福地桃子、伊原六花、貫地谷しほり、渡辺麻友 『なつぞら』を支える女性キャラクターたちの魅力
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吉沢亮演じる天陽くんや、山田裕貴演じる雪次郎、清原翔演じる照男など、若手俳優に注目の集まる『なつぞら』(NHK総合)だが、ヒロインのなつ(広瀬すず)の周りには、数々の女友だちも登場する。
参考:『なつぞら』福地桃子が語る夕見子役への思い 「彼女が持つ強さと優しさを表現できたら」
●柴田夕見子(福地桃子)
幼い頃に柴田家にやってきて、同い年だけにぶつかりあいながらも共に姉妹のように成長していく長女の夕見子を演じるのは福地桃子。『あなたには帰る家がある』(TBS系)や『チア☆ダン』(TBS系)を経ての朝ドラ出演となったが、思ったことを好きに言う自由なキャラクターは、一見、トラブルメーカーのようにも見えるが、淡々とした裏のない演技で、好感度の高い役柄へと昇華している。なつに対しても、最初は、突然現れた同い年の女の子に不満も持つことはあったが、成長するうちに、なつの背中を押すような存在にもなっていく。
特になつが東洋動画に晴れて入社したときの「電話代かかるから手短に」といいつつも、「負けんな。中に入ったら、とにかく負けんな。負けたらつまらんぞ」という力強いセリフを行った後、すぐに電話を切ってしまうツンデレっぷりには、なつだけでなく視聴者も「夕見子らしいな」とくすっと笑い、そして勇気づけられたのではないだろうか。なつの行く末も気になるが、夕見子が大学に入ってどうなっていくのか、それがなつの人生とどう影響しあっていくのかも気になるところである。
●居村良子(富田望生)
なつが農業高校時代に出会うのが、富田望生が演じる居村良子。富田は映画初出演の『ソロモンの偽証』で役作りで15キロ太って挑んだというエピソードも有名だ。広瀬すずとは映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』や『SUNNY 強い気持ち・強い愛』でも共演済み。『なつぞら』では、共に演劇部に入り、コミカルな部分を請け負う役まわりが多かったが、卒業時に番長・門倉(板橋駿谷)にプロ―ポーズされるシーンも印象深い。
●森田桃代(伊原六花)
東京編でなつが就職先の東洋動画で出会うのが伊原六花演じる森田桃代だ。なつが仕上げ課の現場に就いたときに隣に座っていた桃代は、はじめて彩色の仕事をするなつに対して、なにかとアドバイスをくれる。夕見子と同じく、ものごとははっきり言うのだが、嫌味がない。やがて、同い年のふたりは先輩・後輩ではなく、ため口で話す間柄に。いずれは作画をやりたいというなつの夢に刺激を受けたり、なつが、おでん店「風車」の店主亜矢美(山口智子)から借りたカラフルな洋服に感化され、ふたりの鮮やかな服装が近づいていくのも、仲良くなっている過程が目で見られるようで楽しい。
●大沢麻子(貫地谷しほり)、三村茜(渡辺麻友)
東洋動画には、アニメーターとして才能を発揮している貫地谷しほり演じる大沢麻子という先輩も登場する。最初は、なつの派手な服装に難色を示し「男探しに来ているだけなら、目障りだから、私の前、ウロチョロしないで」というキツイセリフを言う場面もあるが、やがてそれが勘違いだと気づく。また、なつが書いた作画と知らずに、なつの才能を評価する最初の人物でもあるため、今後、ふたりの才能がぶつかりあいながら切磋琢磨していくのかも楽しみである。
なつが作画の部署に異動してからは、渡辺麻友演じる三村茜がどうかかわってくるのだろうか。なつは、こうした女友達と、単に心を交わすだけでなく、お互いの才能に影響されたり、刺激を受けながら、夢を叶えてくのだろう。そこは、誰かを支える立場を描くのではなく、回り道もしながら自身で切り開く作品ならではの展開で、今後もさまざまな女性キャラクターが、なつと共にドラマを盛り上げてくれるのではないだろうか。
これまでの朝ドラ『ひよっこ』や『半分、青い。』など、主人公が、回り道をしながらどこかに向かう物語は、職業や住む場所を転々としながら生きていくため、学生時代や職場など、その先々で新たな腹心の友を得ていく様子が描かれてきた。
『なつぞら』の6月19日の放送では、大沢麻子となつが、新しいアニメで常盤御前のキャラクターを決定する会議で正反対の絵を描いてくるが、そのどちらが良いかを話し合う際、お互いの意見を率直に述べつつも、それを自分への批判ととらず、批評として受け止める姿に個人的には興味を持った。
同じ目的を持った同士がお互いの才能を認め合い、ライバルとしても意識しあいながら、友情や尊敬も成立するという関係性がこの先の『なつぞら』で見られることだろう。(西森路代)