Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 『アイドルマスター シンデレラガールズ』ヒット続く理由 魅力的なアイドルと楽曲の数だけある個性

『アイドルマスター シンデレラガールズ』ヒット続く理由 魅力的なアイドルと楽曲の数だけある個性

音楽

ニュース

リアルサウンド

 アイドルプロデュースゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』のイベント「プロデューサーさん感謝祭 in 新木場スタジオコースト」が、6月16日に東京・新木場スタジオコーストで開催された。

 日本コロムビアよりリリースされた『アイドルマスター シンデレラガールズ』関連CDのオリコン週間ランキングトップ10入り作品が累計100タイトルを突破したことを記念して企画された本イベントには、青木瑠璃子(多田李衣菜役)、桜咲千依(白坂小梅役)、大坪由佳(三村かな子役)、高田憂希(依田芳乃役)、立花理香(小早川紗枝役)、種﨑敦美(五十嵐響子役)、長島光那(上条春菜役)、原紗友里(本田未央役)、松嵜麗(諸星きらり役)の計9人のキャストが出演。彼女たちがトークやライブ、DJパフォーマンスなどでプロデューサー(『アイドルマスター』シリーズのファンの呼称)たちに感謝の気持ちを届けると同時に、同作品の音楽の魅力と奥深さを改めて知らしめるステージとなった。

 『アイドルマスター シンデレラガールズ』といえば、今年9月から2020年2月にかけて開催される東名阪ツアー『7thLIVE』で千葉・幕張メッセ国際展示場9〜11ホール、愛知・ナゴヤドーム、大阪・京セラドーム大阪の計6公演を予定するなど、ナンバリング入りのライブは開催ごとに規模を拡大し、今や一大エンターテインメントに進化している。しかし、今回は「感謝祭」ということで、それらと比べると会場は小さめ(とはいえ新木場スタジオコーストのキャパは2,400人を誇るのだが……)。普段よりも身近な距離でキャストたちのステージを楽しむことができる機会ということで、超満員となった会場は心なしかいつも以上の熱気に満ちていた。

 本ステージの開演前には、『アイドルマスター』シリーズへの楽曲提供で知られるDJ・音楽家のAJURIKAこと遠山明孝がDJプレイを披露。『アイドルマスター シンデレラガールズ』関連楽曲のみで構成したセットで、ラストは自身がリミックスを手がけた「輝く世界の魔法 - Magical Step Forward Remix-」のドラムンベースを投入するなど、クラブ映えするナンバーを中心に人気曲を繋いで『感謝祭』を盛り上げる。

 そしていよいよ本番が開幕。まずは各々が演じるアイドルの衣装を着用した9人のキャストが揃って登壇し、各キャラのセリフを交えながら挨拶すると、早速トークパートへ。最初のコーナー「シンデレラモーメント」では、過去にトップ10入りした楽曲の中から、この日に出演したキャストが歌った楽曲をピックアップしてエピソードを紹介。作品全体のテーマソングでもある「お願い!シンデレラ」(2013年)については、リリース当時に池袋サンシャインシティ噴水広場で行われた発売記念イベントのことに触れる場面も。

 続いては、6月15日と16日の2日間、秋葉原の各イベントスペースで実施された「プロデューサーさん感謝フェス in 秋葉原」の模様をレポート。「大坪由佳 presents ふわふわパンケーキパーティー」「鈴木絵理のミラクルサイキックショー!」「桜咲千依の百物語チャレンジ」「長島光那のまぁまぁ眼鏡どうぞ」など、キャストたちがそれぞれの演じるアイドルの個性にマッチした企画で会場を盛り上げた様子を、写真と共に紹介していく。キャストが料理を作ったり、それを食べたり、手品ならぬサイキックを披露したりと、基本ゆる〜い内容ばかりだったようだが、「教えてIMAJOさん!青木瑠璃子のギターレッスン」では自称・ロックなアイドルの多田李衣菜を演じる青木が、多田李衣菜と木村夏樹によるユニット曲「Jet to the Future」(2016年)のサビ部分のギター演奏を、その作曲者であるサイキックラバーのギタリスト・IMAJOに直接教わるという企画も。この日のイベントでは、青木が実際にギターを弾いてその成果を披露したが、自身のたどたどしい演奏につられてか歌もヘロヘロになってしまっていたものの、最後は「かかってこいよ!」とロックなキメ台詞で締めくくった。

 前述の通りトークパートはまったりした雰囲気のまま終わりを迎えたが、最後の挨拶で原が「すごく大きな会場でライブをやって“エモい!”となってる『シンデレラ』ではありますが、昨日今日のこの『感謝祭』であったような、ゆる〜いものも一緒に併せ持っている感じが、『アイドルマスター』の持っている懐の深さなのかなと思います」と語っていたように、個性豊かなアイドルたちと、それを演じるキャストの双方の魅力をいろんな角度から引き出し続けていることが、『アイドルマスター シンデレラガールズ』ならびに『アイドルマスター』シリーズがここまで支持を保っている理由だろうし、だからこそトップ10入り作品を100タイトル以上も生み出すことができたのかもしれない。

 そしてここからはお待ちかねのライブコーナーに。大坪、原、青木の3人は2段組ステージの上段、残りの6人は下段でそれぞれポージングを取り、まずは「お願い!シンデレラ」でライブをスタート。アイドルは〈キュート〉〈クール〉〈パッション〉の3タイプの属性に分かれており、それぞれイメージカラーはピンク、ブルー、イエローとなっているが、「お願い!シンデレラ」は全タイプ共通楽曲ということで、プロデューサーたちは3色のペンライトを振って盛り上がる。

 続いては大坪、立花、種﨑のキュート組がステージに残ってラウンジーなテクノポップ「アタシポンコツアンドロイド」(2013年)へ。コケティッシュな振り付けも込みでアイドルらしさを全開にした楽曲と言える。3曲目の清らかなハーモニーポップ「メッセージ」(2014年)は全体曲ということで種﨑、高田、桜咲の3色混合トリオが歌唱。終盤には大坪、青木、原の3人が上段ステージに姿を現して締めの振り付けを一緒に行うと、今度はTVアニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』のオープニングテーマ「Star!!」(2015年)の出だしを6人でパフォーマンスし、続きは大坪、青木、原が引き継いで歌う。

 この時点でおそらく多くのプロデューサーが気づいていたと思うが、この日のライブのセットリストは、トップ10入りした楽曲の中からセレクトしたものをリリース順に並べて構成。いわば『シンデレラガールズ』の歴史を音楽で辿るライブになっており、それだけに人気曲が次から次へと惜しげもなく投入されていく。5曲目のセクシーかつ愛情過多なR&B風デジタルポップ「Love∞Destiny」(2016年)を歌ったのは長島、立花、松嵜というレアな組み合わせ。歌詞のキメにあたる部分〈∞(アンリミテッド)〉の妖艶なつぶやきは立花が担当し、フロアからは大歓声が上がる。

 さらにここでスペシャルな展開として、趣味でDJをたしなむという桜咲によるDJタイムがスタート。アプリゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』のテーマソング的な位置づけにある「とどけ!アイドル」(2015年)を皮切りに、「Snow Wings」(2016年)や「桜の風」(2018年)など、この日に登壇したキャストの関わる楽曲を中心に繋いで巧みに盛り上げる。時おりマイクを使ってプロデューサーたちを煽る姿も堂に入ったもの。会場の新木場スタジオコーストは、週末はageHaの名前でクラブイベントを行っている国内有数のべニューということもあり、音響のクオリティーも抜群だ。

 そこからAJURIKAにDJをバトンタッチすると、彼は「まだちょっとだけかけたい曲があるんだ」と語って、自身が提供したトランス調のダンスポップ「Nation Blue」(2013年)をスピン。そこから「Tulip」(2016年)、「Orange Sapphire」(2013年)といった人気曲を挿みつつ、「Naked Romance」(2013年)、「Needle Light」(2019年)、「Neo Beautiful Pain」(2017年)と自らの制作した楽曲を連続でかけてフロアを熱狂させる。

 そんなAJURIKAのDJプレイからの流れで、ステージに長島、桜咲、青木のクール組が登場し、リキッドファンク×フューチャーベースといった趣きの幻想的なナンバー「さよならアンドロメダ」(2017年)のライブパフォーマンスに突入。そこから今度は松嵜、原、高田のパッション組が元気いっぱいに姿を現し、アコギの音色がブラジリアンドラムンベースっぽいハイテンションポップ「SUN FLOWER」(2017年)で一気に駆け抜ける。

 そして再び9人のキャストがステージに勢揃いすると、「感謝の気持ちを込めてこの曲をお送りしたいと思います」(青木)と、アイドルからファンへの「ありがとう」のメッセージをダイレクトに綴った感動的なバラード「always」(2017年)を、全員で一節ずつ想いを込めながら大切に歌い継いでいく。最後は感謝と希望に満ちた開放的なナンバー「EVERMORE」(2017年)で華やかにゴール。新しいアイドルを迎えながらこの先も広がり続けるであろう『アイドルマスター シンデレラガールズ』の眩しい未来を予感させながら、イベントは幕を閉じた。

 以上、多彩な楽曲で構成された『感謝祭』だったが、そのいずれもがオリコンチャートでトップ10入りしているのだからすごい。しかも本作品にはアイドルが190人も存在しており、その数だけの個性があるのはもちろん、ユニットなども考慮に入れるとほぼ無限の掛け合わせが可能である。魅力的なアイドル達によってトップ10入り作品が100タイトルを超えた今もなお楽曲がマンネリ化することはなく、フレッシュな新曲が登場し続けている。最近では、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』のTVCMにゆずが出演した縁で、北川悠仁が「無重力シャトル」(2019年)という楽曲を書き下ろすトピックもあった。今後も『アイドルマスター シンデレラガールズ』から新たなヒット曲が生まれていくに違いない。

■流星さとる
流浪の人。アニメ・声優・アニソン関連のライター仕事、よろず承ります。お問い合わせは【ryuseisatoru@gmail.com】までどうぞ。

日本コロムビア アイドルマスター(THE IDOLM@STER)公式ページ