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2020年3月上演『デスノート THE MUSICAL』 夜神月役・村井良大「古典になるような作品を」

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村井良大 撮影:奥田耕平

死神リュークが退屈しのぎに人間界へ落とした「死のノート」。それを偶然手にした高校生・夜神月は「新世界の神」となるべく、「キラ」と名乗り、自身の正義を暴走させていく。

映画、アニメ、ドラマなど、さまざまなメディア展開もされた、誰もが知る大ヒットコミック『デスノート』の物語をミュージカルで大胆に更新した『デスノート THE MUSICAL』。ブロードウェイの作曲家、鬼才フランク・ワイルドホーン、音楽監督は、グラミー賞受賞のジェイソン・ハウランド、そして演出家・栗山民也の作り上げた本作は、2015年の初演以降、日本だけでなく海外でも熱狂的なファンを生み出した。そんな伝説のミュージカルが、キャストを一新し、2020年に再び上演されることとなった。

今回の『デスノート THE MUSICAL』の主人公・夜神月は、村井良大と甲斐翔真のダブルキャスト。彼と敵対する名探偵・Lには高橋颯、キラを崇拝する少女・弥海砂には弱冠15歳の吉柳咲良、夜神月の相棒・死神リュークには横田栄司、もうひとりの死神であるレムにはパク・ヘナと錚々たるキャストが名前を連ねている。

村井は、当初自分が夜神月役ということに戸惑いがあったという。

「最初お話をいただいたときは、正直びっくりしました。もちろん『デスノート THE MUSICAL』を再演することは知っていましたが、“僕ではないだろうな”と思っていました。それは単純に、僕はそういうキャラクターではないと、自分自身で思っていたので。自己像というか、自分の考えるキャラクター性と、他人が見るキャラクター性は違うんだなと。リュークじゃないですけど、“人間って面白!”ですよね(笑)」

村井といえば、2.5次元ミュージカルや特撮ドラマから、本格ミュージカルまで幅広くこなす印象がある、実力派俳優だ。本人としては自分自身を見つめ直して思うところがあったとか。

「最近、役者としての自分を見つめ直してみたんですけど、“あんまり特徴がねえな”って思ったんです(笑)。“あまり色がないな”というか。でもそれは、“何色にも染まることができる”とプラスに捉えることもできるのかもしれない。だからこそ、何色にも染まってみたいと思ったんです。役者をする上で、そこが1番楽しいですよね。今回の夜神月役の抜擢も正直驚いたんですけど、その役をふってくださるということも、嬉しい話ですし、それだけ僕に期待してくださるのもありがたい。その期待値を超えないといけないプレッシャーもありつつ、“やってやるぞ”という心持ちになりました」

そんな彼だが、夜神月にはどんなイメージを持っているのだろうか?

「頭がよく、策略家。けれど、ねじ曲がった正義感を持ってしまった可哀そうな人。それだけデスノートには魅力があるんだと思います。もちろんフィクション上の道具ですけど、名前を書いただけで人を殺せる大いなる力を持ってしまったゆえに、悲しいことになってしまった。この物語って、仮に100年前でも、100年後に存在したとしても、面白いはずなんです。ある意味シンプルなストーリーですけど、だからこそ普遍性があるというか、いつか本当に古典になるんじゃないかな」

“新しい古典になる”と断言する、彼の生み出す新しい夜神月を見ることができそうだ。

「まだあまり固まってはいないですね。漫画では天才がデスノートを手に入れて、巧みに目的を遂行していくけれど、ミュージカル版では、ある意味等身大というか、ひとりの男の子がデスノートをを手に入れたらどうなるか……という話に変わっているので。そこに、僕自身が持っている夜神月のイメージもあるので、そこも踏襲していきたい。そこはもう、さじ加減ですよね。ダブルキャストなので、そこも変わってくると思うんです。とにかく、自分らしい夜神月を演じたいし、彼の精神の葛藤や戦いを大事にしながらやっていきたい。月が一歩踏み出す瞬間も、本人は正義を行っているけれど、本当はかわいそうな状況だという、そんなズレていく快感も描いていけたらと思います」

近年、ミュージカル仕事も増えている村井。役者のキャリアの中で、2015年と2017年に上演された『RENT』の存在は大きかったと語る。

「ここ数年、ミュージカルをたくさんやらせていただけるようになって。ミュージカルは崇高な、敷居の高いイメージもあったんです。だから最初「自分は畑違い」と思っていた部分もありました。『RENT』のミュージカルに出演して、そこで自分の価値観がガラッと変わったんです。さまざまなミュージカルでご活躍されている方々の歌を聴いて、“こんなに表現の幅が広がるんだ”と感銘を受けたんです。ミュージカルって、ストレートプレイとは違った、新たな世界に連れてってくれるエンタテインメントなんですよね」

当初はジレンマもあったものの、どんどんミュージカルの世界にハマっていったという。そこにはどんな魅力があったのだろうか。

「歌でしか伝えられない感情って、存在すると思うんです。くだけた言い方をすると「ミュージカルって便利だな」って(笑)。最近、ストレートプレイをしているときも、“歌にしたらいいのに”って思ったりして。逆に、ミュージカルをやっている時に、“これを芝居にしたらどうなるんだろう”なんて(笑)。この数年、ミュージカルの経験が増えて、歌で表現できる幅が広がっているのが、自分でも面白いと思うし」

ワイルドホーンによる楽曲も、この作品に鮮烈な印象を与えているという。

「よい音楽のある作品って、皆の心に残っていると思うんです。映画でもそうじゃないですか。『STAR WARS』であの曲じゃないなんて想像つかないですし。今回の『デスノート』の音楽もすごいんです。僕としては聴いたことのないジャンルだと感じていて、ロックテイストだけど崇高で、ヒリヒリとした、なんともいえない尖った部分のある楽曲ばかり。それでいて正統派というか、昔からあるような耳馴染みのよい楽曲が多いんです。なんというか、“この作品をスタンダードにするぞ”という力があるんです。それぞれのキャラクターの曲も書き下ろしてもらっているので、その人の1番表現できるものが入っている。これが役者としても、本当に楽しみなんです。初めてのミュージカルとしてもオススメできます」

最後に、嬉しそうに『デスノート THE MUSICAL』の魅力を語ってくれた。

「『デスノート THE MUSICAL』は、共演者に年下が多いんですよね。フレッシュな20代前半、10代です。この若さで栗山さんたちと一緒にミュージカルをやるなんて、すごく贅沢な経験じゃないですか。本当に将来が楽しみです。そういう意味で、未来のスターが揃い、つまりこの作品を観れば、『未来のスターを、あのとき観たよ』ということも言えます(笑)。もちろん僕の夜神月だけじゃなく、甲斐くんの月も観てほしいです。ダブルキャストの面白さってそこだと思うんですよ」

さらなる進化を遂げる『デスノート THE MUSICAL』、チケット情報はこちら。

【関連リンク】『デスノート THE MUSICAL』

撮影:奥田耕平、取材・文:藤谷千明

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