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元NGT48 長谷川玲奈も……AKB48グループの卒業進路として高まる“声優”人気

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 NGT48を山口真帆とともに卒業した長谷川玲奈が、声優への転身を発表した。長谷川は、声優事務所の株式会社クロコダイルに所属。同社には昨年HKT48を卒業した山田麻莉奈が所属している。48グループからは、これまでにも元AKB48の仲谷明香や元SKE48の秦佐和子がグループを卒業後、声優に転身している。

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■声優界で活躍する元○○

 そもそもアイドルには卒業が付きもので、その後の身の振り方にはいつも注目が集まる。グループ在籍中から女優やタレントなどの目標を掲げるアイドルは多く、そこで声優を目標に掲げる者も以前から一定数いた。そのベースがあった上で、近年のアニメ/声優の人気や、声優アイドルの活躍が取り上げられることが多くなったことで、女優やタレントと同様の選択肢の一つとして一般的になったということだろう。

 また、アイドルの先輩が現在声優として活躍していることで、声優という夢に現実味が増したことも一因だろう。そもそも長谷川は、48グループから“声優選抜”で選ばれたメンバーで結成されたユニット・NO NAMEのメンバー9名が、メインキャラクターの声優を務めたアニメ『AKB0048』(2012年放送)から影響を受けている。同ユニットからは、元AKB48の仲谷明香、佐藤亜美菜、石田晴香、元SKE48の秦佐和子がグループを卒業後、声優に転身した。中でも仲谷は『荒野のコトブキ飛行隊』のケイト役などで活躍。秦は『BanG Dream!』シリーズの、劇中バンド・Pastel*Palettesの若宮イヴ役などで人気を得ている。先輩が道を作り、それに憧れた後輩が続いているという構図だ。

 しかしアイドルが声優になるのは、何も今に始まった話ではない。たとえば『カードキャプターさくら』シリーズの大道寺知世、『新世紀エヴァンゲリヲン』シリーズの洞木ヒカリなどを演じて知られる岩男潤子は、1980年代に活躍したアイドルグループ・セイントフォーのメンバーとして活動していた。『タッチ』の浅倉南役で有名な日髙のり子も、1980年代初頭にはアイドル歌手だった。このように声優界には、声優以前に他の活動を行っていて、最終的に声優という天職に辿り着いた“元○○”が多くいる。例えば女性声優のトップランナーである水樹奈々は、もともと演歌歌手を志していたが、堀越高校在籍中に代々木アニメーション学院声優タレント科に自費で通って声優を学んで成功にいたった。アーティスト業には、演歌歌手の修業時代に培った技術が活かされている。『ラブライブ!』のμ’sには、ミュージカルや舞台で活動していた三森すずこを始め、音楽活動やタレント活動を行っていたメンバーが多数いる。

■求められているのは“アイドルもできる声優”

 声優に転身した全員が、必ずしも成功できるわけではない。声優に限らず女優でもタレントでも同様で、アイドルグループ在籍時は人気だったにも関わらず、卒業後はテレビやメディアなどで滅多に見られなくなってしまった元アイドルは実に多い。必要なのは、声優としての技術をどれだけきちんと学べるかということだろう。例えば2018年にアイドルグループ・虹のコンキスタドールを卒業した陶山恵実里は、アイドル時代に大手声優事務所のマウスプロモーション附属の俳優養成所で学び、『アイカツフレンズ!』や『ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。』など人気の作品で頭角を現した。現在は正式にマウスプロモーション所属となっている。2015年から同事務所に所属する秦佐和子もまた、SKE48卒業後は日本ナレーション演技研究所などで学んだ経緯がある。現在アイドルを題材にしたゲームやアニメは数多いが、そこで求められるのは、あくまでも声優としての技術なのだ。

 今の傾向で言えば、『ラブライブ!』や『BanG Dream!』『ヒプノシスマイク』など、キャラクターソングに対する需要が高く、音楽活動も行える声優が求められているが、これは声優としての技術を持っていることが前提。要は、声優ができるアイドルではなく、アイドルもできる声優だ。『ミュージックレイン スーパー声優オーディション』など、アイドル活動を前提にした声優オーディションも数多く開催されているが、スフィアやTrySailなどが人気を博したのも、アイドル性以上に声優としての確固たる基盤ができていたからだろう。声優養成所もそうした傾向に対応し、声優の技術だけでなく歌やダンスのレッスンにも力を入れており、声優とアイドルを両立できる声優が続々と登場している。そうした状況において、元アイドル(が声優を目指す)という冠は、何のアドバンテージにもならないのが現実だ。生き残る以前に芽を出すことすら困難で、元NGT48の長谷川玲奈が進む先は、目下いばらの道だと言える。成功できるか否かは本人の努力次第。困難を乗り越えアニメ作品のクレジットに彼女の名前を見る日を、楽しみに待ちたい。(榑林史章)