サザエさん一家が等身大でお台場に！　特殊メイクアーティストAmazing JIRO氏が語る“みんなのサザエさん”像

国民的アニメ『サザエさん』の放送開始50周年を記念したイベント「サザエさん展 THE REAL」が7月27日（土）から9月1日（日）までフジテレビ本社屋の25階球体展望室・はちたまで開催される。本イベントでは誰もが知る『サザエさん』のキャラクターや世界をこれまでとは違った切り口で紹介・展示する企画が盛りだくさんで、タイトルにもなっている“REAL”なサザエさん一家が登場。世界的な特殊メイクアーティストAmazing JIRO氏が率いるクリエイター集団“自由廊”が細部までこだわってリアルな立体を作り上げた。

誰もが知るサザエさん一家を等身大で造形し、さらには髪の毛やシワにまでこだわってリアルに造形する。この前代未聞のチャレンジに挑んだのが、JIRO氏と自由廊のアーティストたちだ。彼らは特殊メイクや特殊造形をはじめ、映画、CMなどさまざまなジャンルで活動しており、「これまでもさまざまな仕事で“立体の人間”を作って構造も理解していますので、参照するものがなくても立体の人間をつくることはできる」とJIRO氏は語る。しかし、今回取り組むのは国民的なキャラクター。JIRO氏曰く“日本で嫌いな人はまずいない”一家の立体化だ。

「今回の場合は、2Dキャラクターとして大幅にデフォルメされているものを立体化する、それもパーツの比率が実際の人間とは大きく違って立体感が“線”だけで表現されているものをつくる難しさがありました。それぞれのパーツの高さが実際にどのぐらいのものか、アニメを見るだけでは分からないんです。だから想像と、これまで立体の人間をつくってきた経験を投影しながら作っていったんですけど、ジャッジの幅が本当に広いんですよ（笑）。作っていく中でいろんな“分かれ道”があって、どっちを選ぶのが正解なのか……」

そこで彼らがキメ手にしたのは、リアルな人間の比率でも、立体物としての美しさでもなく「一般的にみなさんが知っている『サザエさん』のイメージや印象」だったとJIRO氏は振り返る。「サザエさん一家はみなさんにとってすごく近しい存在で、それぞれのキャラクター性がしっかりとあるので、その印象を損ねずにキャラクター性が伝わるように最後の最後までトライアルして作っていきました。完成した立体を見ていただけると分かると思うんですけど、実際のサザエさんの瞳はここまで大きくはないんです。でも、アニメのままの比率で立体化してしまうと、ものすごく目が小さくなってしまって違和感がある。だから、サザエさんの持ってる可愛らしさを表現するにはむしろ瞳を大きくした方がいい。それにアニメのサザエさんは笑って口が開いても歯が見えないんですけど、歯をつくることでサザエさんの朗らかさ、明るさが伝わるので歯をつけました。だから、アニメに忠実ではないんですけど、キャラクター性には忠実にして、大きな変更であっても常に“みんなのサザエさんの印象”に寄せていくようにしました」

単に2Dで描かれたものを立体にし、解剖学的なセオリーをあてはめるだけでは“みんなの大好きなサザエさん”にはならない。「リアルにするってことは、人間のパーツを思い切って足していく作業ではあるんですけど、やり過ぎて実際の人間の比率や構造に近づけば近づくほど、そのキャラクターからは離れていってしまうんです。サザエさん一家は、顔の表現はシンプルでファンタジーだったりするんですけど（笑）、そこで起こっていることはどこかリアリティがあって、それぞれのキャラクター性が分かりやすく描かれているので、みんなが思うサザエさんのキャラクター性に集約していきました」

今回展示されるリアルサザエさんは細部までリアルに作りこまれ、見た瞬間は驚く人もいるかもしれないが、細部までじっくり見ると、作り手たちがサザエさん一家のことを愛し、多くの人が抱く『サザエさん』のイメージに寄り添っていることが分かる。「ふだん僕が造形監修をする時には自分の感性で“こっちの方がいい”と指示ができるんですけど、今回の作業に関しては正直、いろんな人に“これでいいかな？”って聞きたいです（笑）。今回の仕事は、みんなが『サザエさん』をこう思っているだろうな、という点に向かっていく作業だったので、ちょっと面白い仕事になりましたね」

見る者をアッと驚かせる、細部まで見ると衝撃を受ける……でも確実に“私たちが知っている”サザエさん一家がついに等身大でお台場に登場する。ちなみに会場には他にもアフレコ体験コーナーや、テレビ放送50周年を振り返る展示、オリジナルゲームが楽しめるコーナーを設置。これまで以上にサザエさん一家を身近に感じられるはずだ。

「サザエさん展 THE REAL」
会期：7月27日（土）から9月1日（日）まで
会場：フジテレビ本社屋 25階 球体展望室 はちたま