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「存在のない子供たち」監督来日、シリア難民だった主演俳優の今語る「成績が1番」

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「存在のない子供たち」トークイベントの様子。

「存在のない子供たち」のトークイベントが本日7月5日に東京・ユニセフハウスで行われ、レバノン出身の監督ナディーン・ラバキー、プロデュースと音楽を担当したハーレド・ムザンナルが登壇した。

学校へ通うこともなく兄妹とともに路上で働かされていた少年ゼインが、“僕を産んだ罪”で自分の両親を訴えるさまを描く本作。シリア難民だったゼイン・アル=ラフィーアがゼインを演じた。

私生活でもパートナー関係にあるラバキーとムザンナル。2人は10歳の息子ワリード、3歳の娘メイルーンちゃんと一緒にステージに上がった。ラバキーはまず本作を作った理由を「レバノンに住んでいると生活に苦しんでいる子供たちを毎日のように見るんです。国の経済状況が子供たちの生活に反映されているのはショッキングなこと。犯罪に手を染める子供たちを見ていて何もしないのは犯罪と同じ。自分にできることをしなければと思いました」と伝える。生活に苦しむ子供が多数存在する世界に大人が適応してはいけないと強く訴え、「映画は物事の見方を変える力を持っていると信じています。観てくれた方に『この現状は許せない』と感じていただけたら。もしあなたが世界が安全な場所であってほしいと願うのであれば、それは子供たちから始まります。テロリズムに子供が参加していたり、大人になって犯罪に巻き込まれる人がいることに驚いてはいけない。なぜなら、そういう世界を許してしまったのは我々だから」と真摯に語った。

ストリートキャスティングが行われた本作。ベイルートの住宅地でキャスティングディレクターに見出されたアル=ラフィーアについて、ラバキーは「初めて会ったとき、直感的にこの少年は路上生活を続けていくことはないと感じました。当時は学校にも通えず、自分の名前を書くこともできなかったんですが、賢さや強さを持っていたんです。栄養失調で実際は12歳なのに7、8歳の体付きをしていた一方で、幼いのにたくさんのことを見聞きしていた」と初対面を回想。「現在は国連の力もあって、ノルウェーで海を望む家に住みながら学校で読み書きを学んでいます。先ほど彼のお父さんから電話がかかってきたのですが、アメリカで俳優の賞をもらったみたいで、学校では成績が1番と聞きました」と感慨深げに述べる。

ムザンナルは「製作は困難で悪夢だった」とジョークを飛ばし、「最初に12時間バージョンの映画に音楽を付けなければいけなくて。『そんなに音楽を付けるの?』と、喧嘩も多かったです」とラバキーとの創作を振り返る。またムザンナルは演出の観点からも映画音楽に言及。「フィクション映画では、監督が観客にこう感じてほしいという意図を持って音楽を使うことが多い。でも今回はリアリティを描いているから音楽で感情を煽るようなことはしたくなかったんです。なので街のノイズ、例えばクラクションの音などを使いました」と取り組みの一端を明かす。しかし自分の感情を抑えることができなかった瞬間もあったようで、「音楽が強い存在感を放っているところもあると思います」と破顔した。

なおイベントでは終始メイルーンちゃんもマイクを持っており、シリアスな話に硬い表情を浮かべる観客たちを投げキッスや独特なポーズで笑顔にさせた。

「存在のない子供たち」は7月20日より東京・シネスイッチ銀座ほか全国でロードショー。

(c)2018MoozFilms