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BTS SUGA、“沼”と呼ばれる所以は? ラッパーとしての実力とグループ内での役割に迫る

音楽

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リアルサウンド

 6月にグループの結成記念日を迎え、釜山に続いてソウルでのファンミーティングを終えたBTS。7月には大阪・ヤンマースタジアム長居と静岡・エコパスタジアムで日本でのスタジアムツアー『BTS WORLD TOUR “LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF” – JAPAN EDITION』が控えている。今までは4人のボーカルラインのメンバーについてそれぞれスポットを当ててきたが、今回からはラップラインのメンバーについて紹介したい。

(関連:BTS、デビュー6周年までの背景 “グループ内のバランサー”ジンが果たした役割

 3人のラッパーの中で最年長の1993年生まれであるSUGAは、デビュー前から故郷の大邱で本名のミン・ユンギを英訳したglossというMCネームで活動していた(ユンギは“艶”という意味で、潤沢な人生を送るように、と名づけられたとのこと)。中学時代から音楽スタジオでアルバイトをしながら作曲や編曲を独学したため、録音機材や音響機材の知識があるという。地元の所属クルー・D−TOWNでもラッパーとしてよりはトラックメーカーとしての比重が大きかったようだ。

 その後、BigHitエンターテインメントが大邱で開催したラッパーオーディションをきっかけに練習生になり、上京してバイトを掛け持ちしながらソウルの狎鴎亭高校に通うことに。当時BigHitは本格的なヒップホップアイドルグループのデビューを計画していたため、10代のアマチュアラッパーをメインに探していた。SUGAはオーディションを受けた当時、アイドルグループになることを知らなかったという。パフォーマーというより作曲家やプロデューサーを目指していたため、特に初期はアルバム収録曲のメインプロデュースをメンバーの中で最も多く手掛けている。『花様年華』シリーズの頃までは、公式ブログで自らアルバムレビューを行なっていた。後述のミックステープつながりで女性ソロシンガー・SURANの楽曲「今日酔えば」のプロデュースをしたり、EPIK HIGHのTABLOの紹介で大御所歌手、イ・ソラの「リクエスト曲」にフィーチャリングされたりと、RMに次いで外部アーティストとの作業が多いメンバーと言える。現在でも年間で200曲程度(未発表含む)は作曲しているという。

 喉から吐き出すような強いトーンと、時折酔っ払ったようなアクセントのつけ方をするフロウが特徴で、特に独特のざらついたような低音ボイスが耳に残りやすい。『LOVE YOURSELF 結 “Answer”』収録のソロ曲「Trivia 轉 : Seesaw」では歌声も聴くことができる。

 韓国のアイドルグループのラッパーは自分のヴァースのリリックは自分で書くことが多い。SUGAのリリックからは、元々の本人の趣向とデビュー後の活動のギャップを最も感じていたのではないかということが想像出来る。特に2016年にリリースしたミックステープ『Agust D』ではその内面の葛藤がよく現れている(ミックステープの内容に関してはこちら)。ちなみにAgust Dというソロ名義は2014年リリースの『DARK & WILD』収録「BTS Cypher PT.3 : KILLER 」の〈SUGA a.k.a Agust D 2番目の名前〉というリリックですでに登場していた。

 デビュー前の2011年に収録された曲もあるものの、2014年から2年間をかけて制作されたミックステープ(参考:[スターキャスト] 「僕の名はAgust D」…SUGAが語る本当のミン・ユンギ)は、アメリカの『FUSE TV』の「The 20 Best Mixtapes of 2016」に選定された(参考:fuse)。自らの趣向とアイドルとの葛藤はミックステープとして出したことで、ある意味デトックスされた、と本人も前述のインタビューで言っていた通り、現在では“アイドル”として評価されることに吹っ切れたような歌詞が増えている。

 ダンスパフォーマンスはけして得意な方ではないが、ダンスを踊るように走りながらラップするパフォーマンスはSUGAならではだろう。一見寡黙でクールだが、真顔で冗談やダジャレを言ったり、突然うんちくを語ったりもする。人生のバイブルという漫画『SLAM DUNK』(元々バスケットボールをやっていた)について語る時は“超熱い”と、ほかのメンバーから指摘されたこともある。また、グループ外ではMONSTA Xのキヒョンとデビュー前からの友人だったり、SUPER JUNIOR−Mのチョウミの家によく遊びに行くほど親しいなど、意外な交友関係を持っている。元Wanna Oneのカン・ダニエルにアワードの際に一緒に作業しようと自ら声をかけるなど、交流には積極的なようだ。

 BTSにおいて年齢順では上から2番目のため、メンバーを諌めたり、叱ったりする役割も多いとのことで、最年長のJINが苦手な面を補完する立場でもあるようだ。一見可愛らしいルックスと低い声、パフォーマンスの熱さに対してオフではしょっちゅう寝ているなど、一見相反するような要素をあわせ持つギャップが“沼”と呼ばれる所以なのだろう。3人のラッパーの中ではストレートな歌詞ゆえに、最もよく放送審議にひっかかるswag担当であり、グループの音楽面では楽曲制作のベースを握る重要な役割を果たしている。一方でグループ内では年長組であり、父親のような役割を担当しているメンバーと言えるのではないだろうか。(DJ泡沫)