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「風の谷のナウシカ」新作歌舞伎化、宮崎駿の出した“条件”を鈴木敏夫が明かす

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新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」製作発表記者会見より。左からG2、中村七之助、尾上菊之助、鈴木敏夫、松竹代表取締役副社長の安孫子正。

宮崎駿のマンガをもとにした新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」の製作記者会見が、本日9月30日に東京都内で開催され、スタジオジブリの代表取締役・鈴木敏夫、出演者の尾上菊之助と中村七之助、演出を手がけるG2らが登壇した。

1984年に劇場アニメ化されたことでも知られる「風の谷のナウシカ」。この新作歌舞伎では、昼の部、夜の部通しで原作のストーリーすべてを舞台化する。菊之助がナウシカ役、七之助がクシャナ役を務め、脚本には「ゲド戦記」「借りぐらしのアリエッティ」などの丹羽圭子も参加した。

まず鈴木は「『風の谷のナウシカ』が歌舞伎でどういうことになるのか。原作を提供する我々は、今回、期待する立場なので、映画制作と違って気が楽です(笑)」と笑いを交えて挨拶。そして「菊之助さんは『ナウシカ』を歌舞伎にしようと考えた張本人。そして七之助さんには高畑勲が監督した『かぐや姫の物語』で御門役を演じていただきました」と2人の出演者を紹介した。

さらに「『ナウシカ』は宮崎駿にとって一番大事な作品」と続ける鈴木は、「ハリウッドでの実写映画化をはじめ、いろいろなお話をいただきましたが、全部お断りしてきた。今回の歌舞伎化も宮崎に断られると思っていたので、菊之助さんにも、歌舞伎にするなら『もののけ姫』はどうですか?と提案していたくらいで(笑)。でも宮崎は『やろうよ』と言ってくれたんです」とエピソードを披露。さらに「宮崎から『風の谷のナウシカ』というタイトルを変えないでほしい。記者会見や取材の対応を全部鈴木さんがやってくれるなら……という条件でOKをもらいました(笑)」と宮崎のこだわりを明かし、登壇者に向け「期待しています。いい作品を作ってください!」とエールを送った。

約5年前から本作の準備をしてきたという菊之助は「原作の深いテーマ性、壮大さに惹かれました。戦争、エネルギー問題、環境問題、核の問題、遺伝子の問題。そういったテーマが歌舞伎と融合したとき、どういうものになるのか、自分自身ワクワクしております」と述べる。そして七之助は「菊之助のお兄さんから『ナウシカ』を歌舞伎にするので、力を貸してほしいと電話で言われたとき、純粋に驚きました。うちの兄(中村勘九郎)もジブリ作品の大ファンで、実はナウシカが初恋の人なんです(笑)」と暴露して笑いを起こした。

このほかにも会見にて菊之助は、本作で久石譲の楽曲を和楽器で演奏しようと試みていることを明かし「ジブリファンの方にも納得していただける作品に仕上げたいと思っております」と意気込んだ。

会見後の囲み取材で菊之助は、舞台化の課題について「古典歌舞伎と、皆さんご存知の『ナウシカ』という作品の合流地点を探すのが大変です。原作の1巻から7巻を忠実に描いていく中、どうやって歌舞伎感のあるケレン味を入れていくのか。また細かいところでは、衣装はどこまでキャラクターに寄せていくのか」と述懐。さらに「脚本が上がってきたところ、これをすべてやると(長すぎて)お客様には全員タクシーでお帰りいただくことになるかもしれず……(笑)。上映時間を考慮しつつ、どういう工夫を加えて見せ場を作るか、これから稽古を重ねて考えていければ」と話した。

一方七之助は、役が決まってからアニメ映画版を改めて鑑賞したときのことを振り返り「これまで10回以上は観ていたのですが、今回一番苦しい思いで観ましたね(笑)。『このシーン、(歌舞伎で)どうやるんだろう?』と考えてしまって。でもこれは“いい苦しみ”なのかなと。この仕事をしていないと味わえない苦しみだし、成功してこれが喜びに変わる瞬間を楽しみにして、やるだけです」と断言した。

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」は、東京・新橋演舞場にて12月6日から25日まで上演される。チケットの一般販売は10月19日10時にスタート。

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」

2019年12月6日(金)~25日(水)東京都 新橋演舞場

(c)Studio Ghibli