ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団 ワッフルの故郷からやってきた素敵なオケ
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(c) Audrey de Leval
ベルギーのリエージュと聞いて、多くの方が頭に思い浮かべるのがワッフルではないだろうか。そう、このワッフルの美味しい街から素晴らしいオーケストラが来日する。1960年に創設されたこの楽団は、ベルギーのフランス語圏を代表するオーケストラとして注目を集める存在だ。2011年に音楽監督に就任した指揮者クリスティアン・アルミンクとの相性も素晴らしく、フランス的な明るさとオランダ系のまろやかさをミックスした響きの評価は極めて高い。
今回の来日公演(7月1日:サントリーホール)では、注目の若手ピアニスト小林愛実をソリストに迎えたモーツァルトの「ピアノ協奏曲第20番」とブラームスの「交響曲第1番」といった王道をゆくプログラムを披露する。その響きは名高いワッフル同様ファンの心を鷲掴みにするやいなや。興味は尽きない。
クリスティアン・アルミンク(指揮)
クリスティアン・アルミンクはこの世代において交響楽、オペラの両分野で最も成功を収めている指揮者のひとりである。新日本フィルの音楽監督として活躍した後、2011年からベルギーの国立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督、2017年4月から広島交響楽団の首席客演指揮者を務めている。 ウィーン生まれ。ウィーン国立音楽大学でL.ハーガーに学ぶ。小澤征爾のもとで研鑽を積み、その緊密な関係がボストン交響楽団(タングルウッド音楽祭)および新日本フィルハーモニー交響楽団との共演へ結びつけた。24歳の若さでチェコのヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者として迎えられ、6年間在任。その後、2002年から2004年までスイスのルツェルン歌劇場およびルツェルン交響楽団の音楽監督を務めた。 2003年5月のプラハの春音楽祭でチェコ・フィルと共演しオープニング・コンサートを指揮して以来、ベルリン・ドイツ響、フランクフルト放送響、ドレスデン・シュターツカペレ、ワイマール・シュターツカペレ、ザルツブルク・モーツァルテウム管、ウィーン響、ベルギー国立管、トゥールーズ・キャピトル国立管、スイス・ロマンド管、ミラノ・ヴェルディ響、RAI国立響、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管、プラハ響、バルセロナ響などヨーロッパのトップ・オーケストラと共演している。2008年5月には、ローマ・サンタチェチーリア音楽院でジョルジュ・プレートルの代役を務め、マーラーの交響曲第5番を指揮。批評家から高い評価を得、2年後にマーラーの交響曲第3番で再共演を果たした。北米では、ボストン響、シンシナティ響、ヒューストン響 、コロラド響、ユタ響、ニュージャージー響、バンクーバー響に客演しているほか、アスペン音楽祭とラウンド・トップ音楽祭には毎年招かれている。2017/2018年シーズンには、セントルイス響とアトランタ響へのデビューが決まっている。 近年のハイライトには、台湾フィルハーモニックへのデビューやNHK交響楽団、上海交響楽団との再共演、さらに2017年11月のポーランド国立放送交響楽団とのハンガリープログラムが挙げられる。また、2017/2018年シーズンには、プラハの春音楽祭でプラハ放送交響楽団と共演する《幽霊の花嫁》やモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団との共演でチャールズ・アイヴスの作品を演奏するガラ・コンサート、さらにチェコのオストラヴァで開催するヤナーチェク音楽祭でのヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団との再共演も注目である。 1997年にザルツブルク音楽祭のオープニングを指揮してすぐに2回の再客演が決まったのを機にオペラ指揮者としてもファンが多く、シンシナティ・オペラでブリテンの《ねじの回転》、トリエステのリリコ劇場で《ばらの騎士》、ルツェルン歌劇場で《ボエーム》、ヴェローナ歌劇場で《サロメ》《エレクトラ》、ストラスブール歌劇場で《イーゴリ公》などを指揮して高い評価を得ている。2004年からフランクフルト歌劇場とは強い連携関係にあり、《さまよえるオランダ人》《ドン・ジョヴァンニ》《イェヌーファ》《ホフマン物語》に加え、2015年には《ルサルカ》を振った。新日本フィルでは定期的にオペラ・プログラムを組み、《ペレアスとメリザンド》《レオノーレ》、プーランクの《ティレジアスの乳房》《ジャンニ・スキッキ》《サロメ》、ツェムリンスキーの《フィレンツェの悲劇》、《ローエングリン》《こうもり》などに取り組んだ。また、2013年には新演出のツェムリンスキー《こびと》、2014年にはトリノ王立歌劇場の《魔笛》、ハンブルク州立歌劇場のボロディン《イーゴリ公》を指揮している。 レコーディングも数多く、ヤナーチェク・フィルとのヤナーチェク、シューベルト作品、新日本フィルとのブラームス/交響曲第1番、マーラー/交響曲第3番および第5番、ブルックナー/交響曲第7番、ヴェルディ/レクイエム、シュミット/7つの封印の書のほか、リエージュ管と録音しディアパゾンドール賞を受賞したフランク/交響曲ニ短調と、バス・バリトン歌手のエフゲニー・ニキーチンを迎えてのワーグナー・オペラ・アリア集は、各国メディアから高評を得ている。
小林愛実(ピアノ)
山口県宇部市生まれ。8歳より二宮裕子氏に師事し、2011年桐朋学園大学付属高校音楽科に全額奨学金特待生として入学。2013年よりフィラデルフィア・カーティス音楽院に留学。現在、マンチェ・リュウ教授に師事し研鑽を積んでいる。 3歳からピアノを始め7歳でオーケストラと共演、9歳で国際デビューを果たす。 2005年(9歳)以降、ニューヨーク・カーネギーホールに4度出演、パリ、モスクワ、ポーランド、ブラジル等に招かれ、スピヴァコフ指揮モスクワ・ヴィルトゥオーゾ、ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ、ジャッド指揮ブラジル響等と共演。国内では、N響、読売日響、東京フィル、兵庫芸術文化センター管弦楽団、日本フィル等と共演し、サントリーホールをはじめ、各地でもリサイタルを行い高い評価を得る。 2010年(14歳)『デビュー!』でCDメジャーデビュー、翌年セカンドアルバム『熱情』をリリース(EMI CLASSICS)。また、同年ショパン生誕200年記念に際して、ポーランド政府より「ショパン・パスポート」を授与された。 2015年「 第17回ショパン国際ピアノ・コンクール」に出場、ファイナリスト。 2018年ワーナークラシックスとのインターナショナル契約を発表。4月には7年ぶりとなるCD『ニュー・ステージ~リスト&ショパンを弾く』をリリース。 幼少期より多くのメディアから注目を集め、フランスのLCIテレビのドキュメンタリー、日本テレビ「深夜の音楽会」、テレビ朝日「題名のない音楽会」、NHK-BS「みんなのショパン」、NHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」など多数のテレビやラジオ番組にも出演。2015年にはTBS「情熱大陸」にも登場し話題を呼んだ。今、世界的な活躍が期待できる日本の若手ピアニストとして最も注目を集めている。
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