Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 日向坂46、1st写真集『立ち漕ぎ』の見どころは? 欅坂46との比較で見える“グループの色”

日向坂46、1st写真集『立ち漕ぎ』の見どころは? 欅坂46との比較で見える“グループの色”

音楽

ニュース

リアルサウンド

 日向坂46(以下、日向坂)のグループ1st写真集『立ち漕ぎ』(8月28日発売・新潮社)は、発売直後に重版が決定し、オリコン週間BOOKランキングの写真集ジャンルで2週続けて1位を獲得するなど、予想以上の売り上げを見せている。本稿では、先輩グループである欅坂46(以下、欅坂)の1st写真集『21人の未完成』と比較しながら、改めて『立ち漕ぎ』の見どころを紹介したい。

(関連:日向坂46 上村ひなのはアイドルとして逸材だーー初ソロ曲から歌声の魅力を分析

 坂道グループの1st写真集でもある『21人の未完成』は、メンバー1人に1カメラマンが設けられ、まるで短縮写真集を一冊にまとめたような作品だった。それぞれの個性を活かした同作の一方、『立ち漕ぎ』は日向坂全メンバー(当時活動休止中だった柿崎芽実と影山優佳を除く)が過ごした沖縄での5日間を撮り下ろした内容になっている。写真集の帯に「一瞬の夏の思い出を永遠に閉じ込めた、ロードムービー写真集」と記されているように、青春を生きる彼女たちの“今”を補完したメモリアルな一冊となっているのだ。

 日向坂はハッピーオーラをモットーに元気な姿を提供するグループであるのと同時に、メンバー全員が一つのものにチャレンジしていく機会も多い。そう考えると、修学旅行的なこの写真集は“彼女たちらしい”ともいえるだろう。巧みな演出のなかでそれぞれの個性が一つになりドラマティックな世界観を創造する欅坂に対し、メンバーが一丸になることで魅力が増していく日向坂。グループの色の違いが写真集にも出ていて面白い。

 共通しているのは、結成3年というタイミングでのグループ写真集ということ。アイドルにとっての3年は、今後の人生を考え直す時期。実際に当時の欅坂は、3人が卒業を発表した。学業のため休業した原田葵をはじめ、新たな人生を選択するメンバーが続出していた。おそらく欅坂にとってのグループ写真集は、オリジナルメンバー21人がいたことの証として最後に作り上げたものであったように思える。また、現在日向坂も、柿崎芽実が卒業し、濱岸ひよりは休業中。発売したばかりであるのに、すでに『立ち漕ぎ』はノスタルジックな作品になっている。柿崎は手紙での参加ではあるものの、日向坂に所属していた21人全員が一冊に収まったことは、彼女たちにとって生きた証にもなったといえるだろう。

 『立ち漕ぎ』には、感情を隠すことなく全力で“今”を楽しむメンバーの様子が映しだされている。写真集のインタビューで佐々木久美が明かしていた「楽しかったらめちゃくちゃ笑うし、悲しかったらめちゃくちゃ泣いちゃう。全ての感情を包み隠さず出したうえで、私たちのすべてを知ってもらいたいし、愛してもらいたい。できなさそうなことも汗びっしょり掻いて頑張ってるような姿が”日向坂らしさ”になっていたらいいなって」という思いが、作品にそのまま投影されているかのようだ。1st写真集でここまで感情豊かに表現できるのは、数々の苦難を共に乗り越えてきた仲間が一緒だからこそだろう。

 また、影山が参加したことによる作品への影響も大きい。学業のため休業中である影山に関しては、沖縄ではなく教室でひとり撮影が行われた。影山のカットでは、彼女が(沖縄ロケで撮影された)メンバーの集合写真を持っている場面から始まり、最後には21卓の机が並んだ教室で窓の外を眺めるカットが収められている。影山の存在によって、“日向坂による一夏の青春”で終わっていたかもしれないこの写真集に物語の要素が生まれたといえよう。また、ノスタルジックな雰囲気が漂う同作の中で、影山の存在だけは未来を向いているようにも感じる。彼女が日向坂の「to be continued」としての役割を担っているのだ。同作に掲載している「写真集撮影を終えて」の影山のコメントを読んでからもう一度写真集を見ると、また違った角度から楽しめるので、ぜひ注目していただきたい。

 帯文では秋元康が「日向坂46のストーリーは始まったばかりだ。10年後のために、今から読み始めて欲しい」とコメントを寄せているように、数年後にファンやメンバーが写真集を眺めながら「日向坂という国民的グループの最初はこんなメンバーだったな」と思いを馳せている様子が想像できる。寝かせれば寝かせるほど味が出る作品なのだ。写真集の公式Twitterではあともう少しワクワクすることを考えているようなのでそちらも引き続き注目していきたい。(本 手)