「やなヤツ! やなヤツ! やなヤツ!」 『なつぞら』広瀬すずが中川大志に向けた往年の名台詞
映画
ニュース
かつての演劇への熱い想いが再燃し、一大決心をした雪次郎(山田裕貴)。彼の故郷の家族のことをよく知るなつ(広瀬すず)は、当然のことながら猛反対するのだ。
連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)第73話では、雪次郎の固い意志が明らかとなり、一方のなつは、新キャラ・演出助手の坂場(中川大志)に、どこか惹かれ始めている様子が描かれた。
【写真】本を読む坂場(中川大志)
熱い想いを胸に、演劇に没頭していた高校時代の雪次郎。ここまで『なつぞら』を見続けてきた方ならば、彼のそんな姿をご存知だろう。そしてまた、そんな彼が東京で素晴らしい演劇作品と出会い、身近に演劇人がいる環境で過ごしているのだとあれば、再び演劇の道を志してもなんら不思議ではないのだ。“舞台には魔物がいる”とはよく言われる話である。
さて、この雪次郎をなつは説得するが、彼の意志は固い。「風車」にて、兄の咲太郎(岡田将生)や歌手のカスミ(戸田恵子)に助けを求めるが、みな雪次郎側についてしまう。それはそうだろう。ここにいる誰もが、雪次郎の故郷のことなんて知らない。彼らの発言は無責任でいい気なもんだが、しかし咲太郎の口にした「雪次郎がどう生きるかは、家族ではなく、雪次郎が決めること」というのもまた納得できる。ただ、みなが口を揃えて言うように、雪次郎は真っ先に相談すべき相手に相談できていない。それはもちろん故郷の家族であり、とくに父の雪之助(安田顕)である。このあたりが、まだ雪次郎の甘いところだろう。親を裏切る決心をしていながらも、一番大切なことから逃げてしまっているのだ。この騒ぎは、まだまだ続きそうである。
一方、新人アニメーターとしてのなつはというと、不器用な新人の演出助手・坂場の登場により、日々に変化が生まれていた。それは「刺激」だと言い換えても良い。彼の体温低めの言動になつは戸惑うが、言葉の一つひとつは妙に的を射ている。風変わりな男ではあるものの、「(絵を描けない自分にとって)絵を描けるということは、本当に素晴らしいことだと思う」などと、素直な心を言葉にする。やることなすことに一切の悪意はなく、ただただピュアな男なのだ。そんな彼になつは「アニメーションにしかできないものを教えてほしい」と言うが、彼から返ってきたのは「いつかアニメーションで僕に教えて。あなたが本当のアニメーターならば」というものである。
これになつは「やなヤツ! やなヤツ! やなヤツ!」と往年の名台詞を吐き出す。スタジオジブリのアニメーション『耳をすませば』(1995)での、ヒロイン・月島雫が天沢聖司の「コンクリートロードはやめた方がいいぜ」という言葉を受けてのものである。彼らがやがて身を寄せ合う関係になったことは誰もが知るところであるが、ということはもしや、なつと坂場も……。とまれ、まだまだ波乱の展開は続きそうである。
(折田侑駿)