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鞘師里保の完全復活は近い? 『ひなフェス』出演やBABYMETAL合流などの伏線を読む

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 2019年6月末、運命に導かれたかのようなステージでの競演が大きく報じられた。話題の中心にいたのは、SU-METALとMOAMETALからなるBABYMETAL。そして、元・モーニング娘。のエースメンバーであった鞘師里保だった。

参考:モーニング娘。’15・鞘師里保のグループへの思い「自分はモーニング娘。なんだって考えていれば、道を外すことはない」

 かつて3人組として活動していたBABYMETALは、一昨年12月のYUIMETAL休養を受けて以降、昨年は変則7人体制による“ダークサイド”を掲げて活動。昨年10月にYUIMETALが正式にグループからの脱退を発表してからも、ファンを中心に、ユニットの舵取りに大きな注目が集まっていた。

 そして今年、6月からの新体制を表明したBABYMETALは、3人の“アベンジャーズ”を輪番でパフォーマーとして招へいするスタイルへ移行。7月中旬現在では、3人目のパフォーマーは明かされていないものの、SU-METALとMOAMETALに加えて、先述の鞘師と、彼女たちのルーツでもあるさくら学院の生徒会長・藤平華乃のいずれかがステージへ立つ形で、国内外でのライブを敢行している。

 なかでもメディアから大きな注目を集めたのが、鞘師の存在であったが、なぜ彼女がこれほどまでに取り沙汰されたのか。その経歴やBABYMETALとの接点をたどると共に、さらにその先で生まれたファン同士の交流からみえたユニットの“今”に思いを巡らせてみたい。

■モーニング娘。時代は66曲に参加。エースとして活躍した鞘師の歩み

 鞘師がモーニング娘。へ加入したのは、2011年1月だった。2010年に開催されたハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)のオーディション『Jc&Jk女子中高生女優オーディション』へ合格後、同グループの主演舞台『ファッショナブル』に出演。そして、直後に行われた『モーニング娘。9期メンバーオーディション』を経て、現在のモーニング娘。’19でリーダーを務める譜久村聖、サブリーダーの生田衣梨奈、2016年5月に卒業した鈴木香音と共に活動を開始した。

 以降、同グループのフェーズとして位置付けられる“プラチナ期”を支えた高橋愛や田中れいなを継ぐ活躍を期待された鞘師は、45thシングル『まじですかスカ!』から60thシングル『冷たい風と片思い/ENDLESSSKY/OneandOnly』までカップリング曲やアルバム曲も含む66曲に参加(※1)。中核を担うメンバーとしての存在感をみせつけた50thシングル表題曲「 One・Two・Three」など、同グループの楽曲がEDMへ転換した時期の象徴として、持ち前の歌やダンスによりパフォーマンスをけん引していた。(※1参考:モーニング娘。’15を年内で卒業! 鞘師里保の参加楽曲は全部で何曲?)

 しかし、2015年10月に同グループの公式ブログで「英語やダンスを学ぶために留学したい」と綴り卒業を報告。さらに、昨年6月に卒業した尾形春水、現在もモーニング娘。’19で活躍する野中美希、牧野真莉愛、羽賀朱音ら「12期メンバーの後輩達の成長が確認できたので」と決意した理由を明かし、同年の大晦日に行われたハロプロのカウントダウンコンサート『Hello! Project COUNTDOWN PARTY 2015 ~ GOOD BYE & HELLO!~』でいったんはステージを後にした。

 ハロプロでは、卒業メンバーは各所属グループの単独公演で見送られる慣例もあるが、合同コンサートが最後の舞台となるのは異例の対応だった。その流れも受けてか、以降は彼女のその後を気にかけるファンの声も目立っていたが、今年3月に幕張メッセ国際展示場で行われたハロプロの合同コンサート『Hello! Project 20th Anniversary!! Hello! Project ひなフェス 2019』で表舞台へ久々に復帰。先述の「One・Two・Three」や46thシングル曲「Only you」を現役メンバーと共に歌い上げ、およそ3年3カ月ぶりとなる彼女のパフォーマンスは、ファンを中心に大きく話題を集めた。

■ASH出身のSU-METALとハロプロの元メンバーに憧れを抱くMOAMETAL

 ファン心理からいえば“奇跡”にも近い、突然の復帰から約3カ月後。彼女が予告なくふたたび姿をみせたのが、今年6月28日に横浜アリーナで行われたBABYMETALの公演『BABYMETAL AWAKENS – THE SUN ALSO RISES -』だった。

 新体制の初陣となった当日。会場ではSU-METALとMOAMETALに加えて、3人のパフォーマーを招へいする“アベンジャーズ”の仕組みが告げられたが、かつてみられたトライアングルのフォーメーションを復活させたステージで、鞘師の存在に気が付いたファンからはどよめきが上がっていた。

 しかし、彼女たちの出会いは決して偶然ではなかった。現状、鞘師が合流するまでの経緯は公式に明かされていないが、そのルーツには、SU-METALと彼女が幼い頃に共に研さんを積んだ養成所「アクターズスクール広島」(以下、ASH)がある。

 Perfumeや乃木坂46の元メンバーでありSU-METALの姉でもある中元日芽香、ハロプロのグループ・Juice=Juiceの段原瑠々などを輩出したASHは、養成所の名門として知られている。SU-METALと鞘師も同様のレッスンを受けていたメンバーであり、正確な時期は不明だが、養成所内ではユニットを組み一緒に活動していた経験もあるという。

 さらに、もう一つ浮かび上がる接点は、アイドル界の一時代を支えながらも12年間の活動に終止符を打ち、2017年6月に惜しまれつつも解散した℃-uteの元メンバー・鈴木愛理の存在である。

 じつは、MOAMETALはかねてより鈴木を“憧れの人”と公言しており、さくら学院で“菊地最愛”として生徒会長を務めていた当時に、タワーレコードで行われたイベント『南波一海のアイドル三十六房』で彼女のモノマネをして底知れぬ愛をアピールする場面もあった。

 さらに、2013年12月に幕張メッセイベントホールで行われた『LEGEND “1999” YUIMETAL & MOAMETAL 聖誕祭』では、タイトルに冠された二人が生まれた年にちなみ、メタルアレンジを施した「ちょこっとLOVE -BIG TIME CHANGES ver.-」や「LOVEマシーン -FROM HELL WITH LOVE ver.-」を披露するなど、ハロプロとの不思議な繋がりがみられていた。

■鞘師の登場で生まれた異なるファン同士の交流

 2018年11月末をもって、鞘師は前所属事務所であるアップフロントプロモーションを退社している。以降はフリーとして活動しているが、アイドル界を俯瞰してみると、一大勢力でエースとして活躍していたメンバーが、別勢力のグループへ合流するというのも異例中の異例だ。

 ただ、BABYMETALが“アイドルかメタルか”という議論はさておき、昨年をピークに卒業や解散が相次いだアイドル界にとっては、彼女がBABYMETALへ合流したことでファン同士によるある種の“希望”ともとれる交流が生まれつつある。

 Twitterを中心に、彼女がBABYMETALのステージへ立って以降は、それぞれのファン同士がたがいに情報交換を図る様子もみてとれる。一方は、BABYMETALのピンチに駆けつけた“救世主”として。もう一方は、長らく表舞台に姿をみせていなかった鞘師の世界を拡げてくれた存在として、共に尊敬の念を抱きながら彼女たちの活躍を見守るファンたちも少なくない。

 今年6月にイギリスで行われた大規模フェス『Glastonbury Festival』へBABYMETALが出演した際には、掲示板「Reddit」をはじめ海外からも多くの反響が寄せられていたほか、現地発の音楽雑誌「Kerrang!」も直後に「New Member Appears With BABYMETAL At Glastonbury?(グラストンベリーでBABYMETALの新メンバーが登場した?)」と題した記事をWeb版にアップ。ステージの写真と共に、鞘師の存在について言及した。

 そして今後、彼女が一翼を担う存在としてどう活躍するかも期待されるが、BABYMETALは8月の台湾や国内でのフェス出演を経て、9月からは自身初となる現地のアリーナ公演を含むアメリカツアーへ。さらに、11月に開催する国内での単独公演をきっかけに、10月に発売される3rdアルバムのタイトルを冠した『METAL GALAXY WORLD TOUR』をスタートし、来年2月からはみたび海外へと渡ることが示唆されている。

 今はまだ、3人目の“アベンジャーズ”が明かされていないものの、もう一人の藤平華乃にも、さくら学院で歴代の生徒会長を務めた者同士が競演するというドラマが生まれている。それぞれのパフォーマンスからにじむ関係性を噛み締めながら、彼女たちの行く末を見守るならば“今”を追うしかない。(カネコシュウヘイ)