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みゆはん×コレサワ「恋人失格」特別対談 「曲が広まってくれることがいちばん嬉しい」

音楽

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リアルサウンド

 3月にリリースした、みゆはんのコラボレーションアルバム『闇鍋』に楽曲提供をしたコレサワ。もともと、みゆはんがコレサワの「たばこ」という曲が好きで、このアンサーソングとなる曲を書いてほしいと依頼してできたのが、「恋人失格」だ。「たばこ」自体、みゆはんはもちろん、多くの人に愛され、たくさんの歌い手にカバーされている曲。2017年のリリースから時を経て、その人気曲の雰囲気や美しさを損なうことなく、もうひとつの物語を書き上げる難しさはあったのか。また、みゆはんは、できあがった曲をどう表現しようと思ったのか。会うのは2度目というまだぎこちなさの残るふたりに、「恋人失格」についての話を聞いた。(吉羽さおり)

歌詞に「たばこ」を連想させる言葉が散りばめられていて(みゆはん)

ーーまずコレサワさんは、みゆはんさんから楽曲提供をしてほしいと話をもらって、どんなふうに曲を進めていこうと考えたのでしょう。

コレサワ:みゆはんちゃんがどういう子なのかわかった方が曲のイメージも湧くので、まずは一度お会いして、どういう曲がいいのかというお話を聞きました。

みゆはん:そのとき、わたしはもともとコレサワさんの「たばこ」が大好きで、コレサワさんにはぜひ「たばこ」のアンサーソングを書いてくださいってお願いしたんです。

コレサワ:「たばこ」の主人公のその後の曲、というのはじつは作ったことがあったんです。ーー誰にも聴かせていないですけどね。でも自分から「たばこ」のアンサーソングを書こうという発想はなかったし、曲にしがみついているみたいでイヤだったので。みゆはんちゃんから「たばこの相手の気持ちを歌った曲を書いてほしい」と言われたときは、戸惑いましたが、いいきっかけをもらえたなと思っています。

ーーもともと「たばこ」を書いていたときって、相手となる“君”の存在っていうのはコレサワさんの中ではリアルに動いている感じはあったんですか。

コレサワ:あったと思うんですけど、「たばこ」は書いた時からもう7、8年経っているので、あのときのわたしはいないから。ある意味他人の気持ちとして「たばこ」を聴いて書けたのかなというのは思いました。

ーー「たばこ」がどんなきっかけでできたか覚えていますか。

コレサワ:「たばこ」は、19、20歳くらいのときに書いたんですけど。それまでわたしは、ラブソングや恋愛ソングは一切なくて。ある人に「コレちゃんはラブソングがないから恋愛ものを書いてみたら?」って言われて、じゃあ、書いてみようかなって書いたのが「たばこ」だったんです。その当時のわたしの元彼が、たばこを吸ってたので(笑)。結構「たばこ」というワードはすぐに出てきたんですよね。

コレサワ「たばこ」【Music Video】

ーー自分の経験値も入っていたんですね。

コレサワ:そうですね、いつもは自分の経験と友達の話とかをいろいろと混ぜているんですけど、「たばこ」は書いてみたら? って言われたものだったので、自分が歌うというよりは、ただ失恋ソングを書いてみようという気持ちだったんです。自分自身をすべて投影するというより、提供するときの感覚に似ているのかなと思いますね。

ーー「たばこ」という曲は、女性が主人公だと思うんですが“僕”と“君”で書いていましたね。あの曲で、主語を僕としたのは何か理由があったんですか。

コレサワ:あれは……これをいうと夢がないかもしれないですけど、ただメロディに対して語呂がよかったというだけなんです。

みゆはん:そうだったんですね(笑)。

コレサワ:そのメロディにふた文字しか入らなかったので、“わたし”じゃおかしいなという。その頃サンボマスターさんに憧れていたので、“僕”って歌いたかった時期でもありますね(笑)。自分のなかでのブームだったんです。最近は“あたし”というワードで歌うことが多かったんですけど、「恋人失格」はみゆはんちゃんに歌ってもらうものだし、“僕”っていうのも似合いそうじゃないですか。男の子もカラオケで歌ってほしいなという気持ちもあったので、“僕”にしました。

ーーみゆはんさんは「恋人失格」という曲を聴いたときの率直な感想は?

コレサワ:それはぜひ聞きたいです、わたしも。

みゆはん:歌詞に「たばこ」を連想させる言葉が散りばめられていてーーその日デモを聴きながら帰ったんですけど、帰り道に大学があって大学生がたくさんいて。その帰り道のシチュエーションと曲の感じとが重なって、若い人たちの恋愛観がすごく出ているなって思ったら、泣きそうになってしまって。

コレサワ:よかった。マネージャーづたいに、気に入ってくれたという話はもちろん聞いていたんですけど、こうして実際に聞けて安心しました(笑)。

みゆはん:本当に素敵な曲です。

ーーそのデモはどんな形で収録されていたんですか。

みゆはん:アコギでの弾き語りでしたね。

コレサワ:アレンジはまだどうなるか決まっていなかったので、変にアレンジをつけるよりは歌とアコギだけのデモをお送りしました。

ーーそれを聴いたときに、みゆはんさんはサウンドについてもいろんな想像が湧いた感じですか。

みゆはん:アレンジ部分は、どう表現するかいちばん考えました。「恋人失格」の主人公が、まだ相手を引きずっている感じや涙をこらえている様子を表現するのに、弦が震えているような、ストリングスを入れたいなと。でもあまり音を入れすぎると盛大になってしまうので、最大でもカルテットまでかなと思ってカルテットを入れたり。あとはアウトロの後に、ピアノとギターだけになるんですけど。最後まで残っているギターは、相手が出て行ってしまって主人公がひとりになったところを表していたりと、自分なりに解釈してこの「恋人失格」を作っていきました。

ーーここでふたりの曲の書き方についても聞いていきたいのですが、コレサワさんは普段どんなふうに曲を作っていくのでしょうか。

コレサワ:わたしは降りてくるのを待つタイプです、「神様……」っていう。でも基本的に、曲とう◯こは一緒だと思っていて。わたしとみゆはんちゃんが同じニンジンを食べたとしても、同じう◯こは出ないんですよ。昨日食べたものや、一昨日食べたものや体調でも変わるじゃないですか。

みゆはん:ああ、そうですね。

コレサワ:同じものを見ていても、そこにそれまでの経験や今までに見たものが加わって出るっていう感じなので、出るの待ちなんです。いいのが出たらいいなって思ってます。

みゆはん:(笑)。

コレサワ:「恋人失格」はみゆはんちゃんと会った日の帰り道に、こういう曲にしようかな、サビはこういうことを言おうっていうのは、なんとなく出てきて。みゆはんちゃんと会って話してスルっと出てきたので、すごくいい排泄だったんじゃないかなって思いますね(笑)。だから自分も気に入る曲ができたし、誰と会ってもそうなるわけじゃないから。タイミングや何か、いろんなものが合っていたんだろうなと思いました。

ーーみゆはんさんの曲やキャラクターについてもリサーチしたんですか。

コレサワ:はい。でも曲を聴きすぎて似てもダメだからあまり聴かないようにしていたんです。だからボーカルや喋っている感じ、あと雰囲気はTwitterを見たりしたくらいですね。

ーーその印象で、どういう子だと思いましたか。

コレサワ:キャッチフレーズっていうんですかね、それが“コミュ障シンガーソングライター”みたいなやつで。

みゆはん:デビュー時そう言われてました(笑)。

コレサワ:人付き合いは苦手なのかなっていうイメージだったんですけど。会ったら普通に会話もできて。わたしも人見知りなタイプなので、わかるなあという感じはありましたね。初対面ってめっちゃ恥ずかしいんですよ。だけど、気持ちをちゃんと伝えようとしてくれたし、「たばこ」が好きだって言ってくれて、こういう曲を作ってほしいんだっていうのをちゃんと、スタッフからじゃなくて、みゆはんちゃんが言ってくれたので。それを受け止められたらいいなと思いました。

ーー“コミュ障シンガーソングライター”みゆはんさんとしては、今回コラボということで相手の方ときちんと会ってお話しようと、意を決して臨んだ感じですかね。

みゆはん:なかなか人と会って話すことが苦手だったので。これまで意図的に、そういう打ち合わせの場を避けていたんです。でもどうしても、大好きでお願いしたかった方なので、実際に話をして本当によかったなと思います。

コレサワ:どんなお客さんが多いんですかとか、普段どんな曲を聴くんですかとかもそのとき話したのかな。あとは音程、キーですね。どのくらい出るのかも聞いた気がする。今回の「恋人失格」はわたしの曲のなかでは、レンジが広めなんです。歌いづらくなかったですか。

みゆはん:大丈夫です。

コレサワ:よかった、それだけが心配でした。

ーー自分のレンジから外れたところでも曲を書くというのは、曲提供ならではですかね。

コレサワ:提供曲だからレンジを広くしようというわけではなかったんですけど、曲調的にキーが低くなってしまったんです。でもそこは音源を聴いて安心しました。わたしだったら多分、こういう歌い方はできないなと思ったし、何より声がいいなと思いました。今回の『闇鍋』というアルバムはいろんな楽曲があって、曲ごとに声の使い分けがされてるんですよね。声優さんもやってて、声のエフェクターがいっぱいあるのは、羨ましいなと思いましたね。わたしだったらレコーディングでエンジニアさんがいる時点で、これは歌えないなというくらいいろんなボーカルの曲があって。

ーーみゆはんさんはレコーディングも自分で、たったひとりで録るんですよね。

コレサワ:そうなんですか! 歌も?

みゆはん:はい、自分でレコーディングしてるんです。

コレサワ:それはいいですね。『闇鍋』ではTHE BACK HORNの菅波栄純さんが作っている「人間関係満腹中枢」とかすごく好きですけど、確かにあれは、エンジニアさんいたら歌えないですもん(笑)。

みゆはん:ひとりだったら何をやっても大丈夫なので(笑)。振り切ってやってます。

コレサワ:わたしは機材とかに無頓着で、面倒くさいんですよね。逆に、ひとりでやっているとこだわりすぎて、キリがなくできちゃうわけじゃないですか。

みゆはん:確かにそれはあります。何テイクも録っているうちに段々とわからなくなってくることもあって。Aメロだけで100テイクくらい録って、その中から編集して繋ぎ直したりもするんです。だから、結構大変で。

コレサワ:そういうのも全部やってるんだ、すごいな。わたしはあまり自分の声が好きじゃないなというときがあるんですけど。そういうときはつらくないですか。

みゆはん:そうなんですよね……。自分で録るとき、「恋人失格」もそうでしたけど、お手本としてコレサワちゃんのデモ音源を流して、確認もするんです。そうなるとコレサワちゃんの声と比べちゃって、こんなかわいい声は出せないなって、ヘコんだりしちゃうんです。

コレサワ:どうしても比べちゃうよね。それでもひとりで向き合ってやるというのは、みんなができることじゃないなと思いますね。

ーーみゆはんさんは、曲によって演じている部分というのはありますか。

みゆはん:今回のアルバム『闇鍋』以前は曲を提供してもらったことがなかったので、初めての挑戦で。自分なりに曲のキャラを作り上げて演じてみるのも面白いなと感じていますね。楽曲提供をしてもらうというのは成長できる場になるというか、いい経験になったなと思っています。

ーー難しかった歌はありますか。

みゆはん:「恋人失格」は難しかったんですよ。この曲は男の人が主人公の歌で、それまで自分はかわいい感じの声で歌ってきたので、低めの、男の子っぽい声を出そうというのは初めての挑戦で難しかったです。

コレサワ:Aメロとかの、ミドルっぽい響きも良かったですよ。すごく合うと思います。

みゆはん:よかった。嬉しいです。

コレサワ:人が作った曲って難しくないですか。

みゆはん:めちゃくちゃ難しかったです。

コレサワ:それで一枚アルバムを作るというのは、ボーカリストとして燃えるというか、歌ってやるぜってなると思うんですよね。わたしも、全部提供曲でとなったらどんな感じになるのかなっていうのは、興味がありますね。

みゆはん:でもこうして楽曲提供を受けると、どうしても提供してくれたアーティストさんと比べられちゃうんじゃないかなって思うんです。それもちょっと怖くて。

「たばこ」と「恋人失格」の物語を理解して作ってくれた(コレサワ) 

ーーしかもこの「恋人失格」については、コレサワさんがセルフカバーとして配信リリースもしちゃいますからね(笑)。

みゆはん:そうなんですよ(笑)。

コレサワ:それは比べられるものなんですよ。わたしも「たばこ」という曲は、「コレサワの「たばこ」より、何々ちゃんの「たばこ」の方が好き」とか、言われるんですよ。本家なのに(笑)。でもそれは全然ありだなって思うんです。わたしも「コレサワよりみゆはんの「恋人失格」がいい」と言われても、みゆはんちゃんの方がいいのもわかるから。この曲が広まってくれることがいちばん嬉しいし、それでファンがお互いを知ってくれたらいいきっかけになるなって思いますしね。

ーーコレサワさんはなぜこの曲をリリースしようと。

コレサワ:やっぱり……気に入った(笑)。気に入ったし、ただ単純に歌いたいと思ったのもあるし、みゆはんちゃんに快くセルフカバーをOKしてもらえて。今までは提供した曲をセルフカバーしたこともライブで歌ったこともないんですけど、今回はなんだろうな……人ごとに思えなかったというか。「恋人失格」を書くきっかけをくれたことも感謝するし、気に入ったんです。あとはみゆはんちゃんのアレンジもすごく良かったし、わたしのなかにも別のアレンジが浮かんでいたので。それも聴かせたいなって思いました。でも失礼な話ですよね。

みゆはん:そんなことないです! これは大事な曲だなっていうのは、わたしもわかっていたので。

ーー先ほど、コレサワさんは提供曲はシンガーとして燃えるという話をしていましたが、コレサワさん自身この世界に入りたいとなったのは、シンガーが先なんですか、それとも自分で曲を作りたいというのが先だったのですか。

コレサワ:昔は漠然と歌手になりたいって思っていたんです。でも作るのも好きで。ライブをした後と曲が生まれた後だと、曲が生まれた後の方が快感度が高いというか。いい曲がパッと生まれた日の方が、一週間ご機嫌だなっていうのがあるんですよ。

みゆはん:わたしは最初は、単純にちやほやされたいというものだったんですけどね(笑)。

コレサワ:そうだったんだ。

みゆはん:はじめは、有名になれるならなんでもいいって思っていたんです。憧れている歌手の方がいて、その人に会いたいのがいちばんだったので。それには、ギターも弾けるし、曲も作ってみようというのがはじめたのがきっかけだったんです。今は有名になりたいというよりは、自分の曲を通して自分の考えを伝えられたらいいなという思いが強いんですけどね。実際にデビューしてみると、あまり自分の環境が変わらないなと思ったし。ちやほやされている感覚もそんなになくて。それなら自分がいちばん好きな音楽を、このまま仕事として続けるのがいちばん楽しいかなっていうので、今は向き合っていますね。

ーーそれぞれの活動で、ここで変わったなという転換期はありましたか。

コレサワ:わたしは大きくガラっと変わるというよりも、年齢を重ねるごとにチクタクチクタクと動いている感じですかね。でも今の事務所の人と出会ったことで、音楽で生活をするというところまで引っ張ってもらえたので。ひとりでやっているときと、味方が増えたときとでは全然ちがいますよね。すごく恵まれているなと思います。

ーー曲を書く姿勢は変わりない?

コレサワ:そうですね。基本的に、女の子の気持ちを歌いたいっていうことと、それをおばあちゃんになっても続けたいっていうのはあります。いちばんは女としてずっと生きていきたいということですね。恋愛も普通にして、喜怒哀楽をちゃんと出せる人でありたいので、だから顔を隠しているのもあるんです。プライベートは、守りたいんです。ここは人が多いから行かないでおこうとか、ここは知ってる人がいるかもしれないからっていうのは気にしなくていいので。

ーープライベートがちゃんとあって、しかもプライベートもネタにできちゃうことって強みですね。

コレサワ:音楽で生活している人って、限られるじゃないですか。普通の人はみんな学校に行って、会社に行ってという生活で、そこで暮らしている人たちに聴いてもらいたいから、自分もなるべく同じ生活をしておきたいなっていう。いつまでも、ファミレスで深夜にご飯とドリンクバーで過ごしたりとか、イチャイチャしながらツタヤでDVD探したいなって。そういうのができるようにしているのもあるので。みゆはんちゃんはここはバレそうだなっていう場所に行くときは、変装するんですか?

みゆはん:うーん(笑)。基本的に外に出ないんです。ずっと引きこもってるので。

コレサワ:お家なんですね。

ーー学生時代はバンドをやったり、外にも出ていたんですよね。

みゆはん:ちゃんと外に出ていた時もあったんです。何度か学生時代に、人間関係のいざこざがあってどんどん引きこもるようになってしまったんです。

ーーそういうときの自分の思いや体験を、何かしら吐き出したいっていうことはありますか。

みゆはん:そうですね。音楽を続けているのも、その経験があったからだと思うので。と言っても、相手に対して恨みを持ってるというわけではないんです。基本的には、あまり自分の感情を表に出して、人に言ったりしないタイプなので。自分が心の底で思っているそのときの気持ちを、誰かにわかってほしいというのを歌にしてますね。それが本当にドロドロしていれば、ドロドロした曲になりますし。でも前向きでいきたいというのはあるので、前向きになれるような曲を作って出しています。

ーーみゆはんさんの表現とはまたちがった形で、コレサワさんは曲にはシニカルさや毒っぽさというものがありますね。

コレサワ:基本的には、憎たらしいと思います。でも何か隠している人よりも、憎たらしい人の方が生きやすいと思うんです。きっと、みゆはんちゃんは人に言えなくてつらいこともあっただろうし、わたしは逆に言い過ぎて傷つけてしまったこともあるから、気をつけたいなとも思うんですけど。自分が健康でいるには、わたしは出した方がいいタイプなので。なるべくイヤなことは言うようにしてますね。すぐ泣いちゃうし、感情がすぐに出てしまうタイプで。抑え込む何かをどこかに落としちゃったうえに、イラチなのですぐイライラするし、口は悪い方だと思いますね。

ーーそういう気持ちも曲にしちゃうと。

コレサワ:曲にしちゃえば、それは“曲”だから誰も怒らないし。性格悪いとか思われているかもしれないですけど、曲だったら許してもらえるかなって。かわいい曲にしたら、なんでもOKっていうか。悪口はちゃんとレースに包んで渡した方がいいっていうじゃないですか。かわいく包装して、プレゼントしますっていう感じで生きていたいなと。

ーーラッピングへのこだわりは相当じゃないですか。

コレサワ:中身もがすごいほどに、外はかわいく、かわいくしたいなとは思いますね(笑)。みゆはんちゃんはイヤなことがあったとき、それを誰かに言ったりしないですか?

みゆはん:本当に誰にも言えなくて。自分で、もう我慢ができないっていうときは、ノートにバーっと書いちゃうタイプです(笑)。それを曲にしているから、そのとき思ったものが結構曲に出ちゃっているかもしれないです。しかも、あまりわたしはかわいく包まないので。

ーーみゆはんさんはその自分の書いたノート、感情を書きなぐったノートってちょくちょく見返しているんですか。

みゆはん:見てますね。でもあとでみると恥ずかしいもので。書いた直後に見るとしんどいですけど、時間が経って見るとこういう経験も自分の成長になっているなと思えたりもするんです。

コレサワ:そのノートってもう歌詞っぽく書いているんですか、それともめちゃくちゃに書いているんですか。

みゆはん:めちゃくちゃに書いてます。

コレサワ:それは、見てみたい(笑)。

みゆはん:そういうのも曲になることで、消化できますね。

コレサワ:うん。曲が完成した時って、できたー!って今までの人生オールオッケーってなるんですよ。

みゆはん:うんうん。

コレサワ:肯定された気持ちっていうか。別にその曲が誰に聴かれなくても、いい曲ができたなという瞬間に解消されるんです。

ーーそして、それを誰かに聴いてもらって、この気持ちわかるなとか言ってもらえることで、2度目の喜びがあるんですかね。そこは、理解してもらえたっていう感覚なんですか。

コレサワ:わたしの場合は恋愛の曲が多いので。わかる、わかるって言ってもらえるのが嬉しい。今回はみゆはんちゃんの「恋人失格」ではMVも作ってくれたじゃないですか。ずーっとTwiiterでエゴサしてたんですけど、みんな「いい曲」とか「いい声」って言ってくれていてすごく嬉しかったし。あのMVも本当に素敵で。

みゆはん 「恋人失格」  【Music Video】

ーーコレサワさんの「たばこ」のMV、あのアニメーションの世界を実写化していて。その映像的なオマージュで、「たばこ」と「恋人失格」の関係性も伝わる内容ですね。

コレサワ:「たばこ」の世界観を上手に作り上げてくれて。しかも主人公にはテレビでよく目にしていた横浜流星くん、相手役には私がファンだった山田愛奈ちゃんが出演されていて、配役も嬉しかったんです。監督もキュンキュンポイントを盛り沢山にしてくれたし、あのふたりのメイクやスタイリングも含めてすべて、「たばこ」と「恋人失格」の物語を理解して作ってくれたんだなって思いました。いい現場だったんだなって。わたし、撮影に呼んでもらえる気満々だったんですけど、みゆはんちゃんは行きました?

みゆはん:じつは、わたしも行ってないんです(笑)。

コレサワ:今回ひとつ、言わせてもらうならそこだけです。わたしはいつもアニメのMVで、撮影することがないので。ああいう現場はなかなか体験ができないんです。だから、行ってみたかったです(笑)。

ーー今回のMVに関してはみゆはんさんもアイデアを出していたんですか。

みゆはん:そうですね。まず誰に出てもらうかを考えていたとき、ちょうどそのときにやっていたドラマで、横浜流星さんが涙を流している映像を見たんです。めちゃくちゃキレイな涙を流すなと思っていて。もともと事務所の先輩のGReeeeNさんの映画に横浜流星さんが出ていて、以前ご挨拶する機会もあったんですよね。それで、この人だ!って思って。

コレサワ:みゆはんちゃんのセレクトだったんだ。ぴったりですよね。相手役の山田愛奈ちゃんの方は、監督さんに選んでもらったんですか。

みゆはん:女性については、コレサワちゃんからもらっていたイメージを監督さんに伝えたら、候補を出してくれて、その中から選びました。

コレサワ:山田愛奈ちゃんとは以前、ちがうお仕事でご一緒したことがあったり、ドラマでも見ていてファンだったんですよ。だから、嬉しかった。

ーーこのドラマにバッチリなふたりが登場したわけですね。

コレサワ:あのMVを観て、「なんか「たばこ」っぽくない?」とか、「ああ、「たばこ」のアンサーソングなんだ」って知る人もたくさんいらしたので。こちらからも、「たばこ」の世界観を再現をしてほしいというお願いはしていたんですけど、まさかあんなに忠実に、いろんなものがマッチするとはっていう。キスシーンがあったのには、「!」でしたけど(笑)。

みゆはん:わたしもキスシーンはビックリしました(笑)。

コレサワ:いいアングルなんですよ、しかも!

ーー自分の書いた曲から、こんなふうに映像が膨らんでいくのも楽しみのひとつですね。では、せっかくの対談ということなので最後にお互いに聞いておきたいことはありますか。

みゆはん:はい、コレサワちゃんがTwitterに、「恋人失格」でコードの仕掛けをしたってあったんです。それを自分なりに考えてたんですけど。ひょっとすると「たばこ」の方のキーがFメジャーで、「恋人失格」がFマイナーで。だからメジャーとマイナーですれちがってる様子を表現してるのかなって考えていたんですけど……。

コレサワ:ああ、そうなんですね。でも違いました(笑)。

みゆはん:違ったんですね(笑)!

コレサワ:わたしキーやコードのことはあまりわからなくて。そうなってました? 

みゆはん:そうなってましたよ。

コレサワ:それなら良かったです(笑)。わたしの言っていたのは、メロディのところで、「たばこ」の〈もっとちゃんと僕を見ててよ〉っいうメロの下がり方と、「恋人失格」での〈だけどもう君のわがままを〉のメロの下がり方を一緒にしたっていうもので、大げさなことじゃなかったんです。そこまで深読みしてもらって、嬉しかったです。

みゆはん:あ、その今歌ったところがちょうどディミニッシュセブンで交わるので。そこだけ交わって、後の部分はすれちがうっていう意味合いなのかなって思ってました(笑)。

コレサワ:もうそれでOKです(笑)! 歌詞もリンクさせているので、そこは気づいてもらえているので嬉しかったですね。

(取材・文=吉羽さおり/写真=はぎひさこ)

【みゆはん】
■リリース情報
2ndアルバム『闇鍋』
2019年3月20日
【完全生産限定盤】 CD+鍋専用Tシャツ:¥7,870(税抜)
・完全生産限定メニュー
みゆはん開発・デザイン・プロデュース、“使えそうで実際には役立たず”鍋つかみ付き鍋専用Tシャツ」封入

・限定メニュー
“鍋敷きにも使えそうな”特大土鍋ジャケット(31cm×31cm)
“君も闇鍋コンテストに参加しよう!!”オリジナル具材ステッカー(締切:2019年6月末日)
スマホで“今すぐに何処でも味わえる(聴ける)”全お品書き(収録曲)プレイパス対応

【生産限定盤】 CD:¥3,241(税抜)
“鍋敷きにも使えそうな”特大土鍋ジャケット(31cm×31cm)
“君も闇鍋コンテストに参加しよう!!”オリジナル具材ステッカー(締切:2019年6月末日)
スマホで“今すぐに何処でも味わえる(聴ける)”全お品書き(収録曲)プレイパス対応

<収録曲>
1. 恋人失格          作詞・作曲:コレサワ
2. 教えてステファン           作詞・作曲:焚吐
3. 人間関係満腹中枢           作詞・作曲:菅波栄純
4. 足跡   作詞:TERU & みゆはん  作曲:TERU
5. LCR   作詞・作曲:みゆはん
6. QUEEN           作詞:みゆはん  作曲:Matthew Gerrard & Nicole Morier
7. Stay who you are         作詞:みゆはん  作曲:FIVE NEW OLD
8. 君と僕のラブストーリー 作詞・作曲:つじあやの
9. 青い鳥             作詞・作曲:みゆはん
10. ストラト       作詞・作曲:GReeeeN

Produced by みゆはん

2ndアルバム『闇鍋』
各ダウンロードサイト&主要音楽ストリーミングサービスにて配信中

1stシングル『エチュード』
ハチナイ(初回限定)盤:CD+ポスター ¥1,852(税抜)
①描き下ろし“スペシャルジャンボサマーパッケージ”(31cm×31cm)
②みゆはん「エチュード」ポスター
③スマホで今すぐ聴けるプレイパス対応

みゆはん(通常)盤:CD ¥1,204(税抜)
①スマホで今すぐに聴けるプレイパス対応

<収録曲>
1. エチュード
2. No me」(新曲)
3. 君と僕のラブストーリー <メロコアver.>
4. 恋人失格
全4曲収録

「エチュード(TVサイズ)」
各ダウンロードサイト&主要音楽ストリーミングサービスにて配信中

みゆはんオフィシャルサイト

【コレサワ】
■リリース情報
「恋人失格」
2019年6月26日配信
「恋人失格」MV

コレサワ オフィシャルサイト