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プロダンサーが分析するジャニーズメンバーのダンスの個性 4つのトピックから解説

音楽

ニュース

リアルサウンド

 先日、電話インタビューにて取材協力をさせてもらったV6「All For You」の振付についての記事(参照:https://realsound.jp/2019/07/post-385211.html)がご好評とのこと!

(関連:ジャニーズのダンスはどう進化してきたか その独自性を支えるキーパーソンたち

 ダンサー界の大先輩であるYOSHIEさんの振付に解説をするという、偉そうな立場になってしまい戦々恐々としていましたが、異なる個々のダンスの魅力など嬉しい発見がたくさん。この世界にあかるくない自分も、すっかり虜になってしまいました。というわけで調子に乗って今回は、さらにいろんなジャニーズグループの面々をダンス的な側面から掘り下げてみようと思います。

 とはいえ、自分が専門としているストリートダンスのように即興で踊るフリースタイル文化があるわけでもないので、パフォーマンス映像だけで個々のスタイルについて紐解くのは意外にむずかしい。そこで、ダンスにまつわる4つのトピックを軸に、いろんな角度から個性を紐解いてみることにします。

1.リズム感
 ストリートダンスに事欠かせないのが、皆さんにも馴染みのあるワードであるリズム感。ひとくちに言っても解釈は様々ですが、最大のポイントは、正確に決められたカタチで記憶するのではなく音楽に身を委ね続けないといけないこと。前述のV6「All For You」の振付がまさにそうだったように、リズムで組み立てるダンスは本当に難易度の高いもので、世間一般的にダンサーとして活躍している人でも苦戦することも多いです(無論、筆者も絶賛苦戦中)。

 そんななか、抜群のリズム感で目を引くのはA.B.C.-Zの五関晃一さん。振付師としても活動するなど踊りが得意であることは周知の事実ですが、余裕溢れる身のこなしは、やはり相当量の技術があってこそ。「Crush On You」の中盤で魅せるステップの軽やかさったら! シアター系のジャジーな振付からアクロバティックなフロアまでこなせるオールマイティーさには脱帽です。

2.スピード感(緩急のつけ方)
 ダンスを褒めるときによく使われる言葉の一つ「キレがすごい」。瞬発力や動きの鋭さを称する言葉ですが、なにかとTVなどでは乱暴に使われることも多く「キレキレであればダンスがうまい」という偏ったイメージも与えているように思います。

 芸事や道などに同じく、ダンスにも潮の満ち引きのごとき緩急がつきもの。ということでキレを作れる人は、すなわち力加減を抜き差しできる緩急のつけ方が上手な人、というわけですね。

 そういった緩急のスピードコントロールが実に見事なのは、King & Princeの平野紫耀さん。その秘密は、おそらく随所にポッピン(1960~1970年代にアメリカ西海岸で生まれたストリートダンスのジャンル。エレクトリック・ブガルーズのブガルー・サムがオリジネーターとして知られる)で用いられるような、筋肉を弾く技術を駆使しているから。

 わかりやすく伝わるのは「Lover’s Delight」のブレイク部分のダンスパート。ビートに合わせてアクセントをより強調することで、スローな部分がより遅く、瞬間的に移動するときはより速く見えるようにしています。幼少期からヒップホップダンスを学んでいたという平野さん。振付の中に自然と高度なストリートダンスの技術を用いていることにも納得です。

3.身体の可動範囲の大きさ/軌道の美しさ
 ジャニーズのダンスナンバーはテンポも速く激しい曲調も多いので、無論それに合わせた振付は運動量が激しいですし、音数の分に応じた細かい仕掛けが含まれてきます。

 テンポの速さに乱されず、身体を最大限に使って軌道をきっちり描くことは、単純に年齢が若いからといっても簡単にはできるわけではありません。

 しかしそこは流石は天下のジャニーズタレント。ジャニーズWESTの神山智洋さんは、「Drift!!」のような複雑な振付の中でも身体をひとつひとつ的確に、然るべき場所におさめている様が印象的ですし、Hey! Say! JUMPの山田涼介さんや知念侑李さんも、身体の可動域を際限なく伸縮できるタイプ。軌道の美しさでいうとSexy Zoneのマリウス葉さんも、その確実さはピカイチです。

4.表現力/アレンジ能力
 どれだけ振付をきっちり揃えても、いい意味で浮き彫りになるのが個人の心持ち。この曲にどんな気持ちを込めるべきか、この動きひとつにどんな想いを込めるべきか……そう言った細やかな気持ちを汲み取る先天的なセンスは、その人自身のキャラクターが最も浮き彫りになるポイントかもしれません。

 たとえば嵐の松本潤さんはとても繊細な感性の持ち主であるように感じますし、KAT-TUNの上田竜也さんは大胆で情熱的。与えられた振付をそのまま踊るのではなく、いかにして自分のフィルターを通して表現するか、ということに日頃から向き合っている実直な方なのだろうな、と想像できます。長年のキャリアがあるベテランだからこそ出せる味わいとも言えるでしょう。

 さて、こうしてダンスだけでもトピック別に注目してみると、個々の特徴はもちろんグループごとのバランス感覚なども色鮮やかに見えてきます。あくまでも自分の視点ですし、もちろん名前を挙げきれなかった方でも素晴らしい踊りをする方がたくさんいます。皆さんがパフォーマンスを見るときのちょっとしたヒントになってもらえれば、きっとダンサーとしてのメンバーの魅力を再発見できるはず。歌って踊ってパフォーマンスする。言葉は簡単ですが、汗や努力の結晶が滲み出た本当に楽しいエンターテインメントです。(Yacheemi)