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新生PARCO劇場のオープニング飾る「ピサロ」、渡辺謙「原点に戻る作品に」

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左からウィル・タケット、渡辺謙。

2020年3・4月、東京・PARCO劇場のオープニングシリーズ第1弾として「ピサロ」が上演される。上演に先駆け昨日9月19日、演出のウィル・タケットと出演者の渡辺謙が取材に応じた。

ピーター・シェーファー作「ピサロ」は、1985年に当時のPARCO劇場で上演された作品。劇中ではインカ帝国征服を主軸とした物語が展開する。1985年版ではスペイン将軍ピサロ役を山崎努が務め、渡辺はピサロに生け捕りにされるインカの王・アタワルパ役で出演していた。

今回ピサロ役を演じる渡辺は、オファーの際の心境を「理屈でなく、単純に面白いなと思いました」と振り返る。台本を再読するとピサロに共鳴する部分も多かったと言い、上演に向けては「時代は21世紀になり、自分も年齢を重ねました。その上で改めて感じた作品のテーマを今のお客様にどう伝えられるか、これから彼(演出のタケット)と探していく」「一周して、原点に戻るような作品になるのでは」と思いを語った。

ピサロ像について所感を尋ねられた渡辺は、「ピサロは明確な目的を持って旅をしていたわけではありません。稽古や本番で日々、彼が探していたものや見つけたものを模索する“旅”をすべきなのかなと」と口にする。さらに渡辺は、「ピサロ」作者のピーター・シェーファー作品の特色を「『アマデウス』もそうですが、彼の作品は誰かの語りによる“フレーム”を通して展開する」と分析。続けて「語りのフィルター越しに事実が伝えられているかどうかはわかりません。そういう意味ですごく創造的な脚本だと思いますし、劇場の中でさらに映像を立ち上げるようなイメージで作り込むことができるのでは」と期待を寄せた。

話題は会場となる新たなPARCO劇場にも及んだ。渡辺はキャリアの節目となる作品で旧PARCO劇場に立ってきたことに触れながら、「この劇場に出ることがなぜか、僕の“エポック”になってきた」と感慨深げに話す。本作をもって劇場が新たにオープンすることには「僕らは劇場の新たな歴史の1ページ目を書き込みます。あそこに立つ以上、俳優としての覚悟を持って劇場と相対さなければならないなと」と言葉に力を込めた。

ウィル・タケットはピサロ像について、「彼を前へと突き動かす動力はどこから来るのかを探りたい。意志の強い彼には、磁石のように人を惹きつけるカリスマ性があります」と語り、「スペインでただの兵士だった彼が、だんだんと“ただの兵士”ではなくなっていった過程について稽古で考えられたら」と、クリエーションへの意気込みを述べる。

タケットにとって、この日は渡辺との初対面となった。初めて渡辺とタッグを組むことにタケットは「いちファンとして興奮しています」「彼は自分をしっかりと持っていて、台風の目のよう」と笑顔でコメント。これを聞いた渡辺が「台風の目は静かなものですが、僕は全然静かではないですよ!」と笑い交じりに言うと、タケットは「確かに静かではないかもしれませんが(笑)、台風の目はあちこちに動きません。そういう俳優を私はとても尊敬しますし、彼が物語の中心人物を演じれば、見てほしいところに観客の目線がグッと引き寄せられます」と、渡辺への厚い信頼をのぞかせた。

さらに「現段階で演出プランを考えているか」と問われたタケットが、茶目っ気たっぷりの笑顔で「……No!」と回答すると、渡辺がすぐさま「トップシークレットです!」と付け加えて一同を笑いで包む。その後タケットは改めて、スタッフと舞台美術について話し合いの最中だと前置きしつつ「劇中でアンデス山脈を越えられたらと思うが、どのように表現するかを考えているところ。私には振付の経験もあるので、インカの人々の生活様式を体の動きで表現できたら」と構想を明かした。

「ピサロ」の上演は2020年3月13日から4月20日まで、PARCO劇場にて。チケットの一般販売は、11月23日にスタート。

「ピサロ」

2020年3月13日(金)~4月20日(月)
東京都 PARCO劇場

作:ピーター・シェーファー
翻訳:伊丹十三
演出:ウィル・タケット
出演:渡辺謙 ほか