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『ロクサミ』主催の老舗レーベル<CROW MUSIC>、関西ヴィジュアル系シーンで担う役割

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 FEST VAINQUEUR、ザアザア……今、関西のヴィジュアル系(以下、V系)シーンは、若手を中心に活気がある。その立役者が、京都のV系専門レーベル<CROW MUSIC>だ。そこで本稿では、関西の最重要レーベル<CROW MUSIC>がどのような活動でV系シーンにどんな効果をもたらしているのか、改めて紹介したい。

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■京都の老舗V系レーベル<CROW MUSIC>

 <CROW MUSIC>は、京都に拠点を置くV系専門レーベルである。1997年の設立以降、コンスタントに新しいバンドを輩出しており、現在は、DIEALO、ARCHEMI.の2バンドが所属している。<CROW MUSIC>の運営の特徴は、所属バンドを売り出すためだけの活動に留まらないところにある。例えば、V系のフリーペーパー『Aivy』の発行やV系インディーズ音源とアパレルのショップ(現在店舗は休業中)の営業など、活動は多岐にわたる。中でも注目すべきは、イベントのオーガナイザーとしての役割だ。主催するイベントには、自社レーベルに所属するバンドだけでなく、他レーベルのバンドも多数出演し、毎年恒例となっているKYOTO MUSEでのカウントダウンイベントは12年連続で開催している。また、インディーズで活動するV系バンドの、関西圏でのアウトストアイベントを執り行っていたり、近年は、関西圏だけでなく、東京や名古屋でもイベントを開催するなど、関西以外のバンドとの交流もさかんだ。その老舗レーベルが、シーンで一層その存在感を増したのが、『KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT』の開催だ。

■『KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT』とは

 関西のV系シーンに活気がある要因のひとつとして、イベントの多さが挙げられる。大阪STUDIO PARTITAで開催されるFEST VAINQUEUR主催の『FEST FES』や、服部緑地野外音楽堂で開催される『Bands Shock Revolution~びじゅある祭~』など、集客のある大型イベントも目立つ。その中でも、『ロクサミ』の略称で親しまれている『KANSAI ROCK SUMMIT EXPLOSION CIRCUIT(以下ロクサミ)』は、主にインディーズで活動するバンドが出演する大型のサーキットイベントだ。心斎橋アメリカ村の複数のライブハウスに、全国からV系バンドが集結する。これを主催しているのが、<CROW MUSIC>だ。2014年以降、毎年開催され、V系ファンの間ではすっかり5月のアメリカ村の風物詩となっている。

 『ロクサミ』が他の大型イベントと違うのは、オーディエンスが目当てのバンドを観に集まるというより、「いいバンドを見つけたい」という心持ちで集まっている点だろう。今年も、タイムテーブルを片手に「このバンド見てみたい」と話しているグループを見かけた。そして、そういうオーディエンスが集まるイベントだからこそ、バンド側もここが勝負どころ、という心意気でステージに挑む。今や、関西で活動する若手のV系は、『ロクサミ』に出ることを最初の目標に立てていると言っても過言ではないだろう。昨年、Axkeyの優稀(Vo)がOSAKA MUSEのステージ上で「去年は出られなくて悔しい思いをしたけれど、今年は出演できたうえに、大きい会場に出られて光栄」と語ったことも印象深い。このイベントの存在自体が、若手バンドのモチベーションを上げているのだ。

■関西V系シーンで担う役割

 こうした事実からも分かる通り、<CROW MUSIC>が関西V系シーンにもたらす効果は、インディーズのV系バンドが活躍する“場”や“舞台”を生み出していることだろう。特に、『ロクサミ』のような動員数の多いイベントは、バンドにとって新規のファンを獲得するチャンスの場でもあり、観てくれる人がいることを実感できる場でもある 。しかも、自社レーベルのバンドだけにではなく、インディーズで活動する全てのバンドに開かれた場であることも、シーンが活性化するポイントだ。そう、<CROW MUSIC>の活動からは、V系シーン全体を盛り上げたいという気概が感じられるのだ。特に、『ロクサミ』ほどの大規模なイベントを、ほぼ手弁当で毎年開催するのは相当な労力だと想像するが、それでも続けているのは、V系シーンへの愛情からではないだろうか。<CROW MUSIC>の代表、TATSUYA氏は、もともとV系のバンドマンだった。自分が育ったシーンで、今活動する後輩たちに何かしたい。そんな気持ちが根底にあるのだろう。関西V系シーン活性化の背景には、V系シーンへの愛着を感じられるレーベルの存在がある。彼らが作り出す舞台で暴れまわるV系バンドが今後も登場することを期待したい。(小川あかね)