闘志を乗せて、そのまま言葉をお客さんの胸までまっすぐ飛ばすことができるのがスゴいなと思ってます。それでいて、そういう苦労を私たちには見せない方ですし。
黒崎:苦労見えてない?
ZAQ:努力なさっているのは余裕で想像できるんですけど、それをあからさまにはしないタイプっていう印象があります。
黒崎:でもZAQちゃんも努力や苦労をあえてアピールしたりはしてないよね?
ZAQ:あっ、私、がんばってないんで(笑)。
黒崎:がんばってなきゃ、あんなすごい曲書けないよ(笑)。でもたぶんZAQちゃんは今、褒め言葉として「黒崎真音は苦労を見せないタイプだ」って言ってくれてると思うんですけど、これって私の悩みでもあるんです。割と苦労しているタイプというか、雑草タイプのシンガーなので。
ーー実は苦労している?
黒崎:そうですね。ZAQちゃんみたいに小さい頃に音楽の専門的な教育を受けてきたわけではない。本当に自分から歌うためのチャンスを掴みに行かないと掴めない音楽人生だったので。10代の頃は自分でライブハウスに「出させてください」って電話して、「じゃあチケットノルマ20枚で」って言われて「誰を呼べって言うんだ?」と思いながらも、どうにか友だち20人を集めて1曲だけ歌わせてもらうっていうことを長く続けていたので。
“アニソンシンガーらしさ”と“私らしさ”
ーーであれば、その苦労もちゃんと報われるべきではありますね。
黒崎:私が着ている服や髪型がこういう感じだから、そうは見てもらえないのかもしれないんですけど、苦労してなさそうに見えるのはけっこうコンプレックスではありますね。行きつけの居酒屋さんがあるんですけど、そこの店員さんや常連さんには「姫」って呼ばれちゃうし(笑)。「そういうふうに見えるんだろうな」と思う半面、私の苦労が透けて見えていないことが切なくもあるんです。
ZAQ:私、思わず真音さんのコンプレックスと、知られざるあだ名を暴いちゃいました?(笑)。
ーーはい(笑)。
黒崎:でもそのコンプレックスの反動というか、苦労していた頃の自分を塗り替えたい自分もいるんですよ。おしゃれしたり、髪を染めたり、メイクを研究したりするのは全部、あの頃の自分ではなく、私の思う黒崎真音になりたいからなんです。
ZAQ:名言いただきましたっ!
黒崎:半ばZAQちゃんに言わされたんだけどね(笑)。
ZAQ:私もそうですから。ZAQになりたいんです。それこそさっきの真音さんじゃないけど「天才」って言ってくださる方や「なんでもできる」って言ってくださる方もいらっしゃるし、それはありがたいんですけど、私自身は天才に憧れている普通の人だと思っていて。もっとすごくて面白いミュージシャンなんてホントにいっぱいいますから。それこそ真音さんを筆頭に。だからそういう皆さんとはまた違った形の天才……「なんでもできる天才」とおっしゃっていただけるんであれば、そういうZAQ像に少しでも近付きたいな、とは思ってます。
ーーZAQさんは黒崎さんのニューアルバム『Beloved One』は……。
ZAQ:聴かせていただきましたっ!
ーー率直に言って、いかがでした?
ZAQ:これは今回に限った話ではないんですけど、真音さんってどんなメロディでも、どんなリズムでも歌えちゃう人なんですよ。それを再確認させてもらいました。このアルバムで言うなら「僕だけが世界から消えても」の頭サビって私なら絶対に上手く入れないと思いますし。
黒崎:ああ、確かに変わったメロディだし、リズムも面白いよね。
ZAQ:だから、その変わってて面白い頭サビを歌いこなせる黒崎真音の実力よ、っていう感じなんですよね。
黒崎:いやいやいや(笑)。あんまり深く考えないから歌えるんだよ。知識がないことが逆にいい感じに働いてくれてる感じ。
ZAQ:ということは耳がいいんですよ。ちゃんとメロディやリズムを聴き分けて、それに寄り添うことができるってことですから。天性の感覚で音楽的に理解度の高いパフォーマンスを発揮するからカッコいいんですよね。あとこのアルバムって全体的には真音さんらしいゴリゴリのサウンドが多いんだけど、「peko peko peach♡」みたいなかわいいハウスもあるし、あとシャッフルっぽいリズムのスローロックの曲ってどれでしたっけ?
黒崎:「A.I.D」かな?
ZAQ:そうだそうだ。この曲、メッチャ好きです。「こういう大きくうねるグルーヴの曲も歌いこなせる真音さん、スゴいなー」って感じがして。
黒崎:でも「A.I.D」って「ゾンビに噛まれて毒が浸食したから、私もゾンビになっちゃった」「早く殺して」っていう曲なんだけどね(笑)。
ZAQ:その歌詞とのマッチングも面白かったし。
黒崎:なんか『Beloved One』を作ってるときってちょっと悩んでたのか、歌詞がとにかくヤバいんだよね(笑)。
ZAQ:でも「悩んでる」「ヤバい」ってストレートに歌うんじゃなくて、その精神状態をゾンビになぞらえてるのがやっぱり面白いし、「Renka.」みたいなドラマチックなバラードもあって。真音さんがすごいストーリーテラーに見えたんですよね。それでいてアルバムに入ってるタイアップ曲をあらためて聴き直すと、どの曲もちゃんとアニメの世界観に沿っているし。作詞家としての真音さんの実力も見せつけられました。
ーーそのアニメタイアップについて伺いたいんですけど、最初おふたりは「私たちは楽曲を通じて自分に代表されるなにかと戦っている」とおっしゃっていました。
黒崎・ZAQ:はい。
ーーでも、それぞれ主題歌を担当するアニメが違う上に、楽曲はそのアニメのイントロダクションやアウトロとしても機能させなければならない。ちゃんとアニメに寄り添いつつも、なにかに抗う私を表現するテクニックって具体的には?
黒崎:アニソンシンガーである以上、自分でテーマソングを担当するアニメを選ぶことって絶対にできないじゃないですか。「このアニメのテーマソングを歌ってください」「このアニメの主題歌の歌詞を書いてください」っていうオーダーがあって、はじめて動き出せるんです。でも以前にもお話したとおり、それがどんなアニメ作品であれ「あっ、このキャラクターの気持ちすごいわかる」「このシチュエーション、私にもあったかも」っていう出会いが必ずあるんです。そういうインスピレーションを受けるとアニメ作品らしくもあり、私らしくもある歌詞や歌い方に出会えるんですよね。
ZAQ:そうだと思います。私も真音さんもアニソンシンガーになりたくて今のキャリアをスタートしているから、アニメに対する愛の量や方向性がたぶん一緒なんですよね。黒崎真音やZAQという存在がアニメにマウントを取るようなことはしない。アニソンシンガーである以上、アニメ作品を裏切りたくないですから。そういうある意味マジメな部分がふたりとも共通して居あるんだろうし、だからといってシンガーソングライターである以上、アニメを裏切らないという前提のもといかに自分の意思を盛り込めるか、を徹底的に考える。アニメのことは裏切らないんだけど、アニメに歌わされてるんじゃない。ちゃんと私が言葉やメロディや歌声を生み出しているんだっていうプライドがある感じですかね。
黒崎:たとえばの話なんですけど、そもそも「すでに原作ライトノベルが20巻発売されているアニメ作品の制作が決まりました」「第1シーズンではそのうち7巻までの物語を映像化します」って決まったとき、私たちは7冊分の小説のすべてを4分くらいの楽曲の中で歌いきることはできないじゃないですか。
ーーそうですね。
黒崎:だからその7冊の小説のうち、どのシーンに、どのキャラクターのどの心情にフォーカスを当てるかっていうことを考えなきゃいけない。そのフォーカスを当てたポイントって、要は共感であったり、なにか“黒崎真音が”感情を動かされたポイントなんですよね。だから原作小説やアニメに寄り添おうって試行錯誤している段階ですでに黒崎真音らしさ、ZAQらしさっていうのは発揮されていると思うんです。アニメのこのシーンに感情を動かされた私ってどういう人間なのか? を掘り下げる作業になりますから。同じ原作小説や同じアニメの脚本をを読んだとしても私とZAQちゃんではまったく違う詞ができあがるはずですし。
タイアップは“いただく”が、歌は“歌わされない”
ーー「アニメラバーである」という事実は黒崎さんにもZAQさんにも通底する普遍的な大前提なんだけど、アニメを観てなにに感動したのか? なにに萌えたのか? はあくまで人それぞれだから、表現はまったく違うものになる、と。
ZAQ:タイアップはいただくものなんだけど、歌は歌わされるものじゃないんですよね。
黒崎:それはまさに真理で、私たちがなくしちゃいけないポリシーなんですよね。
ZAQ:アニソンシンガーという看板を掲げている以上、どのシングル、どのアルバムも「この1枚が自分の人生を変えるんだ」って意識で作ってますからね。
黒崎:遺作になってもいいや、って思ってるよね。
ZAQ:まさにこのあいだ真音さんがそういうツイートをなさった直後にタイ料理屋さんで一緒にごはんをしたんですよ(笑)。「重大発表があります」って予告してから「新しいアルバムがリリースされます。そんなの重大発表だと思わない人もいるかもしれないけど、これは当たり前のことじゃないんです」って。
黒崎:アルバムを出すことも、タイアップをいただけることもいろんな出会いが重なった上でいただけたチャンスだから。140文字の中でそれは伝えたかったんです。
ZAQ:それにグッときて。実際、真音さんが危惧するとおり、ファンの中には「なんだよ、新譜のリリースかよ」って思った人もいるかと思うんです。
ーー女性ミュージシャンにせよ「重大発表」って言われたら、ファンはまず「引退」「結婚」って単語が頭によぎります。
ZAQ:でも私たちにとってCDリリースっていうのは結婚、引退級に大事なことなんですよ。
黒崎:「重大発表!」って言っちゃったのはやり過ぎたかな? とも思うし、ミュージシャンにとって新曲や新譜のリリースって通常業務のひとつだと思われるかもしれないけど、実際のところはこれはこれですごく重大なことだし、それだけにちゃんと自分の音楽を聴いてもらいたいんです。私はもうデビュー9年目になるんですけど、初期からのファンの方は当然9歳年をとってるわけですよね。そうなると家庭を持ったり、お子さんが生まれたり、皆さんの身の回りにもいろいろな変化が起きて、ライブに遊びに来たり、CDを買ったりっていうことが難しくなるケースもたくさんあると思うんです。実際、9年前と今のライブの客席の風景って全然違いますし。
ZAQ:私たち自身がが変わるように、客席やフロアの顔ぶれも変わりますよね。
黒崎:それってつまり、私のことを全然知らない人たちが増えるってことだとも思っていて。であれば、そういう若い子たちにちゃんと伝えなきゃ、届けなきゃ、っていう思いが強かったから、ああいうツイートになったんですよね。あらためて「黒崎真音、そしてZAQは今もここに立ってやってるぞ!」っていうのをいかに伝えるかっていうことは、めっちゃ考えてますね。
ZAQ:「この際、TikTokとかスナチャ(Snapchat)とかを始めてみたら、みんな面白がってくれるかな?」ってくらい考えますよ(笑)。
黒崎:私は今Twitterもやっていれば、Instagramもやってるし、Weiboもブログもやっている。特にインスタのストーリーなんて常に10本くらいの動画や写真が上がってるくらい発信しまくっているんですけど、まだまだやるべきだな、と思うしね。それをやることでファンの方がノってくれて、黒崎真音チームも納得するのであれば、本当にTikTokなどを使ってでもバズを起こしたいから。
ーーもはやされ尽くされた議論でもあるんですけど、表現者にとって難儀な時代でもありますね。おふたりとも単に曲を作って歌っていればいいだけではない。インターネットがある以上、CDリリース前、ライブ前のプロモーションをはじめとした発信活動もしなきゃいけない。
黒崎:私はホントにまだまだ発信したいんですけどね。それこそ活動のフィールドはネットに限らなくてもいいと思っているし。
ーー以前もイラストやマンガ・アニメ・ゲームの原案みたいな表現を模索してもいいんじゃないか、っておっしゃってましたよね。
黒崎:声優アーティストさんがまさにそうじゃないですか。お芝居をするだけじゃなくて、CDもリリースするし、ライブもやるし。その逆に私たちアニソンアーティストももっと自由であってもいいと思うんですよ。実際ZAQちゃんはミュージカルもやってるし、それを観に行ったんですけど「ZAQちゃん、スゲー!」ってなりましたから。
ZAQ:いやいやいや。あなたもミュージカル、しかも立ち回りまでやってるでしょうが!(笑)。
黒崎:でもそのくらいマルチにやっていくべきだっていうことは提唱していきたいですね。さっきの話に戻るんですけど、アニソンアーティストってタイアップがないと成り立たない職業なので、すごく危ういんですよ。まずアニメ、アニメソングというものが存在しないと生きていけない生き物なので。まあ向こう10年、20年後にアニメやアニメソングって文化がなくなったりはしないと思うんですけど……。
ーーたぶんテレビでは毎シーズン何十本かの新作アニメが放送され続けるだろうし、その作品に歌を当てる人のニーズもあるはずですよね。
ZAQ:ただ世代交代は確実にありますから。若い子たちはバンバン出てきてるし、これは楽曲提供もさせてもらっている私の実感なんですけど、アニメの担当声優さんが組んだユニットの曲のほうが強い時代でもありますし。
黒崎:だから私たちがそういうシーンの中でも死なないための回路を用意しておきたいんです。それは今回のアルバムのオリジナル曲みたいな“黒崎真音ならではの音楽表現”でももちろんいいんだけど、お芝居でも、絵でも文章でもいいし、SNSでもいい。とにかくなんらかのインフルエンスは起こし続けて、「アニソンシンガーに憧れてアニソンシンガーになりました」っていう、私たちの姿を見た若い子に出てきてほしいんですよね。
ZAQ:あっ、最初の質問に話が戻っちゃうんですけど、真音さんとご一緒するとそういう話をいつもしてます(笑)。
黒崎:だって私たちなんてホントにいついなくなっても……。
黒崎・ZAQ:おかしくないっ!
ーーイヤなユニゾンですねえ(笑)。
黒崎:アニソンシンガーって職業を知っている人ってアニメやアニソンが好きな人限定なんじゃないかな、って思ってますから。友だちの友だちとか、海外の知り合いなんかに初対面の時「なにをしてる人なの?」って聞かれて「アニソンシンガー」って答えると、必ず「えっ、それなに?」って聞かれるし、それに「アニメのテーマソングを歌う仕事でね……」って返すと「へえ、そんな仕事あるの」って言われますから。
ZAQ:アニソンシンガーあるあるですよね。
黒崎:しかもiPhone1台あれば文字でも音声でも写真でも動画でもリアルタイムに発信できる時代なんだから、私たちみたいな職業の人間は積極的にネットを活用して、外に打って出るべきだとは思ってますね。そういう意味でも「音楽」というフィールドの中だけですら、自由に幅広い表現をしているZAQちゃんっていいな、って思ってるんですけどね。
ーーそうやってシンガーソングライターとしての心意気や、アニメソングシーンにおける危機感みたいなものを共有しているおふたりだけに、こういう対談だけじゃなくて、なんらかの形で共演しても面白いのかな? なんて気もするんですけど……。
ZAQ:(やたらといい発音で)ツーマンライブ!
黒崎:うん。『超会議』のときに「INSIDE IDENTITY」でコラボさせてもらったとき〈誰かに貰った快楽が 僕の幸せとは限らないぜ〉の歌詞のところでゾクッとしたんだよね。
ZAQ:あの曲を作った頃は尖りまくってましたから(笑)。今はだいぶん更正したので、ああいう歌詞は書かないかと……。
黒崎:えーっ! 「ホントにその通りだよなあ」と思いながら歌ってたのに。
ZAQ:だからすごく楽しかったし、また一緒に歌いたいですね。今度はお互いの曲を交換しても面白そうだし。
ーーZAQさんはアマチュア時代に歌い倒した「UNDER/SHAFT」を歌い……。
黒崎:私、ZAQちゃんの「Sparkling Daydream」を歌いたい!
ZAQ:いいですね! しかもアニソンじゃなきゃそういうコラボライブって当たり前のことですしね。
ーーバンドにせよ、ライブアイドルにせよ、対バンライブって日常ですよね。
黒崎:しかもアニソンシーンって横の繋がりが強いというか「アニソンシンガーも声優さんも、大御所も新人さんもみんな仲間」っていう意識があるから、特に一緒にやるべきだと思うんですよ。
ZAQ:ホントにバンドさんやアイドルさんに負けてらんねえ、っていう……。
黒崎:危機感は常に持ってます。
ZAQ:我々はそういうギリギリのところで戦ってるんです(笑)。
(取材・文=成松哲/写真=堀内彩香)
■リリース情報
黒崎真音『Beloved One』
初回限定盤(2CD)¥4,500+税
通常盤(CD)¥3,000+税
<収録曲>
M01.アイヲツナイデ-Angel of the wheel-
作曲:generatiONmaster
M02.Gravitation(TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」オープニングテーマ)
作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
M03.Brand new,Standing wings(CR東京レイヴンズ 搭載曲)
作詞:黒崎真音 作曲:高瀬一矢 編曲:高瀬一矢
M04.Beginning☆Journey
作詞:黒崎真音 作曲:佐高陵平 編曲:佐高陵平
M05.peko peko peach♡
作詞:黒崎真音 作曲:齋藤真也 編曲:齋藤真也
M06.décadence-デカダンス-(TVアニメ「されど罪人は竜と踊る」エンディングテーマ)
作詞:黒崎真音、akane 作曲:藤井亮太・奈須野新平 編曲:藤井亮太・奈須野新平
M07.A.I.D
作詞:黒崎真音 作曲:頓宮秀人(KEYTONE) 編曲:頓宮秀人(KEYTONE)
M08.Renka.
作詞 :黒崎真音 作曲:板倉孝徳 編曲:宮崎京一(KEYTONE)
M09.Black bird
作詞:黒崎真音 作曲:宮崎京一(KEYTONE) 編曲:宮崎京一(KEYTONE)
M10.僕だけが世界から消えても
作詞:黒崎真音・Yo-Hey(KEYTONE)作曲: Yo-Hey(KEYTONE)
編曲 : 飯田涼太(KEYTONE)、generatiONmaster
M11.幻想の輪舞(「グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION」オープニングテーマ)
作詞:桑島由一 作曲:藤間仁(Elements Garden) 編曲:藤間仁(Elements Garden)
M12.New world order(CR 東京レイヴンズ 搭載曲)
作詞 : 黒崎真音 作曲 : 中沢伴行 編曲 : 中沢伴行
M13.ROAR(TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」新オープニングテーマ)
作詞:黒崎真音 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
M14.Beloved One!
作詞 :黒崎真音 作曲 :井内舞子 編曲 :井内舞子
<初回限定盤特典>
ノンストップクラブミックスCD
『とある魔術の禁書目録』シリーズの主題歌を黒崎真音歌唱によりノンストップクラブミックス化
<特典CD収録曲>
とある魔術の精霊讃歌(アルトルムフィア)〜DJmix〜
(『とある魔術の禁書目録』シリーズの主題歌を黒崎真音歌唱によりノンストップクラブミックス化!)
PHOTO BOOK(24P)
とある魔術の精霊讃歌(アルトルムフィア)〜DJmix〜収録曲
PSI-missing (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』OP)
雨 (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』挿入歌)
Rimless~フチナシノセカイ~ (IKU 『とある魔術の禁書目録』ED)
masterpiece (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』OP)
誓い言~スコシだけもう一度~ (IKU 『とある魔術の禁書目録』ED)
Jellyfish (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』挿入歌)
No buts! (川田まみ 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』OP)
Magic∞world (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』ED)
See visionS (川田まみ 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』OP)
メモリーズ・ラスト (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』ED)
Gravitation (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅲ』OP)
ROAR (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅲ』OP)
FIXED STAR (川田まみ 劇場版『とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-』ED)
ANSWER (黒崎真音 PSP(R)専用 3D対戦格闘アクション『とある魔術の禁書目録』OP)
Snap out of it!! (川田まみ&黒崎真音 『とある魔術の禁書目録』イメージソング)
Mixed by DJ WILDPARTY
(収録曲はすべて黒崎真音歌唱です。ただし、「Snap out of it!!」に関しては川田まみとのデュエットとなります。特典CDの収録順ではありません)
■リリースイベント
5月25日(土)アニメイト秋葉原別館 5F
12:30開場/13:00開演
内容:私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
5月26日(日)アニメイト仙台
【1回目】12:30開場/13:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月1日(土)アニメイト新潟
【1回目】13:30開場/14:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月2日(日)ソフマップAKIBA④号店 アミューズメント館8Fイベントスペース
11:30開場/12:00開演
内容:私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月2日(日)とらのあな秋葉原店C 4Fイベントスペース
14:30開場/15:00開演
内容:握手会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月8日(土)とらのあななんば店A コミュニケーションスペース
15:00開場/15:30開演
内容:私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月8日(土)ゲーマーズなんば店
18:00開場/18:30開演
内容:握手会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月9日(日)第3太閤ビル(名古屋)
12:30開場/13:00開演
内容:私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月9日(日)とらのあな名古屋店
15:30開場/16:00開演
内容:握手会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月15日(土) アニメイト秋葉原本館 7F
12:30開場/13:00開演
内容:私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月16日(日) アニメイト広島
【1回目】12:30開場/13:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月19日(水)アニメイト池袋本店9Fイベントホール
18:30開場/19:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月20日(木) とらのあな秋葉原店 C 4Fイベントスペース
18:30開場/19:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月21日(金)AKIHABARAゲーマーズ本店6F
18:30開場/19:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月22日(土)ゲーマーズなんば店
11:30開場/12:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月22日(土) ソフマップなんば店8Fイベントスペース
15:30開場/16:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月23日(日)ソフマップAKIBA④号店 アミューズメント館8Fイベントスペース
11:30開場/12:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月23日(日)アニメイト秋葉原別館 5F
14:30開場/15:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月29日(土)アニメイト札幌
【1回目】12:30開場/13:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月30日(日)とらのあな名古屋
13:30開場/14:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月30日(日)タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
16:30開場/17:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
※詳細は公式サイトまで
■ZAQ最新リリース
『ソラノネ』/ZAQ
発売中
1.ソラノネ(TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』オープニング主題歌)
2.カゼノワ(ゲーム『荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ!』主題歌)
3.ソラノネ(Off Vocal)
4.カゼノワ(Off Vocal)
¥1,200+税
TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』エンディング主題歌『翼を持つ者たち』
発売中
¥1,200+税