国境なき現代の寵児 RUANN、「BEEP BEEP」で見せた才能と強い意志
音楽
ニュース

“生まれ変わる”とはまさにこのことである。その鮮烈なサウンド、愛らしいダンス、これまでのイメージを更新するカラフルなイメージに軽く衝撃を受けてしまった。
実は、RUANNののライブを昨年(2018年8月26日・新宿ReNY)見たとき、才能溢れる若手が出てきたことに驚いたと同時に、この無限の才能を日本国内で燻らせておくのはもったいないのではないかという一抹の不安があった。しかし、今回の「BEEP BEEP」がリリースされ、そんな不安も綺麗に吹き飛んだのだ。
RUANNは2003年生まれの大阪府出身。英語や韓国語、中国語までをも習得し、歌やダンスだけでなくアコギやピアノも堪能で、歌唱力に至ってはONE OK ROCKのTakaが惚れ込んで自らの公演に招待するほど。そのボーダーレスな才能は、YouTubeなどで海外の文化に容易く触れられる現代において貴重な武器となる。エンタメシーンにおける国境なき現代の寵児として、新たなポップスターへとのぼり詰めるだろう。
そんな彼女の楽曲は、これまでは良くも悪くも日本市場向けの楽曲スタイル、あるいは洋楽志向であっても2000年代ごろのようなサウンドの懐かしさを纏った音であった。しかし、新曲「BEEP BEEP」はK-POPアーティストに多く楽曲提供しているBlack eyed pilseungによるプロデュースとあって、急激に最新のサウンドへシフトチェンジしている。それによって楽曲水準が何段階も引き上がった印象だ。
Black eyed pilseungは2014年結成の作曲家チーム。今まで楽曲提供してきたアーティストはApink、GOT7などで、TWICEの「Cheer Up」や「TT」の作曲をしたことで一躍名を馳せた気鋭のプロデューサーだ。こうした最新トレンドの音は、彼女自身もK-POPを好んで聴いているため何の迷いもなく取り組めたはず。
また、MVで披露している振付は韓国のダンサー、リア・キムによるもの。彼女は、「TTダンス」を生み出した有名振付師である。一曲を通しての緩急のついた躍動感や、サビでの両手人差し指を前後させるキュートな動きは、”パワフルさ”と”女性らしさ”の同居した現在の16歳のRUANNの持つ魅力をうまく引き出している。今の彼女にふさわしい、そして今の時代にもふさわしい楽曲になっているだろう。
またリア・キムは以前インタビューでRUANNについて「映像を見たときに、才能が多彩で驚きました。楽器、ダンス、作曲も全部できる人は韓国にも少ないかと。一緒にコラボする間刺激されたし、 その才能が他の人にも届けられたらなと思います。」と語っている。(参考:TWICE「TT」など手がけるリア・キムが明かす、K-POPにおけるダンスと振付の重要性)
さて、今回の楽曲は7月31日に日韓同時リリースされたそうだ。多くのK-POPグループが韓国内と日本国内の発売にタイムラグがあるなか、RUANNの今回の試みは注目すべき点だ。彼女のチームの意識がしっかりと海外に向いている証拠である。
現在TWICEやIZ*ONEなど、K-POPグループに所属する日本人が国境を跨いで人気を得ることも珍しいことではない。そうした例は今、男女関わらず見られるのだ。それを考えれば、RUANNのように海外の空気感とも呼応する楽曲で積極的にアピールしていくことで、海外のファンから先に火が点き、後に逆輸入的に日本でヒットするパターンさえ想定できる。
日本の音楽シーンは、これまでSNSといったネット上のツールを、ポップスのフィールドのプレイヤーたちよりもインディーシーンの人々の方が活発に利用していた印象がある。それによって、日本のポップミュージックは世界と比べてどこか出遅れたしまった状況に見える。
RUANNには、そんな日本のポップミュージックのシーンの先陣を切って引っ張る存在として、駆け抜けていってほしい。
■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
blog
Twitter(@az_ogi)
■リリース情報
デジタルシングル 『BEEP BEEP Japanese ver.』(Prod. B.E.P)
7月31日(水)日韓同時配信リリース
各サイトの配信はこちらから
RUANN 公式リンク
Official Site
Official Twitter
Official Instagram