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日向坂46「やさしさが邪魔をする」は柿崎芽実を彷彿とさせる? 加藤×渡邉×上村ユニット曲を考察

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リアルサウンド

 日向坂46(以下、日向坂)の2ndシングル『ドレミソラシド』に収録されるカップリング曲が次々と解禁されている。そのなかでも特に注目すべきは、加藤史帆(一期生)、渡邉美穂(二期生)、上村ひなの(三期生)による「やさしさが邪魔をする」(TypeC収録)だ。

 『CanCam』の専属モデルや『レコメン!』(文化放送)で火曜日パーソナリティも務めるなどソロでの活躍も目立つ加藤、日向坂唯一のソロ写真集(『陽だまり』)を発表し『マイナビ 未確認フェスティバル2019』応援ガールにも就任した渡邉、グループ唯一の三期生であり“長濱ねるの再来”との呼び声も高い上村……このユニットには各期生のエースとも呼べるメンバーが揃っている。そこで本稿では、彼女たちの魅力を改めて紹介しつつ、同曲のポイントを探っていきたい。

 まずは一期生の加藤から。彼女は大人びたルックスとほんわかした話し方というギャップが魅力だ。また、バラエティ対応力も高く、『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系)のMCである若林正恭(オードリー)との絶妙なパス回しで番組を盛り上げているのも印象的。日向坂のアイコン的存在ともいえるだろう。

 二期生の渡邉は日向坂メンバーも認めるほどのストイックな努力家として知られている。さらに欅坂46の菅井友香からは演技力を評価されており、豊かな表現力も兼ね備えている。グループの主演ドラマ『Re:Mind』では二期生唯一の出演を果たし、重要な役どころを務め上げた。

 そして上村ひなのは、自身のキャッチフレーズ「いつでもどこでも変化球」の通り、何が飛び出してくるか予想できない存在だ。機転のきくリアクションをとりつつも、絶妙にトボけた独特の空気感も醸し出し見る人を惹きつけている。一方ライブになると、新人らしからぬ堂々としたパフォーマンスを披露するという側面も。アイドルとして天性の才能を感じる。

 そんな3人が歌う「やさしさが邪魔をする」は心地よいミディアムバラードだ。ソロ曲「男友達だから」(1stアルバム『走り出す瞬間』収録)からその歌声に定評があった加藤は、同曲でも艶のある歌声で楽曲の切なさを引き立てている。また、渡邉は愛らしく高い声で楽曲に華やかさを与えており、低音な印象が強かった「キレイになりたい」(『走り出す瞬間』収録)から一転した歌声を披露している。こうして楽曲を比較してみると彼女の表現力の高さを改めて感じることだろう。上村は、童顔なルックスとは対照的な大人びた低音ボイスで楽曲全体を引き締めている。そして、そんな彼女たちの三者三様な歌声が合わさったとき、同曲のエモーショナルな魅力が最大限に発揮されるのだ。

 MVも素晴らしい。各メンバーの切なげで凛とした表情にはこんな一面もあるのかと思わず見入ってしまう。また、セーラー服姿の3人が揃って踊るシーンも印象的だ。まるで何かから解放されたかのような軽やかさ/自由さがあり胸が掴まれた。

日向坂46 『やさしさが邪魔をする』

 そして一番重要なのがその歌詞だ。同曲は“別れ”を彷彿とさせると同時に相手のことを考えて送りだす主人公の心情も描かれている。このタイミングでこの歌詞となると、卒業を発表した柿崎芽実を思い出す。歌詞に〈キリマンジャロのコーヒー〉というワードを出すところに、ブラックコーヒー好きとして知られる柿崎が浮かんだ人もいるはず。そういった意図はなかったとしても、彼女の境遇を重ね合わせて歌詞を読むとまた違った景色が見えてくることだろう。また、同曲を一期〜三期生の代表者たちが歌うと、まるで卒業式の送辞のようにも思えてくる。

 けやき坂46時代には「ひらがなけやき」や「期待していない自分」など自分たちの境遇とも重なる楽曲を歌ってきた日向坂。そういった楽曲に惹きつけられたファンは多いことだろう。また、「やさしさが邪魔をする」は、別れを惜しみつつも未来に向かっている楽曲になっていて彼女たちらしい。『ドレミソラシド』に収録された楽曲のなかでも、実に感慨深く何度も繰り返して聴きたくなる楽曲だ。早くライブでそのパフォーマンスを見てみたい。

(文=本 手)