「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『ザ・ファブル』
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リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、リアルサウンド映画部最弱の島田が『ザ・ファブル』をプッシュします。
参考:『ファブル』の魅力は?
『週刊ヤングマガジン』にて連載中で、単行本累計発行部数280万部突破、2017年度講談社漫画賞一般部門を受賞した南勝久の人気コミックを実写化した、岡田准一主演映画『ザ・ファブル』。漫画実写化作品というのは、その成否が分かれることが多々ありますが、この『ザ・ファブル』は、原作未読の方も原作ファンの方もきっと楽しんでもらえるであろう一作。
序盤オープニングのアクションシーンから引き込まれること間違いなしで、僕はクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』を思い出したりしました。もちろん、オープニングだけでなくアクションシーンは盛りだくさん。ファイトコレオグラファー(殺陣の「振付師」のようなものです)を、『ボーン・アイデンティティー』や『96時間』シリーズ、『LUCY/ルーシー』にも携わってきたアクション監督のアラン・フィグラルズが担当。監督を、カンヌ国際広告祭で三年連続受賞を果たすなどCM演出でも知られる、江口カン監督が務めたことで、さらにそのスタイリッシュさやセンスが発揮されており、観ていて“美しい”アクションに仕上がっています(岡田准一主演『ザ・ファブル』にも抜擢 江口カンが語る、映画初監督作『ガチ星』を経て感じたこと)。
スタッフ陣の起用もさることながら、キャストも皆ハマり役。アクションもコメディもできる岡田准一はもちろん、狂気の演技を見せる柳楽優弥、福士蒼汰、向井理に、コメディパートでは無類の強さを発揮する佐藤二朗など、どの配置も見事にエンターテインメント映画としての魅力を底上げします。
ストーリーも魅力的です(殺し屋が絶対に人を殺さないという“縛り”設定がいろんなところで活きてきます)。殺し屋・ファブルが普通の生活を体験していく中で、だんだん人間味を増していく様はとても微笑ましく、血縁を持たない人間関係でも「家族」になれるというメッセージが胸を打ちます。
そう、『ザ・ファブル』は、アクション、人間ドラマ、コメディ……様々な角度から観ても、しっかり満足できるオールラウンドな作品なのです。これを口で言うのは簡単ですが、それを実行するのはなかなか難しいもの。特に原作映画化となれば、ある程度原作のディテールの省略や変更は仕方のないものなので、余計にそのハードルは高くなります。
しかし、スタッフ・キャスト陣の適切な起用と原作の根幹を大事にする精神が、見事に『ザ・ファブル』を「1本の映画」として完成させました。スッキリしたい初夏にぴったりのハッピーかつクールな作品だと思います。 (文=島田怜於)