ダイアモンド✡ユカイ「君はともだち」歌唱は適任? 映画『トイ・ストーリー』との親和性を解説
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7月12日に映画『トイ・ストーリー4』が公開された。『トイ・ストーリー』は、主人公ウッディをはじめとした、意志を持つオモチャたちの物語。オモチャの仲間たちだけではなく、持ち主とオモチャの友情関係、さらにはオモチャたちの生き方をも丁寧に描いた大人気シリーズだ。
そして同映画を語るにあたって欠かせないのが、ランディ・ニューマンが手がけた主題歌「君はともだち」だろう。まるで持ち主との絆をウッディ視点で描いたかのような同曲は、映画の良さを一層引き出している。日本語版を歌唱しているのはダイアモンド✡ユカイだ。また、『トイ・ストーリー4』では23年ぶりに新録を行ったという。そこで本稿では「君はともだち」のさらなる魅力に迫るべく、映画音楽に詳しいライター・村尾泰郎氏に話を聞いた。
「『君はともだち』を手がけたランディ・ニューマンは、ジャズと、フォーク、ブルースなどのアメリカの伝統的な音楽をベースに持っている人で、古き良き時代のアメリカの匂いを感じさせる曲を書いています。シンガーソングライターとしてデビューしているので曲の語り口も独自のスタイルがある。語り口というのは、例えば歌詞であったり、歌い方であったり、アレンジであったり、曲の聴かせ方などを指しています。シンガーソングライターとしてのランディ・ニューマンの魅力は、ノスタルジックなサウンドと美しいメロディに乗せて辛辣な内容の歌詞を歌うこと。そのギャップがユニークなんですよね。
『君はともだち』はディズニー映画の主題歌とあって、そこまで辛辣な歌詞ではありませんが、曲にほのぼのとしたユーモアがある。〈You’ve got a friend in me(君には僕という友達がいる)〉なんてもったいぶった言い方で、ちょっと大袈裟で威張ってる風にも聞こえるけれど、どこか憎めないのです。のどかな音楽と暖かなメロディ、そして、ちょっと芝居がかったランディ・ニューマンの歌い方が、親しみやすさを感じさせるんだと思います。エラそうだけど根はいい奴、みたいなキャラクターが伝わってくる。アメリカの民謡みたいにシンプルで子供にも覚えやすいメロディ。そして、曲全体を通じてキャラクターの性格が伝わってくるような語り口の巧みさ。それがこの曲の魅力であり、ランディ・ニューマンというアーティストの魅力だと思いますね」
さらに同氏は、ダイアモンド✡ユカイが「君はともだち」を歌唱することになった理由についてこのように語った。
「ダイアモンド✡ユカイさんは、最近ではバラエティの印象が強いですが、出発点はロックミュージシャン。しかも、俳優としてのキャリアもある。ランディ・ニューマンの歌い方には、どこか芝居がかったところがあるので、ミュージシャンと俳優の2つのキャリアがあるユカイさんに合ってるかもしれませんね。ディズニーから話が来た時、ユカイさんは最初は断ろうとしたのですが、楽曲を作ったのがランディ・ニューマンと聞いて引き受けたそうです。ランディ・ニューマンが好きだった、というのも歌う上で大切だと思います。ランディ・ニューマンはクセの強いミュージシャンでもあるので、彼の音楽やユーモアのセンスを知っているというのは重要。あとは、ハンサムだけど性格は三枚目なところやお調子者だけど憎めない感じなど、ユカイさん自身がウッディのキャラクターに通じるところがあるようにも感じます。ユカイさんの歌い方は、ランディ・ニューマンの雰囲気を受け継ぎながら、ウッデらしさもある。シンガーとキャラクターその両方のエッセンスがあるところも『君はともだち』の歌い手として最適だったのではないでしょうか。また、『トイ・ストーリー4』で、ユカイさんが新たに録音し直したというところに注目したいですね。最初に歌を吹き込んだ時との大きな違いは、ユカイさんには子供が生まれたこと。ユカイさんは子守唄のように子供たちに『君はともだち』を歌って聴かせてきたそうです。それだけに、歌に対する思いも深まったはず。その違いにも耳を傾けてみたいです」
わかりやすくシンプルな楽曲構成でありながら、『トイ・ストーリー』の魅力も凝縮された「君はともだち」。また、同曲を聴いているとキャラクターの顔が頭に浮かんでくるのは、ダイアモンド✡ユカイによる歌唱の影響もあるのだろう。本日7月19日には『ミュージックステーション』にて、ダイアモンド✡ユカイが同曲をパフォーマンスするとのこと。同放送で楽曲の魅力を改めて感じてみてはいかがだろうか。
(取材・文=北村奈都樹)