町山智浩、丸山ゴンザレスら絶賛 ロザムンド・パイク主演『プライベート・ウォー』著名人コメント
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9月13日に公開される『プライベート・ウォー』に、各界著名人が絶賛コメントを寄せた。
参考:“伝説の戦場記者”が高級下着を身に着ける理由を語る 『プライベート・ウォー』本編映像
本作は、英国サンデー・タイムズ紙の“伝説の記者”メリー・コルヴィンの半生を描いた伝記映画。世界中の戦地に赴き、レバノン内戦や湾岸戦争、チェチェン紛争、東ティモール紛争などを取材してきた女性戦場記者であるコルヴィンは、2001年のスリランカ内戦取材中に左目を失明した。PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも、黒の眼帯をトレードマークに世間の関心を紛争地帯に向けようと努めた2012年、シリアで受けた砲撃で命を落とした。真実を伝える恐れ知らずの記者として戦地を駆け抜けながらも、多くの恋をし、感性豊かに生き抜いた知られざるコルヴィンの半生が明らかになる。
戦場記者を天職と考え、黒い眼帯姿も特徴的な反逆精神溢れるコルヴィンを、『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクが演じる。パイクは、本作の演技で第76回ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)主演女優賞にノミネートされた。さらに『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のジェイミー・ドーナン、『ボヘミアン・ラプソディ』のトム・ホランダー、『プラダを着た悪魔』『ラブリー・ボーン』のスタンリー・トゥッチらが、仕事やプライベートでコルヴィンを支えた男たちを演じる。
『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』のアラッシュ・アメルによる脚本を、第88回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた『カルテル・ランド』や『ラッカは静かに虐殺されている』などドキュメンタリーを手がけてきたマシュー・ハイネマン監督が初の劇映画作品として映画化。さらに、シャーリーズ・セロンがプロデューサーとして参加した。
コメントを寄せたのは、映画評論家の町山智浩、映画監督・作家の森達也、ジャーナリストの丸山ゴンザレスら13名。コメントは以下のとおり。
コメント一覧
町山智浩(映画評論家)
酒とセックスとアドレナリンを燃料に戦場を駆け抜ける隻眼の女性ジャーナリスト、その使命は弱者の声を世界に届けること。どんなスーパーヒーローよりもカッコいい人が実在したんだ!
森達也(映画監督・作家)
そこが戦場でも自宅でもオフィスでも、メリーはいつも一人だ。軍隊に所属する兵士でもないし、会社に所属する社員でもない。そして誰かの恋人や妻でもない。一人称単数の主語を保持するジャーナリストとして、メリーはいつも屹立している。
松江哲明(ドキュメンタリー監督)
片目のジャーナリストの心は常に対立する何かとぶつかり合っている。過酷な戦場とPTSDに苦しむロンドンでの生活は並列に描かれ、その内なる葛藤が観客を撃つ。ロザムンド・パイクの身体はその説得力を持つ。
室井佑月(作家)
死の近くにいるから、生の濃さを味わえるのか? 生きてることを確認するため、死の側に出向くのか? 命を生み出す女であることに意味はあるのか? 強烈だ。
駒井尚文(映画.com 編集長)
とにかく、ロザムンド・パイクのこの役に賭ける意気込みが半端ない。そして、戦場のヒリヒリする緊迫感もただ事じゃない。監督は誰かと思ったら、『ラッカは静かに虐殺されている』のマシュー・ハイネマンだった。なるほど、納得。凄い映画です。
志葉玲(戦場ジャーナリスト)
震えた。臆病者ゆえ生き延びてきた同業として、メリーには敬意と羨望しかない。これは単なる映画を超えた、孤高の魂の追体験。地獄と化したシリアでメリーが何を観たか。一人でも多くの人々に受け取ってほしい。
鈴木美優(ジャーナリスト)
「何を見たい」ではなく、「何を世界に伝えるべきか」ーー。その信念を常に持ち続け、世界中の紛争地を最も激しい時期に取材してきたメリー記者の心情や葛藤がリアルに描かれている。
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
ジャーナリストは、聖職でも英雄でも、そして主役でもない。どうか彼らのレンズの先、眼差しの向こうに広がる光景、そこで生き抜く人々の姿を力の限り想像しながら、この映画を観てほしい。
丸山ゴンザレス(ジャーナリスト)
メリーはエゴイストで自分勝手だ。わかっていながら我を通したのは、ジャーナリストとして「伝える」ことに病的なまでにこだわっていたから。それが理解できる私も同じ中毒になっているのかもしれない。
さいとう・たかを(劇画家)
久しぶりに映画らしい映画を観た。リアルな撮影に主演女優の見事な演技。これぞ映画だ!
瀬谷るみ子(日本紛争予防センター理事長)
紛争地の現実から「目を背け、記憶から消す」のか、「その存在を認め、理解しようとする」のか。少しでも多くの人々が後者を選ぶ可能性を信じ、メリーが命をかけて最後の瞬間まで私たちに託したかったことがある。それを自分の目で確かめることは、あなたが実行できる最初の「世界を変えるための行動」だ。
松崎健夫(映画評論家)
戦場へ赴く恐怖に対してコルヴィンが打ち勝つのは、社会的な意義や正義によるものだけではない。目を背けたくなるような惨状だからこそ直視する。その憤怒が彼女を奮い立たせるのだ。戦場だけでなく、人生もまた闘いの連続なのだから。
中江有里(女優・作家)
戦場という生死の境で記録することがメリー・コルヴィンの生き方。 刹那的にも見える彼女の軌跡をスクリーンに映し出した制作者たちに、私は首を垂れる。 (文=リアルサンド編集部)