松坂桃李の挑戦は続くーー『パーフェクトワールド』や『新聞記者』などで見せる30代の勇姿
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俳優の松坂桃李が絶好調だ。今年2月には吉田鋼太郎らと共演した舞台、彩の国シェイクスピア・シリーズ第34弾『ヘンリー五世』の上演、5月から6月にかけては『居眠り磐音』、『新聞記者』と立て続けの主演映画公開、そして本日6月25日に最終回を迎える主演ドラマ『パーフェクトワールド』(カンテレ・フジテレビ系)と、幅広いフィールドで役者としての活躍を見せている。
さらに、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系、6月7日)で発表された「20~30代女性に聞いた 結婚したい男性俳優 トップ10」では、昨年のブレイク俳優の田中圭を差し置いて1位を獲得する人気ぶりも凄まじい。9日には自身の公式Twitterのフォロワーが100万人を突破している。
昨年も、数々の助演男優賞を総なめにした『孤狼の血』、娼夫の仕事をする大学生役を演じた『娼年』など、様々な役を演じた松坂。その姿を追い続けてきたライターの麦倉正樹氏は、現在も松坂の挑戦が続いている最中ではと語る。
「近年の松坂さんは、ときにはこれまでのイメージを大きく裏切るような、実に幅広い役柄に、積極的にチャレンジしているように思います。具体的にその時期を言うならば2016年、のちに映画化されることになる三浦大輔監督の舞台『娼年』の主役をオーディションで勝ち取ったあたりからでしょうか。そこから、『彼女がその名を知らない鳥たち』、『不能犯』、映画版『娼年』、『孤狼の血』と、とりわけ映画においては、単なる好青年ではない、その内面に闇を抱えた人物を演じ、いずれも高評価を獲得してきました。しかし、その一方、テレビドラマの世界では、『わろてんか』(NHK)や『この世界の片隅に』(TBS系)、そして最終回を迎える『パーフェクトワールド』など、メジャー感のある役どころも、しっかり演じています。近年の松坂さんは、そのあたりのバランスと、作品選びのセンスが、非常に絶妙だと思います」
さらに麦倉氏は、テレビドラマ出演時の作品にも挑戦的な題材が多かったと続ける。
「“挑戦”という意味では、テレビの世界も同じなのかもしれないですね。大ヒットアニメ映画のドラマ版ということで、なかなか難しいところもあったでしょう『この世界の片隅に』をはじめ、いわゆる純愛ラブストーリーであると同時に、車椅子での演技が必要とされる『パーフェクトワールド』など、最近の松坂さんが演じる役は、テレビの世界においても、実はどれもチャレンジングな役ばかり。もちろん、映画のほうは映画のほうで、本格的な時代劇に挑戦した『居眠り磐音』、内閣情報調査室で働く官僚という難役を演じた『新聞記者』、さらに今後も、ピアニスト役を演じる『蜜蜂と遠雷』など、相変わらず“挑戦の季節”は続いていくようなので、そちらも楽しみですよね」
松坂は、現在30歳で同世代の俳優たちには月9ドラマ『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)で主演を務めた窪田正孝や『パーフェクトワールド』で共演中の瀬戸康史らが並ぶ。麦倉氏は松坂に影響を与えているであろう2人の存在について言及する。
「個人的には、宮藤官九郎さんが脚本を担当した『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)に出演したことが、大きな刺激になったのではないかと思っています。これから『いだてん』で再び挑むことになる宮藤さんの脚本作に初めて出演したことはもちろん、そこで共演した同年代の2人の俳優――岡田将生さんと柳楽優弥さんの存在に、かなりいろいろと刺激を受けたのではないでしょうか。岡田さんならば『昭和元禄落語心中』(NHK)、柳楽さんならば『泣くな赤鬼』、『ザ・ファブル』など、彼らもいま、30歳を目前に控えながら、かなり挑戦的な役どころを積極的に演じていますよね。というのも、役者にとって30歳というのは、ひとつの分かれ目と言われているから。30代は、もはや若者ではありません。そこからどんなふうに年を取って、人間的な深みやリアリティを持った役柄を、幅広く演じることができるのか。松坂さんをはじめ、彼らがいま、さまざまな役に挑戦しているのは、そうやって今後の役者人生を見越した上での判断なのかもしれません」
挑戦の一つだった『パーフェクトワールド』を終えた時、どんな姿を視聴者の目に残してくれるのだろうか。挑戦の先に見せてくれる俳優・松坂桃李の勇姿が楽しみだ。
(大和田茉椰)