三代目JSB「R.Y.U.S.E.I.」、桐谷健太「海の声」……MVで再確認する桁違いのヒット曲たち
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初夏の恒例となった大型音楽番組『THE MUSIC DAY』が、今年も7月6日13時30分から9時間半にわたり生放送される。昨年に引き続き櫻井翔を総合司会に迎えた今回のテーマは“時代”。次の時代に残したい「平成」の名曲や、「令和」の始まりを飾るアーティスト、時代を超えて歌い継がれる曲などが集結するという。さらに今年はアジアでの放送が拡大し、7つの国と地域で同時生放送。およそ60組のアーティストが繰り広げるパフォーマンスで、日本のみならずアジア各国が熱狂に包まれることとなるだろう。
『THE MUSIC DAY』の目玉企画のひとつが、さまざまなテーマを掲げたメドレーだ。グループの垣根を越えた一夜限りのスペシャルな編成で披露する「ジャニーズシャッフルデビュー曲メドレー」をはじめ、ご当地ソングを集めた「日本一周47都道府県メドレー」、個性的な歌声で聴かせる「ハスキーボイスメドレー」など、一風変わった企画が並ぶ。その中で注目の「動画再生1億超えメドレー」では動画再生回数が1億回を超える大ヒット曲を一挙に紹介するという。ラインナップは、AKB48「ヘビーローテーション」、桐谷健太「海の声」、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」、DA PUMP「U.S.A.」、ピコ太郎「PPAP」と、文字通り誰もが知る曲ばかり。改めてMVの特徴や見どころを振り返ってみよう。
AKB48「ヘビーローテーション」
メンバーたちがランジェリー姿ではしゃぐ様子がインパクトを放ったAKB48の黄金時代を象徴する1曲。MVで描かれる極彩色の世界は、写真家/映画監督として活躍する蜷川実花の手によるもので、“男子不在の女子校のような女の子の世界を描きたい”という思いから制作されたという(参考:蜷川実花 公式ブログ)。メンバーの飾らない表情はアイドルファンのみならず、同世代の女子たちなど幅広い世代からも支持を集め、まさにAKBが持つ個性が存分に発揮されたMVだったと言えよう。
浦島太郎(桐谷健太)「海の声」
auが制作するCM「三太郎」シリーズから派生した楽曲。桐谷健太演じる浦島太郎(通称:浦ちゃん)がCMの中で歌う『auガラホ「海の声」篇』のために作られたオリジナル曲で、iTunes Storeやレコチョクなど計13の配信サイトで総合1位を獲得するなど、CM楽曲としては異例のヒットを記録した。MVは桐谷がCM中の衣装のまま、自ら三線を奏でて歌うというシンプルなもの。それゆえ楽曲の良さ、桐谷のハスキーな声の魅力が引き立っている。YouTubeのコメントには「日本的な情緒に感動した」と語る海外のファンからの声も多い。
三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」
『第56回日本レコード大賞』をはじめ、『2015年MPA賞 ヒットソング賞』、『JASRAC賞 金賞』受賞と、名だたる音楽賞を総なめにし、現在でも同グループの代名詞的楽曲となっている。メンバーそれぞれのイメージに合わせて場面が転換する構成も見どころだが、再生回数増加の決め手となったのは、何と言っても間奏に披露される「ランニングマン」だろう。振付を担当したのはメンバーのELLY。ランニングマンの動きを取り入れたキャッチーなダンスは、子供から大人まで真似る人が続出。動きを完コピするために何度も見返したという人も多かったのではないだろうか。
DA PUMP「U.S.A.」
耳にしない日はなかったほど、所構わず流れ続けた2018年を代表する1曲。タイトルの「U.S.A.」やサビの〈C’mon, baby アメリカ〉がネオンのように表示される映像が“ダサかっこいい”と話題になり、曲のヒットにも繋がった。アメリカで流行した「シュートダンス」を元にしたと言われる「いいねダンス」や、間奏での「インベーダーダンス」が、前述の「R.Y.U.S.E.I.」同様、幅広い層に浸透。懐かしのユーロビート調のトラックも、80年代リバイバルに沸いた当時の世相にマッチしたと言える。
PIKOTARO(ピコ太郎)「PPAP」
古坂大魔王がプロデュースした謎の千葉県出身シンガーソングライター・ピコ太郎がYouTube上に発表した動画作品。ジャスティン・ビーバーらがTwitterで「お気に入り」とツイートしたことから世界中で話題となり、BBCやCNNも取り上げる騒ぎに。日本ではその後、逆輸入的にヒットした。シュールな歌詞とヒョウ柄のチンピラスタイルに身を包んだピコ太郎のビジュアル、サウンドの間抜けな響きにハマる人が続出し、いわゆる「やってみた」系の動画も数多く製作されるなど、大ブームを巻き起こした。
どの楽曲にも通じるのは、何度も繰り返し見たいと思わせる中毒性があること。また、海外でも通じる普遍性を獲得したことだろう。“1億回”という数字にはそれほどの説得力がある。ジャンルや視聴方法が細分化されたことで、かつてのようなヒット曲は生まれにくくなっていると言われる中、インターネット動画が確実に新時代の音楽チャンネルとして機能していることが改めて感じられるラインナップだ。『THE MUSIC DAY』では各アーティストが誇る1曲を提げてステージに登場する。この日ならではのスペシャルなステージにも期待したい。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。