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SHE’S「Masquerade」インタビュー 3カ月連続で新曲届ける理由と自然体なバンドの姿

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 このバンドの無二の部分であるメロディの自然な強さという普遍的な側面と、ピアノロックバンドのスタイルに拘泥しないインディーR&Bに近い近年の側面をアルバム『Now & Then』とその後のツアーで総括して見せたSHE’S。そんな彼らの次のアプローチは、バンド初の3カ月連続デジタルシングルリリースだ。

 9月16日の第1弾「Masquerade」を皮切りに、10月、11月と新曲の発表が続く。今回はなぜ今、デジタルシングルを毎月リリースするのか。そして、洋楽のオントレンドを汲んだ緻密なアレンジや井上竜馬のボーカルに新たな表現が満載された意表を突く「Masquerade」を、なぜ第1弾楽曲に据えたのかーーメジャーデビューから3年、より自由度の高い制作とその結実である渾身の楽曲を提示してきた4人に話を聞いた。(石角友香)

イントロから驚きのあるSHE’Sの新たな一面

ーーまず、『Now & Then』のリリースとツアーから得たものを教えてください。

井上竜馬【Key/Vo】(以下、井上):レコーディングで考えると1年前のことなので、自分の中では正直もう古い話にはなるんですけど、ツアーでも「今、と、あの時」という意味合いでセットリストを組んで。今のタイミングで昔の曲と最新の曲を織り交ぜてライブをする中での発見はありましたね。『Now & Then』で見出した故に輝く「The Everglow」(〈あの頃と変わらないものはない なんて言えないけど 今も色褪せないものは まだこんなにもあるよ〉と歌う曲)の視点は、4年前の「Change」の頃に思ってた、全てのもの、人ですら移り変わっていく無情、みたいな考え方と言わば対極にあるわけで、改めて自分たちが変わっていってるということを実感できました。

木村雅人【Dr】(以下、木村):昔の曲もやる中で、当時はなかなか見えてなかった景色というか、そういうものがしっかり成長した形で、演奏でもお客さんに着実に見せられてるなと思いましたね。

ーーそういったバンドの変化や成長を実感した上で、今回は3カ月連続デジタルリリースということですが。SHE’Sもいよいよサブスク時代に舵を切ってきたなと。これを今やろうと思った経緯は?

井上:そもそも『Now & Then』を出してから、次の作品の方向性についてみんなで何回か話し合ったんです。その中で、シングルかアルバムか、もしくは配信という選択肢もありつつ、とにかく全員が納得いく、出したいと思うような曲ができるまで書き続けようということになって。

 最終的にはアルバムを出すための制作ではあるんですけど、その中で光るものというか「これいいやん!」っていう曲があれば、シングルで出してもいいし、それが盤じゃなくても配信でもいいですよね、みたいな話はしてて。そのミーティングの中で3カ月連続で新曲を発表するのも面白いよね、という話をしてたんです。僕らはそういったリリース方法をやったことはなかったし、デジタルで先に配信するのは今の時代にマッチしているのかなとも思ったし。今、大先輩やトップシーンを走るアーティストがどんどんサブスクで音源を解禁する流れもあるから。僕らは最初から解禁はしてたんですけど、サブスクで聴く人がより増えてきているなら、そこに重心を置いてもいいのかなというのはありましたね。

ーー中でも第1弾リリースが意表を突いた曲で。

井上:確かに。「Masquerade」は、新曲群の中では一番最後に書いた曲なんですよ。

広瀬臣吾【Ba】(以下、広瀬):本人は「アルバム曲できたで~」ぐらいのテンションで持ってきたんですけど、みんなにめっちゃ褒められて。

服部栞汰【Gt】(以下、服部):今まで僕たちがやっていない雰囲気の曲でもあるし、僕が基本エレキギターで演奏するイメージがあるところで、これだけアコギメインの曲というのも珍しいし。曲調も今までのSHE’Sにはない感じで、メロディも良かったので、「これや!」と。それを(井上に)連絡したら「ええ?」みたいな反応だったんですけど。

井上:「嘘やん?」と思った(笑)。だってアコギだし、めちゃめちゃラテンぽいし、これがSHE’Sのリード曲になるのか? みたいな。

ーー作った本人が一番意外だった?

井上:曲作りの中で、ある程度“らしさ”みたいなものは意識しちゃいますよね。でも、リスナーとして僕が他のバンドの曲を聴いているときに、そのバンドっぽいものがくると嬉しいバンドもいるし、でもそれが続きすぎたらつまんなくなっちゃうバンドもいて。そのバランスはすごく絶妙で、自分で曲を作るときにもずっと探ってはいるところなんです。

ーーでは「Masquerade」は井上さん以外のメンバー3人がむしろやりたかった、と。

木村:リズムもアプローチも新しかったので、またSHE’Sの新しい面を見せることができるという意味ではすごく面白いなと思いました。

井上:曲調については、ラテンにする気は全くなくて、アイリッシュにしたかったんです。エド・シーランとか、ああいう雰囲気にしたいなと思ってたんですけど、結果的にラテンテイストになって。

服部:最初「めっちゃアイリッシュな曲作ってんねん」っていう話がきて、世界観がこう、寒い風が吹くような感じなのかな? と思ったら意外と常夏だった(笑)。

井上:アイスランド民謡曲集とか、1時間ぐらいあるインストの曲とかめちゃめちゃ聴いたのに、思わぬ方向に行きましたね(笑)。

ーー曲の中では何が最初にできました? メロディなのかビートなのか。

井上:アコギで作ったんですけど、先にリズムを決めてアコギのコードだけ録って、そのあとに印象的なバイオリンのフレーズを作って。だからイントロが先に出来上がった感じです。

ーーこの曲はまずイントロで驚きますからね。民族的なフレーズやサウンドを入れるトレンドは、それこそエド・シーランやR&B系のアーティストの楽曲にも近年見られますよね。

井上:最近増えてるんですよね、ラテン系って。ショーン・メンデスがカミラ・カベロとやってる「Señorita」もラテンだし、Clean Banditの「Baby (feat. Marina and the Diamonds & Luis Fonsi)」もそうだし。

ーーバンドでのアレンジはどうやって手をつけていったんですか?

広瀬:この曲に関してはギターのリフが大事だと思ったので、そういう曲をたくさん聴きながらベースラインはどんな感じにしようか考えましたね。このオルタナティブさをどうしたらいいかな? ラテン過ぎてもあかんし……と思って。

ーー服部さんは今回、全編アコギですね。

服部:そうですね。それこそガット弦のクラシックギターも合うかなと思ったんですけど、それはそれでラテンに寄り過ぎると思ったので、普通の弦のアコースティックギターを何本か弾き比べて、一番合うものを話し合いながら音作りをしていきました。ピッキングもこだわって、ストロークもジャーンって入るんじゃなくて、ジャカジャーンって入ると雰囲気が出るな、とか。竜馬の基本のイメージは壊さずに、リズム感は出しながら、あいだにちょっとずつフレーズを入れるぐらいの感じで臨みました。

ーー井上さんの歌メロの符割り、フロウも面白いです。

井上:最初はAメロで早口にしようということと、サビで大きくみんなで歌う感じで開けたらなぁ、ぐらいのざっくりとしたイメージしかなかったんです。Aメロの〈take it back,take it back〉のような英語の早口のところは海外ポップスでも耳にしていたのでやってみたいなと思っていて。そういったやりたいことのピースを一個ずつ当てはめていきましたね。

芸術は人に見られて、聴かれて、評価されて形になる

SHE’S – Masquerade

ーー歌詞も新しい。これまでのSHE’Sの楽曲にはなかった辛辣な表現も見られます。

井上:最近ハマってるんですよね、辛辣に(笑)。自分自身、問題提起がしたいタイミングなのかもしれません。着々と歳を重ねて大人に近づいていってる中で、今すごく自分が子供と大人の狭間にいる気がするというか。その位置だからこそ見える葛藤ーー「これっていいの?」みたいなものが見えてくるタイミングで、そこについて言及していきたいなとは思ってますね。表現方法ももっと強くてもいいのかなとも思ってますし。たとえば「Dance With Me」みたいな明るい曲に攻撃的な歌詞を合わせても言葉が入ってこないけど、サウンドに対して違和感がない状態でそういう曲ができたらな、とも思っていて。チルな雰囲気の曲でめちゃめちゃ問題提起したいなとも思うし(笑)。

ーー「Masquerade」の曲調だと、辛辣さに色っぽさも加えることができるじゃないですか。そういう旨味成分をプラスする、みたいなことができるのはいい手法ですよね。

服部:確かにちょっと色気もあるし、ここまで割と強めの歌詞が自分も好きなのかなと今回の曲を聴いてみて改めて思いました。

井上:日本人は歌詞をいい意味ですごくよく聴くので、「いい歌詞やなぁ」って思えるかどうかは今までも意識しなかったことはないんですけど、今回に関しては自然と乗れるリズムだからこそ、歌詞もそのムードに自然と乗っかっていけるように語感やリズム感重視の言葉遊びの方を優先しました。

ーー“心の仮面を外そう”という内容で、歌詞の中にはインスタ映えみたいなことに対する疑問も歌っていて。これまで表現しなかった側面を描いてますね。

井上:別にいい子いい子していたいわけではないんです。それでも、自分が音楽に救われてきたから、攻撃するよりは救える歌を書けたらいいなと思ってきて。生きる上でヒントになったり「確かに」って思えるような曲が書けたらなぁと。それはもちろん今もそうなんですけど、それだけじゃなくて、ちゃんと牙を見せる曲がもっとあってもいいかなと思ったんですよね。

ーー楽曲全体を通して、大きなトレンドをキャッチアップしている印象ですが、そういう学びは自然と身についてきた?

井上:自然とじゃないですかね。今回はセルフプロデュースですけど、メジャーデビューしてからプロデューサーの方と一緒に制作することで学べたこともいっぱいあって。耳触りとか、A~B~サビまでの効果的な手法とか、いろいろなテクニックを知れたのは面白かったです。そういった積み重ねがあるからこそ、Aメロが早口ならサビは大きいメロディでとか、そういうギャップを考えて作れるようになったんだと思うし。でも、それも自然とやるようになったことではあって。僕はあんまり音楽を研究対象として聴きたくないので、売れてる曲はどういう曲の作り方だ? みたいな聴き方はしないんですけど、たぶんいろんな曲を何回も聴いてるうちに自然と「これが気持ちいいな」っていうのを脳が認識していったんじゃないですかね。

ーーいい意味で“変化し続けるSHE’S”の印象が強い曲になりましたね。

井上:はい。でも、変化したくてしてるってスタンスでもなくて、本当に好きに書きたい曲を書いているだけなんです。その根底には単純に僕自身が生きてるうちにどんどん変化していっているのもあると思うし、どんどん聴く音楽の幅も広がって、好きな音楽も変わってっていう、そういう変化が如実に出てるだけなのかなっていうのは思いますね。無理に変わろうとしても、そういう力んだ変化はきっとリスナーにも伝わっちゃうんだろうなっていうのはあるし。逆に、「Masquerade」のサビのメロディの感じだったり、曲全体の抜け感に関してはこれまでやって来なかった表現なわけではないから、そういう部分では変化しない部分も一曲の中で自然と見えてきたりするので、いい意味で意識はしてないですね。

ーー「Masquerade」のような曲をバンドでやってるからこその面白さもあるし。

井上:それこそ昔は「この曲、メンバー好きちゃうやろなぁ」と思って、出来上がった曲を出さなかったりしたこともあったんですけど、最近は結構、付き合ってもらってるな?(笑)。

服部・広瀬・木村:(笑)。

井上:「付き合って」って気持ちで出してますね。好きじゃなくても付き合ってって(笑)。

ーー逆に意表を突かれて食いついてくれてるじゃないですか。

井上:そうなんですよ。栞汰はハードロックギターで育ったし、エレキギターっ子なんで、「わー、これ弾きたくないやろな」と思ってたんですけど、意外とこうやって出してみたら食いついてくれたりするので。みんなが変化していってるし、対応してくれるから、僕としては力みがなくなったというのはあります。

ーー服部さんにしてみたら、逆にギタリストとして「そんなに守備範囲狭くないし」と思いません?

服部:そうですね(笑)。全然「付き合ってやってる」って気もありませんし、逆に自分の新しい扉がどんどん開いていくのは、『Now & Then』でもそうだったので、今さらにもう一個扉が出てきたって感じで楽しく作れるし、その先もまた楽しみになってくるしっていう気持ちでやってましたね。

ーー毎月、新曲が世の中に出ていくのって楽しくないですか?

井上:いやー、楽しい! 僕も海外のアーティストがサブスクで毎月新曲を出してくれると嬉しいなと思うので、みんなにもそういう感覚を味わってもらえたら嬉しいですね。

ーーそういう楽しみ方もあるんだよ、という提案にもなる。

井上:そうですね。選択肢は広がっているから。もちろんまだ抵抗がある人、CDであることに重きを置いてる方もそれはそれで自由だからいいんですけど、知らない人に「あ、こんなに手軽に聴ける方法あるんや」って知ってほしいし、CDも買いたかったら買うしっていうのは、いろんな方法で音楽を楽しむ提案としてみんなに受け取ってもらえたらいいなぁと思いながらやってますね。

ーー井上さんが最初に言っていたように、今年はベテランのアーティストたちも軒並みサブスクで音源の解禁をしているので、一般層のユーザーも確実に増えたはずで。

井上:聴かれてなんぼですから。そもそも、アートにしても音楽にしても、芸術は人に見られて、聴かれて、評価されて形になるので。そういう点で、今、一番いい時代というか、誰もが聴けるーーもちろん違法なものが出てくるとか、リスクもありますけど、でも聴きたい人が聴けるし、簡単に広められる時代というのはすごくいいなぁと思う。僕らもバンドの中で音楽を共有しやすくなったし。「これ良かったで」ってリンクを貼ればみんなが聴けるから。バンド側にとってもインプットがしやすい状況が生まれているし、みんながwin-winなんじゃないかなと思いますね。

ーーそういえば、みなさん、今年の『SUMMER SONIC』でのThe 1975のライブに感動したそうですが。

井上:最高でしたよ。それこそ彼らの最新作(『A Brief Inquiry Into Online relationships』)ってかなりの問題作だと思うし、そのヒリヒリした感じ、同世代だからこそ見えてる部分は一緒だなって、和訳を見てても思うんです。もちろんすべてが一緒ではないですが。「Sincerity Is Scary」は、甘くて落ち着く曲調なのに歌詞が滅入ってる違和感が面白かったし、問題をただただ突きつけてくるアルバムだったなって。そういう作品に自然と感化されてる部分もあるのかもしれない。僕らももっといろんなところに目を向けて歌っていかないといけないなっていうのはライブを見て、さらに思いましたね。

(取材・文=石角友香)

■リリース情報
★「Masquerade」
9月16日(月・祝)デジタルリリース
★「Letter」
10月21日(月)デジタルリリース

3カ月連続デジタルシングル特設ページはこちら

5thシングル『Tricolor EP』(読み:トライカラー イーピー)
12月4日(水)発売

初回限定盤【CD+DVD】1,980円(税込)
CD」「Masquerade」、「Letter」を含む全4曲 収録。
DVD」「SHE’S Tour 2019 “Now & Then”」ツアーファイナルのライブ映像を30分程度と「Ma squerade」、「Letter」 を含むデジタルシングル3部作のミュージックビデオを収録。

通常盤【CD】1,100円(税込)
※CD収録曲は初回盤CDと同内容。

完全数量限定盤【CD通常盤+オリジナル・ボディバッグ】(UNIVERSAL MUSIC STORE限定商品)3,300円(税込)
※CDは通常盤を同梱。
予約・購入はこちら

<購入者特典>
TOWER RECORDS:オリジナルステッカーシート
Amazon.co.jp:デカジャケ
その他CDショップ及びWEB:オリジナルクリアファイル(A4サイズ)
※数量限定。一部取り扱いのない店舗あり。

■ツアー情報
全国対バンツアー『SHE’S UNION Tour 2019』
9月15日(日)鹿児島・SR HALL
Guest:緑黄色社会
open17:00/start17:30
チケット一般発売:7月20日(土)10:00

9月16日(月・祝)熊本・B.9 V1
Guest:緑黄色社会
open17:00/start17:30
チケット一般発売:7月20日(土)10:00

9月20日(金)福井・CHOP
Guest:To be announced
open18:30/start19:00
チケット一般発売:7月13日(土)10:00

9月23日(月・祝)栃木・HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
Guest:kobore
open17:00/start17:30
チケット一般発売:7月6日(土)10:00

9月28日(土)山口・周南RISING HALL
Guest:Ivy to Fraudulent Game
open17:30/start18:00
チケット一般発売:7月6日(土)10:00

9月29日(日)香川・DIME
Guest:Ivy to Fraudulent Game
open17:00/start17:30
チケット一般発売:8月3日(土)10:00

10月5日(土)静岡・LIVE ROXY
Guest:To be announced
open17:00/start17:30
チケット一般発売:8月3日(土)10:00

10月13日(日)北海道・札幌Sound Lab mole
Guest:LAMP IN TERREN
open17:30/start18:00
チケット一般発売:8月24日(土)10:00

10月14日(月・祝)北海道・旭川CASINO DRIVE
Guest:LAMP IN TERREN
open17:00/start17:30
チケット一般発売:8月24日(土)10:00

10月19日(土)山形・ミュージック昭和Session
Guest:To be announced
open17:00/start17:30
チケット一般発売:8月24日(土)10:00

10月20日(日)岩手・CLUBCHANGE WAVE
Guest:To be announced
open17:00/start17:30
チケット一般発売:8月24日(土)10:00

<チケット料金>
前売 ¥3,800(税込・ドリンク代別)
※山形公演はドリンク代不要。
※未就学児入場不可。 小学生以上有料。

ツアー特設サイト

『Sinfonia “Chronicle” #2』
11月22日(金)大阪・NHK大阪ホール
open18:00/start19:00

12月3日(火)東京・中野サンプラザ
open18:00/start19:00

チケット料金:¥4,800(税込)
特設サイト

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